減税政策――自国の産業強化へ
文/HS政経塾3期生 瀬戸優一
◆国内航空会社の苦境
日本の航空会社としては国内3位であるスカイマークが、欧州の航空機メーカーであるエアバスとの間で航空機購入に関して問題となっていることが、最近多数報道されています。
エアバスの世界最大の航空機であるA380を6機購入する契約をしていたスカイマークが、業績悪化に伴い、納入の延長を申し出たところ、エアバス側から契約解除を通告されたとされる問題です。
その際、エアバス側から違約金として7億ドル(約700億円)の支払いを通告されたということですが、スカイマーク側の無期限納入延長の交渉虚しく、「6機すべての購入を断念する見通しとなった」ことが分かりました。(8/9 SankeiBiz)
◆ニュース等で指摘される問題点
確かにこの問題には、様々なニュースでも指摘されている通り、円安による燃料費高騰や相次ぎ参入した格安航空会社(LCC)との競争激化などの環境変化に対する見通しが甘かったということは、社長自身も述べていますし、専門家等も指摘しています。
契約を結んだのが2011年でしたが、翌年には日本にもLCCが参入するなど、競争環境が厳しくなってきた面もあります。逆に言えば、それを見越してのプレミアム戦略への舵切りだったと言えるのかもしれません。
LCCや大手と競争するため、プレミアムと格安の部分の両方を持っておくということだったのかもしれませんが、競争環境が厳しくなってきたときこそ、選択と集中が大切であるとも言えるのかもしれません。
◆報道されていない問題点
しかし、こうしたニュースの中であまり触れられていないことがあります。それは今年4月に施行された消費税の増税についてです。
特にスカイマークのように格安運賃で運航している企業にとっては、消費税の増税は大きくのしかかってきていたことは想像に難くありません。燃料費高騰や競争環境の激化があったにせよ、そこに消費税増税が追い打ちをかけてしまったと言えるでしょう。
1個100円のものであれば3円程度の違いにしか感じられないかもしれません。しかしながら、航空運賃のように10000円前後、時期や路線によってはもっと高くなりますが、こうしたものの場合負担はより大きくなります。
燃料や機材、設備など様々な仕入れにも影響が出てきますし、そもそも航空機の場合には公租公課と呼ばれる種々の税金がかかってきているため、日本は特に割高になりがちです。
◆求められる減税政策
こうした消費税増税の影響も、航空利用者の減少及び業績悪化につながった面があると言えるのではないでしょうか。
特に観光目的での航空利用の場合は、消費税増税は家計の負担及び心理的負担がかかるため消費に影響してくると言えます。もちろんそれだけではなく、物流面でも影響が生じると言えます。
人・物の移動速度の速さは、経済の成長にもつながってくるものである以上、国家としても航空の利用促進のために政策を考えていく必要があります。
しかし、消費税の増税など“重石”になるようなものを載せてしまっては飛べなくなってしまいます。飛行機を“飛ばす”ためにも、航空機に関する工業の活性化の支援などとも合わせて国家として積極的に航空産業を促進していかねばなりません。
今後消費税の増税等の影響が様々なところで出てくることが予想されますが、政府は自国の産業を強化し、国際競争力をつけさせ、その上で国家の財政を豊かにしていくためにも、来年の10%への増税は絶対に阻止し、その上で減税政策を採っていくべきであると言えます。