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すべての道は増税に通ず――複雑化・肥大化する租税法体系を疑おう!

消費増税に向けて、次々と手が打たれている

来春からの消費税増税に向けて、政府・与党・財務官僚が立て続けに対策を講じています。

「消費増税批判をかわし、消費増税を断行する」という、彼らの鉄の意志の表れが見て取れます。

関連する対策を列挙しますと、以下の通りです。

(1)自公両党は生活必需品の消費税率を低く抑える「軽減税率」導入に関する調査委員会の初会合を開催。(2/20)

軽減税率の導入については、早期導入をめざす公明党と慎重な自民党の間で議論中ですが、現段階では「消費税率の10%引き上げ時に軽減税率制度を導入することをめざす」としています。

(2)大企業の下請けの中小企業が、増税分を適切に価格転嫁できるようにする特別措置法案の素案をまとめ、増税分の製品価格への上乗せを取り決める「転嫁カルテル(転嫁協定)」を条件付きで容認。(2/22)

(3)消費税の逆進性対策として給付付税額控除等を行うに際し、国民一人一人に番号を割り振って所得を正確に捕捉するため、共通番号「マイナンバー」制度の関連法案を閣議決定、国会に提出。(3/1)

(4)中小零細企業が増税分を転嫁できないという批判をかわすため、大手スーパーなどによる「消費税還元セール」を禁止することを決定。(3/12)

(5)政府は、本年秋に消費増税の最終判断することになっていますが、景気が低迷していれば、増税にストップがかかるため(「景気弾力条項」)、アベノミクスによる景気対策も「景気弾力条項」をクリアするために行っていると冷やかに見る向きもあります。

このように、政府・与党が次々と手を打っている政策は、消費税増税のためであって、決して「国民生活を豊かにする」という観点ではないと思います。

「高い税金は悪い税金」

とりわけ今回は、以前(消費税導入時、3%から5%への増税時)のように消費税増税分に見合った所得税減税等は一切なく、復興増税も絡み、全て増税です。

増税を断行するために、法律を増やし、複数税率を採用し事務作業を膨大に増やし、租税法体系を一層複雑化することは本当に正しいことなのでしょうか?

もう一度、税金とは何なのか。原点に帰って考えてみる必要があるのではないでしょうか。

アダム・スミスは『諸国民の富』にこう書いています。

「国家を最下級の野蛮状態から最高位の富裕に到達させるには、平和と、軽易な租税と、正義の寛大な執行とのほかに不可欠なものはほとんど何もない。」

渡部昇一氏も一貫して「高い税金は悪い税金、安い税金がいい税金――これ以外の論理はない」と訴え続けておられます。税を「年貢」と読み替えれば一層明確にその事が認識されます。

「税と社会保障の一体改革」とか、いかに立派な名前がついていても、「高い税金は悪い税金」「安い税金が良い税金」という根底を見逃しているような議論であれば、それは間違っているということです。

税高くして、国滅ぶ

パーキンソンの法則で有名なパーキンソンは「税金を高くすれば国が滅びる。それが歴史の鉄則だ」と述べています。

古来、一般に妥当だと認められた税金は、収入の十分の一あたりであると述べています。(C.N.パーキンソン著『金は入っただけでるーパーキンソンの第二法則』至誠堂,1962)

現在の日本では、「隠れた税金」と言われている社会保険料も含めれば、平均的日本人で収入の約40%近い税負担となっています。(日本税制改革協議会「納税者の日」)

民が富むことが、国を富ませる

幸福実現党は消費増税法廃止、法人税半減、相続税廃止等の増税反対・減税推進を訴えている「減税政党」であり、、政府ではなく国民の側に富を蓄積する必要性を訴えています。

なぜなら、国民の私有財産を認める国は繁栄し、国民の私有財産を没収する現在の日本のような国は没落するからです。これが歴史の鉄則です。

現代の日本人は、「私有財産」と聴けば、いかがわしいものというイメージがあるかもしれません。

しかし、国民個人に富が蓄積されると、明治期のような国士が現れるのです。

明治期には、福沢諭吉、渋沢栄一、高橋是清、中上川彦次郎、松永安左エ衛門……などの士魂商才が現れ、国を富ませました。

官僚ではなく、民間の「私」が立ち、地方が立ち、国が立つのです。(加藤寛・渡部昇一著『対論「所得税一律革命」―領収書も、税務署も、脱税もなくなる』光文社)

租税が複雑化肥大化する一方の現代において、幸福実現党はフラットタックスをはじめ、「簡単で公平な租税の実現」を目指して参ります。(文責・加納有輝彦)

加納 有輝彦

執筆者:加納 有輝彦

岐阜県本部政調会長

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