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薬事法改正で、医療分野における規制緩和を進めよ!

今年に入って、薬事法に関するニュースが続いています。

1月11日、医師の処方箋なしで買える一般用医薬品(大衆薬)のインターネット販売を原則禁止している厚生労働省令は違法だとする最高裁判決が出ました。(1/11 産経「大衆薬のネット販売規制は『違法』 最高裁が上告棄却し国が逆転敗訴」)

「一般医薬品」は副作用リスクの程度によって3つに分類されています。

2009年の改正薬事法では、比較的リスクの高い第1類医薬品以外は、条件を満たせばコンビニでも販売できるようになりましたが、厚生労働省は、比較的リスクの高い第1、第2類医薬品は、「安全のため、対面販売を原則とする」として、省令によってインターネットでの販売を禁止しました。

省令とは、各省の大臣が制定する命令で、法律と同じような効果を持ちます。国会で成立する法律と異なり、情勢に合わせて比較的短時間で改正できる反面、民主的な手続きを経ていないため、あくまでも法律が想定する範囲内での内容に限られます。

これに対して、一般医薬品のネット販売を行っていた会社2社が原告となり、「省令による規制は、憲法で保障された営業の自由を侵害している」として訴訟を起こしました。

ネット販売業者にとって、第1、2類医薬品は一般医薬品の約7割を占め、売り上げの柱でした。実際、ネット販売を禁止されてから、原告の一社「ケンコーコム」の年間売上は5億円も減少したそうです。

この裁判は最高裁まで争われ、「薬事法では、第1、2類のネット販売を禁じておらず、厚生労働省の出した省令は法律が想定する範囲を超えた違法な規制である」という趣旨の司法判断がなされ、事実上、ネット販売が解禁となりました。

この判決確定後、原告の一社「ケンコーコム」の株価は前日比26.6%と上昇。安易な規制が、いかに経済活動の自由を圧迫しているかの好例といえます。

ただし、今回の判決では、営業の自由の侵害などの憲法論までは踏み込んでいません。

あくまでも、厚生労働省の出した省令が法律の意図した範囲を超えていたことが指摘されたため、法律そのものを改正し、一定の規制をかけようという動きが出ています。

今のところは、比較的副作用の少ない第2類の一般医薬品のネット販売は認め、第1類については禁止しようという方向で検討されているようですが、なるべく規制はかけない方向で進めてほしいものです。

ネット販売のリスクがゼロであるとは言えませんが、外出が困難な人や、薬局まで遠い地域に住んでいる人にとってもメリットが大きいものです。また、店舗では買いにくい医薬品の購入など、新たなニーズも掘り起こしています。

例えば、第2類の医薬品には妊娠検査薬も含まれており、これを対面で販売しなくてはいけない合理的理由は見当たりません。

薬局で購入できる風邪薬や鼻炎薬、胃腸薬なども、副作用の程度によって第1類、第2類に分かれていますが、薬局で薬剤師と顔を合わせて購入すれば安全で、ネットで購入すると危険性が高まるとも、一律には言い難いと思われます。

丁寧に副作用の可能性を説明してくれる薬剤師もいると思いますが、ネット業者も、法律に従って画面上で副作用を明記し、薬剤師を配置してメールや電話での問い合わせに対応する体制を整えています。

また、どんな薬であっても一定の副作用リスクはあり、このリスクは薬の販売方法によって減らせるものではありません。

偽造医薬品を販売するような悪徳業者の取り締まりは当然ですが、むやみに販売方法を規制することは、商業活動の自由を阻害し、正しいあり方とはいえません。

また、最近では、国内企業の医療機器製造・販売への参入促進を図るため、政府が規制を緩和する方針を固めたとの報道がありました。(1/31 産経「薬事法改正で規制緩和 政府方針 医療機器、成長戦略へ一歩」)

詳細はこれからですが、規制緩和の動き自体は歓迎すべきと言えるでしょう。

現在、医療機器は、薬事法で製造許可や認証が厳しく規制されています。

医療機器製造の許可は製造所ごとに取得する必要があり、販売・譲渡・賃貸の許可も別途必要です。さらに、心臓ペースメーカー等の高度管理医療機器を販売する場合は、通常の販売許可とは別の許認可が必要です。

また、医療機器の製造販売事業者は一定の経験を積んだ製造販売責任者、品質保持者、安全管理責任者等の責任技術者を配置して、省令で定められた品質保証、安全保障の基準を満たさなくてはならず、こうした複雑な許認可が新規参入を拒んでいます。

医療分野の規制緩和は、人の命がかかっている分、慎重にならざるを得ませんが、時代にそぐわなくなった規制、リスクを過大に評価しすぎてメリットを奪っている規制については、一つ一つ検証し、緩和していくことが必要です。
(文責・HS政経塾 小川佳世子)

小川 佳世子

執筆者:小川 佳世子

政務調査会 部長代理

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