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新しい「金融教育」の実現で日本にバンカー精神を根付かせよ!

◆「お金に関するしつけ」は世界的なトレンド

日本では来年からNISA(小額投資非課税制度)が始まり、個人投資家にとっての環境が整いつつある中、家庭内においては幼少期から金銭感覚、採算感覚を養う教育が流行しており、「お金に関するしつけ」が日本でも脚光を浴び始めております。

こうした「お金に関するしつけ」は、いわば世界的なトレンドであり、経済協力開発機構(OECD)では、2008年に「金融教育に関する国際ネットワーク(INFE)」を組織し、「金融教育の推進は国家戦略に不可欠である」という承認を国際的に取り付けています。

ここで言う「金融教育」とは、個人の金融リテラシー(知識を駆使できる能力)を高めるための教育という意味で「パーソナル・ファイナンス教育」とも呼ばれています。

更にINFEでは「学校における金融教育のガイドライン」が本年発表され、若年層における金融リテラシーの向上のために、学校における金融教育の必要性が強調されております。

◆世界的に遅れている日本の「金融教育」

しかし、日本の学校における「金融教育」は、世界的に見ても「先進的である」とは言い難い現状です。

文部科学省の学習指導要領によると、小学校では金融(お金)について全く触れられておりません。

中学校や高校に入ると「金融の仕組みと働き」について扱うようになりますが、その中心は金融制度と金融政策などというマクロ経済的な内容となっており、個人(家計)とお金の関わりについては範囲が極めて限られていると言われています。

実際、Visaが日米の大学生に対して実施した「金融教育に関する日米大学生アンケート」によると、小・中・高等学校のいずれかで金融教育を受けた経験があると回答した大学生は日本が39.7%(124人)なのに対し、アメリカでは72.2%(249人)と約2倍の差があるとの結果が明らかになっています。(ビジネスアイ2013/8/23)

また、日本銀行が2008年に日本の成人に対して実施した「金融に関する消費者アンケート調査」において、金融商品について「ほとんど知識がない」と思う人は63.7%だったのに対して、「十分知識がある」と思う人はわずか4.7%で、ほとんどの日本人が未だにお金の運用について、無頓着であるという統計が出ております。

こうした状況を踏まえ、2013年1月に安倍政権が発表した緊急経済対策には7年ぶりに「金融経済教育の推進」が掲げられ、金融庁でも「金融経済教育研究会」などを設置し、最低限身につけるべき金融リテラシーを15項目にまとめています。

しかし、教育現場での最大の問題点は、授業時間数が足りないという点であり、現行の教育課程の中では別の学習項目を減らす必要があり、非常に厳しい状況にあります。

◆アメリカの伝統である「お金の哲学」

一方、アメリカにおける「金融教育」には長い歴史があります。

実際に、19世紀にアメリカに渡航した福沢諭吉は、「アメリカの母親は、子どもを金銭に敏(さと)い大人になるよう非常に熱心に教育する」と述べ、良くも悪くも日本との違いを実感していました。

現代においても、日本のような学習指導要領がない代わりに、幼稚園から高校までの金融経済教育を推進しているアメリカ経済教育協議会(CEE)が、それぞれの段階で身に付けるべき金融リテラシーを示した「Financial Fitness for Life」という指導書を児童・生徒用、教師用、家庭用など類型別に出版しています。

その中では、「お金を増やすにはどうするのか」や「貯金箱と銀行預金の違いの比較」、「債券や株式、投資信託の仕組み」、「リスクと分散投資の大切さ」などが盛り込まれており、これらを元に学校と家庭における金融教育の実施が可能になっているのです。

と同時に、福沢諭吉は「アメリカ人は艱難辛苦(かんなんしんく)、克苦勉励して貯めた財を時に、惜しげもなく社会に役立てるためにと寄付する」と記しているように、寄付の精神もアメリカの伝統となってきました。

実際に、2002年度における個人寄付金の日米比較を見てみると、日本の2,189憶円に対して、アメリカは約23兆円に上り、なんと100倍以上の開きがあることが分かります。

◆アメリカに見習いながら、新しい「お金の哲学」を日本が広めよ

こうしたアメリカの「お金」に対する哲学が、19世紀から現在に至るまでのアメリカの大いなる繁栄を創り上げてきたという事実を、まず日本は認め、見習う姿勢が必要です。

しかしながら、そのアメリカもサブプライムローンを発端とした2008年の金融恐慌によって行き過ぎたマネー経済の実態が露呈されております。

また、アメリカの金融業界においても、5年先の企業成長を見る「バンカー」が5分先の利益を追いかける「トレーダー」によって駆逐されている現状があり、昨今のアメリカ政府のデフォルト騒動で見る財政均衡志向など、アメリカの強みであった「お金」の領域で限界を見せ始めているのは確かであります。

◆宗教教育+金融教育のブレンドがカギ

これからの金融教育の土台には、道徳を超えた「時代に適合した宗教的精神」が必要である証だと私は考えます。

日本人が宗教的精神、善悪の価値基準に基づいた金融リテラシーを備えることで、現在、日本人の見識不足によって漂流している個人金融資産1500兆円の行き先をしっかりと指し示すことが出来るようになるのです。

このようにバンカー精神が国民に広く共有されることで、私たちの幸福を増進させるような優良企業への投資が進み、日本経済に未曽有の大発展をもたらします。

と同時に未だ飢餓や貧困で苦しむ発展途上国への投資を促進させ、世界の幸福実現に貢献できる新しい「リーダー国家像」を形成することができます。(HS政経塾第1期生 城取良太)

参考文献:週刊エコノミスト(10月15日号)

しろとり 良太

執筆者:しろとり 良太

HS政経塾1期生 ブログ

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