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野田首相の訪中延期と今後の日中関係について

12月12、13両日に予定されていた野田首相の中国訪問が延期され、日中両政府は訪中日程について、25、26の両日とすることで最終調整に入っていると報道されています(12/9時事通信)。

しかし、年末は予算編成等の内政や外交日程が立て込んでおり、年内の実現は厳しく、訪中は来年になるとの見方も出ています。

いずれにしても、日中政府は「国交正常化40周年」に当たる2012年を前に首相訪中を実現し、「戦略的互恵関係」の進展を確認したい考えです。

これまでHRPニュースファイルでも、12月12、13日に訪中すれば、「南京事件」について謝罪を迫られ、日本は更なる支援を要求される懸念を表明して来ました。

12月13日は旧日本軍が南京に入城した日です。中国では、旧日本軍による南京占領74周年に向けた記念行事が5日から13日まで江蘇省南京市の南京大虐殺記念館で行われています。

この記念行事が行われるのは例年通りですが、「74年目」という、節目でもない年に、例年以上の規模の行事を開催。まさに野田首相を謝罪させるにふさわしい演出がなされる予定でした。

旧日本軍の南京占領向けた記念行事は、その時々の日中関係に応じて政治的なメッセージが込められています。

かつてない規模での記念行事の背景には、中国当局の日本謝罪を謝罪させる目的があったのではないかと推測されます。

しかし、中国側が6日、北京の日本大使館に「内政上の都合」で延期を要請してきました。今回の野田訪中の延期要請は、中国側からの要請であったことは間違いあいません。

ところが中国側は「訪問延期は、日本の首相官邸から申し出があった。国会の日程と関連しているようだ」と発表しています。(12/9レコードチャイナ)

延期要請の理由について日本政府内では「13日が旧日本軍の南京占領から74年にあたるので、インターネット上などで高まっている反日感情に中国側が配慮したため」との見方が出ています。(12/6毎日)

また、そうではなく、中国共産党と政府の最高指導部が出席して経済運営方針を話し合う年に1度の「中央経済工作会議」が同時期に開催される方向となっていることが影響したとの見方もあります。

評論家の石平氏は「今回の野田首相の訪中延期は日中関係上の問題のからではなく、むしろ中国の『内政上の事情』によるものであるとはほぼ確実である」と断定しています。(12/7「石平のチャイナウォッチ」)

その理由として、中国の経済の減速がかなり危険な方向へと進んでいる中で、現在の「金融引き締め政策」を堅持していくべきかどうかについての大論争があり、それが党内闘争の様相まで呈していると指摘しています。

つまり、中国の指導部にとって、今は外国の首脳を迎えて外交問題を語るところでなくなっているということです。

いずれにしても、元々、中国側の強い要請によって進められて来た日本首脳の訪中が、中国側の「内政問題」という一方的都合で延期されたこと自体、中国が日本をいかに軽視しているかが分かります。米国相手でしたら、こうした失礼な対応はなかったでしょう。

いずれにしても、これまでの中国外交を見て来ると「戦略的互恵関係」を強調する中国に対して、日本は中国侵略の謝罪の代償として一方的に奉仕させられる可能性が高いことは間違いありません。

中国の「嘘も百回唱えれば本当になる」歴史の歪曲に対して、正しい歴史事実に基づいて反論できる政治家が今必要とされています。

自民党時代より、中国の言うがままに謝罪を繰りかえし、ODAなどの支援を要求され、その都度、日本国民の「血税」が中国に吸い上げられ、結果的に、日本国民は中国の経済発展や軍事強化に奉仕させられて来ました。

こうした中国の外交戦略をしっかり見抜いた上で、日本の国益を守りながら、アジア全体の平和を見据えた日本の外交戦略を持たねばならない時期に来ています。

こうした「危機意識」無き、外交オンチな民主党政権に、いつまでも日本の舵取りを任すことはできません。
(文責・佐々木勝浩)

佐々木 勝浩

執筆者:佐々木 勝浩

幸福実現党 広報本部スタッフ

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