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復興庁創設は「国家社会主義」への道

「復興庁設置法」が12月9日の参院本会議で可決、成立しました。野田政権は、これで第三次補正予算、復興特区と共に、政府の被災地支援に向けた体制が整ったとしています。しかし、復興庁の設置は来年2月頃になりそうです。

関東大震災後は4週間で「復興院」が設置されて復興計画を立案。5ヶ月後には廃止され、実施は各省庁に権限が移りました。

「復興庁」の設置は震災後約1年を要しており、民主党政権の対応はあまりにも遅く、今、「復興庁」という新省庁をつくって権限を与えることについては疑問があります。

「国民から増税し、役所を増やし、政府に強大な権限を持たせる」――この方向性は完全に「大きな政府」への道です。

政府は「焼け太り」を目指して、震災を奇禍として、「強大な権限を政府に委任せよ」と言いいたいのでしょうか?

民主党政権が発足してすぐに、郵政民営化がなし崩しにされたことを忘れてはなりません。政府は、東電に一兆円を超す公的資金による資本注入も検討しており、「東電の実質国有化」も動き出しています。

「復興」については、大規模インフラ整備など、基本的なところは政府が担当する必要がありますが、復興事業の主体はあくまでも民間であるべきです。大幅に規制を撤廃、緩和し、自由性を持たせるべきです。

例えば、被災地で、新たに起業したいという企業には、10年間法人税免除や低税率にする等、役所が全部仕切るのではなく、民間の力を使えば、ベンチャー精神あふれる若者なども集まり、新しい開発も進むはずです。

また、改正PFI(民間資金を活用した社会資本整備)法を積極的に活用し、公共事業を民間企業に解放し、民間企業が推進エンジンとなった復興事業を進めていくべきです。

岩手県、宮城県、福島県3県で、10月に失業手当を受給したのは4万9848人。失業手当受給者が昨年より6割も増えており、雇用情勢は依然、厳しい状況です。これ以上、政府だけが仕切っても、復興は厳しいと思われます。

さて、TPPで国内が論争していた時期に紛れて、「復興増税案」を通してしまった野田首相のしたたかさには「危険性」を感じます。

菅氏は「左翼の顔をした左翼」であり、「日比谷年越し派遣村」のような風景に親和性があることは誰が見ても明らかでした。

しかし、野田首相も「保守の顔」をしながら、「増税」と「大きな政府」を志向しており、「国家社会主義」を目指していることに国民はいち早く気づくべきです。

12月4日の各全国紙・地方紙に「社会保障と税の一体改革」と題する全面広告を掲載し、野田首相は顔写真入りで「消費税増税」に向けたアピールを大々的に行いました。この全面広告だけで、一体、どれだけの税金を無駄に使ったことでしょうか。

そして翌日5日、朝日新聞は社説「社会保障と税の改革 消費増税は避けられない」と題し、戦時中の提灯記事のような全面広告と全く同主旨の社説を掲載。政府と大マスコミとが癒着して強大な権限で「国家社会主義」への道を歩んでいることが分かります。

また、全面広告での野田首相の発言を見ると、「経済成長」の志は全く無く、野田首相の心象風景は、GDPで日本が二十何番目くらいだったとき、木造の家で、寄り添うように家族が集まり、晩御飯を囲むといった姿であることが分かります。

最近では、五木寛之氏のような人気作家が『下山の思想』を発刊するなど、政治家や官僚、マスコミや学者など、「時代の逆流現象を起こしたい」という勢力は今、大きくなって日本を支配しようとしています。この思想と私達は闘わなくてはなりません。

『下山の思想』では「私たちの時代はすでに下山にさしかかっている。そのことをマイナスと受け取る必要はない。強国、大国をめざす必要もなくなっていく。下山する覚悟の中から新しい展望が開けてくる」などと言っています。

なんと、暗い悲観的な考えでしょうか。ここにあるのは「努力の放棄」であり、「発展へのあきらめ」と「貧しさの平等」です。下っていくだけなら、政府は何もする必要はありません。

今の民主党の中枢には、社会主義への道を望む政治家が多く、経営感覚がありません。よって、これ以上、政府にお金と権限を与えても、日本の復興は果たすことは期待できません。能力の無い者達にお金を渡しても、全てが無駄に使われます。

今、政府がなすべきことは、役所の増設でも、増税して民間の力を弱めさせることでもありません。減税し、規制を廃し、民間に自由を与えることです。民間の力を信じ、日本人の持っている高い力を解き放つことこそ、真の「復興への道」です。

今こそ日本人の底力を発揮し、復興、再建を果たして参りましょう!
(文責・竜の口法子)

竜の口 法子

執筆者:竜の口 法子

女性局長

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