Home/ 経済 経済 政府「移民で日本の人口1億人維持可能」本格議論への提言 2014.03.14 文/幸福実現党政務調査会 佐々木勝浩 ◆日本の人口「移民で1億人維持可能」 内閣府は、15年以降に移民を毎年20万人受け入れ、出生率も回復すれば100年後も人口は1億人超を保つことができるとの試算を示しました。 試算によれば何もしなければ、2110年には4286万人に人口は減少するため、移民が、働き手の減少や社会保障の負担増に直面する日本を救えるのか、政府は議論を本格化させるとのことです。 (2/25朝日「日本の人口『移民で1億人維持可能』 政府、本格議論へ」 ◆移民政策への提言 理想的には将来の社会保障の負担を解決できる人口増があればよいのです。しかし人口増が難しいとすれば、それに代わる政策が必要となります。その解決策として移民政策を考えようとしているわけです。 日本は、古来より、単一民族として営んできた国なので、移民の受け入れは、抵抗感があります。ですから単に、移民を受け入れればいいというものではありません。 (1)外国人に参政権を与えてはならない たとえば、外国人地方参政権の問題です。移民に安易に参政権を与えてしまった場合、特に中国人や韓国人を大量に移民として受け入れた場合には日本の政治が左右される事態になりかねません。 また移民を受け入れる国家、民族が偏らないようにバランスを考える必要があります。反日国家、犯罪の多い国より、親日国からの受け入れを増やすべきです。 (2)日本への忠誠と日本人としての教育 日本に住んでいても「日本国籍」を取っていない外国人もかなりいるので、永住権から日本の国籍を与える場合は、日本政府がしっかりと日本人としての自覚を持つ教育をする必要があるでしょう。 日本に忠誠を誓う仕組みが必要と考えます。日本の国益に害を及ぶすスパイ行為や犯罪者に対しては「国籍はく奪」「国外追放」の厳しい処置も必要です。 (3) 高度な技術を持った知識層を受け入れ また人手が不足している介護などの労働力としての移民受け入れだけではなく、高度な技術を持った技術者や知識者層の受け入れを考える必要もあります。これが出来れば日本の経済発展にもプラスになります。 (4) 世界の富裕層の日本移住 さらに税金を安くし世界から富裕層を受け入れることができれば税収も増えます。また世界の富裕層の日本移住は、国防面からも日本のプラスになります。 ◆人口は国力でもある 国家の強さは人口が大きなカギを握っています。たとえば国民一人ひとりの生産量が少なくても、人口が多ければ、国家としての総生産量は多くなります。それで経済力も増し、国防費などに使えるお金も増えます。それが現在の中国です。 米国の世界の警察の役割が低下、中国の世界覇権の野望が現実化している中で、世界の平和を維持するためには、道徳心、正義心の高い国家が世界のリーダーとなるべきです。 共産国家で人権弾圧にも罪を感じない中国に世界の覇権を渡すわけにはいきません。ですから米国と協力は必要ですが日本こそが世界のリーダーとなるべきです。そうした国家ビジョンを日本は持つべきです。 理想的には日本人の出世率があがり人口を増やすことができれば言うことはありません。しかし日本が移民を受け入れざるを得ないとすれば、できるだけマイナスを減らして、プラスを生み出していけるような舵取りが不可欠です。 疑われる日本の元宰相たちの資質――ここ最近の失言・妄言の数々から考える 2014.03.08 文/HS政経塾第1期生 城取良太 ◆目立つ元首相たちの失言オンパレード 日本の元首相たちによる最近の言動には耳を疑うものばかりとなっております。 先日、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長の森喜朗元首相が「(浅田真央選手が)見事にひっくり返ってしまった。あの子、大事な時にも必ず転ぶんですよね」と講演会で述べ、批判を浴びておりました。 その後、家族から怒られ、反省していると弁明しましたが、元首相とは思えない失言だったことは火を見るよりも明らかです。 こうした軽々しい失言と共に、日本のかつてのトップリーダーたちによる、国益を損なうような意図的な言動や行動が相次いでいます。 例えば、先月行われた東京都知事選に出馬していた細川元首相、そして全面的に支援を行った小泉元首相たちは「原発即ゼロ」を謳い、現政権のエネルギー政策に真っ向から対立姿勢を示しました。 また、東日本大震災時の首相で福島第一原発事故において、場当たり的に間違った判断を重ねた菅元首相は、共同通信のインタビューには、「放射能汚染によって東京が壊滅する最悪のシナリオがあった」など、科学的根拠のないデタラメを並べ立て、改めて自分の間違った判断を正当化させ、「脱原発」を呼びかけています。 エネルギー自給率4%の日本にとって、原子力エネルギーがいかに必要不可欠であるか、国家運営を経験した元首相としての自覚を疑う発言や行動が繰り返されています。 ◆外交・安全保障分野における勝手な振る舞いは言語道断! 日本のかつてのリーダーたちの妄言、軽薄な行動は外交・安全保障の分野にも及んでいます。 まず鳩山元首相は、安倍晋三首相の靖国神社参拝や、「過去の歴史について反省する談話を否定するかのような発言」が、日韓の対立を深めることになったと朝鮮日報のインタビューに答えています。 また、慰安婦の強制連行については「日本政府は(問題が)解決済みだと主張しているが、被害者がそう考えていないのであれば、政府からの補償という形で対処すべきだ」と述べ、日本政府は誰もが分かる形で過去の歴史について謝罪すべきであると強調しています。 更に、「村山談話」を世にだした張本人である村山元首相も先日韓国を訪れ、韓国議会内で与野党議員を前に歴史認識に関した講演を行った中で、慰安婦の強制連行を認めた河野談話を全面支持し、元慰安婦たちと面会しました。 その中で、日本で強制性に疑義が出ていることを念頭に「最近、不規則な発言をする者もいる。恥ずかしい限りだ」と指摘し、改めて謝罪外交を継続しています。 しかし、慰安婦の強制連行自体、ずさんな調査で強制性を示す証拠もなく発表されたことは現段階で既に明らかになりつつあり、村山氏の発言自体が紛れもなく事実に反した「不規則な発言」なのです。 ◆国益に反する元首相たちの勝手な振る舞いには一定の措置が必要 我々、幸福実現党は昨年の参議院選挙の時から、日本にはびこる自虐史観を払拭すべく、間違った歴史認識に根差した「河野談話」「村山談話」などの政府見解は「遡って無効である」と訴え続けて参りました。 安倍政権もようやく歴史認識問題に対して重い腰を上げ始め、先日菅官房長官が衆議院予算委員会で、慰安婦募集の強制性を認めた「河野談話」作成経緯の検証チームを設置することを表明しました。 将来的には彼らの行動や発言がいかに根拠のない妄言であったことが、これから事実に基づく歴史認定が正しく行われることで、その許されざる罪が確定していくことでしょう。 1993年8月、79代内閣総理大臣に就任した細川護煕氏から現在の安倍晋三氏まで、約20年間で13人の首相が就任しましたが、ここ最近「公人」としてあるまじき発言をした方は森元首相を含め、実に半数近い6名に上っているという驚くべき事実があります。 確かに森元首相の発言は国益に反する発言までとは言えないかもしれませんが、それ以外の元首相たちは未だに税金で要人警護官(SP)を付けて、歴史認識において政府と真逆の見解を海外で表明したり、脱原発を煽りたて、日本のエネルギー安全保障を危機に陥れるような内容の街頭演説を行い、国益を損なうような行動、発言を繰り返しているという事実を我々はもっと知らねばなりません。 もちろん、日本には言論の自由、表現の自由が認められております。 しかしながら、未だ公人たる立場にありながらも、国益に反するような行動、発言を行う元首相たちの身を国家として守る義務はないという原則をしっかりと立てるべきであります。 更に言えば、外交・安全保障上の問題に関しては、外国と通謀して日本国に対して武力を行使させることを内容とする刑法上の「外患誘致罪(法定刑は死刑)」に当たる可能性があるという議論も、事実一部にはあるということも、しっかりと受け止めて頂きたいと思います。 ◆派閥の論理や力学から脱却し、「大統領制」で強いリーダーシップを! 同時に、この問題は日本の歴代総理大臣の力量不足に帰結すると言わざるを得ません。 これは、日本の議院内閣制が能力や力量よりも、派閥の論理、力学によって、国のトップリーダーを選ぶ仕組みになっていることが一番の元凶だと言えます。 幸福実現党は立党当初から「大統領制」の導入を力強く訴えて参りました。 そうした強くて優れたリーダーの輩出こそが、日本の輝かしい未来を実現し、世界の希望の星となるために必要不可欠であるからです。 電力システム改革で本当に電気料金は安くなるのか? 2014.03.04 文/岐阜県本部政調会長 加納有輝彦 ◆改正電気事業法の成立 昨年11月、電力システム改革を3段階で進める「改正電気事業法」が国会で可決、成立しました。 3段階とは、 (1)2015年に全国規模で電力需給を調整する「広域系統運用機関※1」を設立する。 (2)2016年に電力小売りの参入を全面自由化し「地域独占」をなくす。 (3)2018~20年に電力会社の発電と送電部門を別会社にする「発送電分離」を実現する。同時に電気料金規制(総括原価方式※2)を撤廃する。 ※1:広域系統運用とは、現在、沖縄を除いて9社に分かれている一般電気事業者の系統運用範囲を、いくつかに束ねて広域運用を行うこと。 ※2:総括原価方式とは、電力会社が電気の供給に必要な年間費用を事前に見積もり、それを回収できるように料金を決めるしくみ。 ◆戦後電気事業体制の大改革 これは、電力の鬼・松永安左エ門氏が主導しGHQの「ポツダム政令」に基づいて構築された、1951年以来の電気事業体制(地域独占、発送配電一貫、規制料金等)を抜本的に見直す大改革であります。 この電力システム改革は、大手電力会社による地域独占体制に風穴を開け、電力事業への新規参入や電力会社同士の競争を促し、サービスの選択肢を広げ、電気料金をできるだけ安くする狙いがあるとマスコミは報道しています。(日経2013/11/13) ◆総括原価方式の功罪 東日本大震災後、とりわけ東電に対する厳しい眼も手伝い、電気料金規制(総括原価方式)は否定的に語られることが多かったと思います。 ゆえに、この電気料金規制の撤廃により電気料金が安くなるというステレオタイプ(固定観念)を生んでいますが、話はそう単純ではないようです。 現在、高圧(電圧6000V以上)はすでに自由化され、料金は売り手と買い手の交渉で決まります。 一方、低圧(電圧100V200V)50kW未満は規制され、料金は国の認可で決まります。 規制料金は「総括原価方式」で算定されますが、これは長期にわたる電力会社の設備投資の回収を確実にすると共に、需給がひっ迫して価格が高騰するリスクから消費者を守る効果があります。 震災後に原発が停止して電気料金が上昇していますが、この程度の上昇で済んでいるのは「総括原価方式」の効果であり、規制がなければもっと料金は高くなります。 ◆電力自由化で電気料金上昇 このように「総括原価方式」は長期にわたる電気料金収入を安定的に確保する制度で、原子力のような長期の投資を可能にしています。 電気事業の利益率はそう高くなく、料金が完全に自由化されれば間違いなく投資は短期志向になります。自由化すれば原発のような長期投資をする会社はなくなってしまいます。 実際に、電力自由化が行われた欧州では、各社が設備投資を控えるようになり、発電所が不足し、需給の関係で長期的には料金は上昇するという結果が出ています。 欧州ではガスや石炭など域内にエネルギー資源がありますが、日本の場合は化石燃料はすべて輸入です。このような環境では、日本ではほぼ確実に電気料金は上昇するという専門家も少なくありません。 また、現在の電力会社は膨大な送配電資産を保有し、その減価償却による営業キャッシュフロー(≒利益+減価償却)で、膨大な設備投資に伴う投資キャッシュフローを賄っています。 つまり、発送配電一貫で資産を保有するからこそ、原子力のような長期の投資を行うことが可能となっているのです。 しかし、これらの資産を切り離した場合には、誰も原子力には投資を行わなくなってしまいます。英国や、米国の発送電分離を行った州で顕著に見られ、諸外国の事例に明るい人ほど、発送電分離には慎重な意見を持っています。 ◆歴史認識とエネルギー政策は連関している このように電力システム改革により、メリットと共に、電気事業者が長期的視野にたった投資が困難になるというデメリットもあることを、私たち国民は冷静に知っておく必要があると思います。 さらに敷衍しますと原発の新設が不可能になるということであります。安全性をさらに高める為には、新規原発の建設による設備の更新が最も効果的であります。 資源のない日本の安全保障、発展繁栄のためには、新規原発の建設が不可欠であります。フランスは日本と同じく資源小国であり、EUのエネルギー政策に歩調を合わせつつも、原発大国として発電の80%を原発が賄っています。 フランスと日本の違いをあえて言えば、連合国(戦勝国)と敗戦国意識の違いでしょうか。わが国が自虐史観を克服し、正しい歴史認識を持つことができれば、エネルギー政策も自ずと確固たるものになると思います。 歴史認識とエネルギー政策は密接に連関しています。幸福実現党は、エネルギー自給率を高め、日本の安全保障を確固たるものにするべく研究を続けてまいります。 今こそ日本は「円国際化」の国家目標を掲げよ! 2014.03.03 文/HS政経塾2期生 川辺賢一 ◆「金融版CIA」米財務省の活躍 3月2日の日経朝刊には、イランで米欧と対話を望むロウハニ大統領を誕生させ、同国を交渉の場に引きずり出した影の立役者として、「金融版CIA」というべき米財務省の活躍に焦点を当てたコラムが載せられています。 当記事の要点としては、(1)05年北朝鮮への金融制裁は予想外の効果を発揮し、イラン制裁の雛形になったこと、(2)基軸通貨ドルによる国際決済網によって米財務省はドル決済に関わる不審な取引を次々と暴くことができること、(3)金融制裁の効力は対象となった国だけでなく、世界中の銀行もドル決済が出来なくなることを恐れるため、波及的に広がることです。 このように基軸通貨ドルによる国際決済網は米国最大の情報源の一つであり、外交評論家の岡崎久彦氏も指摘するように、基軸通貨国による金融制裁は国際政治の中で使える軍事力以外の有効な手段です。 参照:「金融制裁の効果」岡崎久彦氏 http://blog.canpan.info/okazaki-inst/archive/166 ◆矛盾を抱えつつ国際化を目指す中国人民元 さて中国では2011年、中国全土での元建て貿易決済が解禁され、2013年1~6月の人民元建貿易決済額は前年度比で64%も増加しています。さらに先月21日、上海自由貿易試験区が始動し、試験区内での資本取引の自由化が解禁されました。 このように中国は人民元の取引規制を段階的に緩和し、ドルやユーロ、円、ポンドに並ぶ人民元の国際化を推し進めていく戦略です。 一方で中国は急速な資金流入による元高を恐れ、先月26日には大幅な元売りドル買介入に乗り出しました。中国は試験区内で外国から資金を受け入れつつ、別のところで資金を吐き出す、矛盾した政策をとっていると言えるでしょう。 つまり上海自由貿易試験区での資本取引解禁といえども、人民元の為替レートを政府が人為的にコントロールできる範囲の自由化であり、人民元の本格的な国際化にはさらなる中国経済の成熟が不可欠であるということです。 しかし中国は矛盾を経済成長で解消してしまおうという戦略です。私たちは中国の人民元国際化戦略を軽視すべきではありません。 もしもアジアが人民元の海になってしまえば、アジアの国々は貿易決済をするにも元が必要になり、文字どおり中国に生殺与奪の権を握られてしまいます。さらに米国の金融制裁にも抜け穴ができてしまいます。 ◆元襲来を打破し、日本は「円国際化」の国家目標を掲げよ! さて米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は先月11日の議会証言で米国内景気の後退のみが金融政策の方向性を左右すると述べ、新興国の通貨不安やインフレについて配慮する姿勢を示しませんでした。 現在アジア地域の貿易や投資においてはドル建ての取引が圧倒的なウェイトを占めており、何らかのショックや米国の政策転換によって世界でドルへの需要が高まると、アジア新興国では輸入代金支払いや借入金返済のためのドル資金がひっ迫し、危機へとつながります。 今回の量的緩和縮小が示すように「過度なドル依存」はアジア新興国経済に危機を呼び込みます。アジア地域と緊密な関係にある日本経済にとっても、アジア新興国の「過度なドル依存」問題は他人事ではありません。 アジア新興国経済の安定化のためにも、日銀は米連銀に代わって追加金融緩和を打ち出し、日本政府はアジア地域での円建ての国際決済を増やしていくべく「円国際化」の国家目標を掲げるべきです。 既述の通り、中国は矛盾を抱えながらも着々と人民元の国際化に向けた取り組みを進めております。 今こそ日本政府は元襲来の危機に備え、円でアジア太平洋地域を一つにしていく、21世紀の対外経済戦略を構築していくべきです。 「海洋大国・日本」―新たな国家ビジョンと安全保障【連載第10回】(最終回) 2014.02.28 文/幸福実現党総務会長兼出版局長 矢内筆勝 《日本よ、誇りを取り戻し、新文明創造の気概を持て!》 ◆日本の国防 今回の論考では、日本がいかに膨大なエネルギーと鉱物、食料資源に恵まれた夢のような国家であるのかを紹介しました。 そして、その「宝の山」を、隣国中国が凄まじい勢いで軍事力を増強させ、奪取せんとしている事実を明らかにし、如何にすれば、その国家的な危機から、日本が国家と、国民の生命、財産、安全を守れるのかを述べてきました。 結論として述べておきたいのは、21世紀のアジアと世界の平和と安全、自由と民主主義を守るために、日本人は今こそ、本来の自信と誇りを取り戻し、自らの使命と責任を果たさなければならない、ということです。 ◆日本の誇りを取り戻せ! 戦後日本人は、アメリカの占領政策の一環として、日本は戦前アジアを侵略した悪い国家であるという「自虐史観」を植え込まれてきました。 その結果、日本はかつての自信と誇りを失い、安全保障すら他国に委ねて経済的な繁栄のみを追い求めるという、属国的な「商人国家」の道を歩んできたのです。 しかし、そうした「日本悪玉説」は、占領国や日本を憎む一部の周辺諸国のプロパガンダに過ぎません。かつて世界は、16世紀から500年もの長きにわたって、白人列強の人種差別と植民地政策によって蹂躙されていた歴史があります。 白人優位説のもと、有色人種は人間として扱われず、まるで牛馬のように使役され、奴隷にされ、虐殺され、収奪されていました。 そうした暗黒の時代を打ち破るべく、立ち上がった誇り高き国家、国民こそ、日本でした。そのために先の大戦では実に300万人もの国民の尊い命が失われましたが、その結果、東南アジアの植民地は欧米の植民地から独立できたのです。 これを機に世界は人種差別を撤廃へ舵を切り始めました。人間が人種を問わず平等に扱われるという理想が実現したのです。 ◆日本人の使命 この「人類の平等」という日本人の確信は、数千年の歴史の中で培われた仏神への信仰と、人間がその仏神によって創られたという、「仏の子」「神の子」であることへの、確信から生まれたものです。 日本人は、そうした仏神への信仰と、そこから生じる普遍的価値を実現するために、武士道精神を持って、身を挺して戦い、新しい時代を拓いたのが、明治維新以降の日本の真実の歴史です。 そして今、世界の覇権大国であったアメリカが財政・国内問題によって、世界の警察を止め、その影響力を急速に失いつつある今、時代は再び、日本がアジアの自由と繁栄の擁護者、盟主として、新しい使命を果たすことを求めています。 その「使命」が如何に大きなものであり、仏神の意を受けたものであるか--それは、この時期に合わせたように、国連海洋法条約が制定され、日本の排他的経済水域内に、他国から見れば垂涎の的以外の何ものでもない、膨大なエネルギー資源の存在が明らかになってきたのです。 ◆太陽の昇る国、日本 そうした日本の歴史的使命の観点に立って考えれば、眼前に迫る中国の脅威も、日本が独立国家として目覚め、国家としての気概と武士道精神を取り戻すために立ち現れた「砥石」に過ぎません。日本を「本物のリーダー国家」たらしめるために、天が与えた試練であると捉えることができます。 日本はいよいよ、戦後に捏造された自虐的で捻じ曲げられた歴史観を払拭し、真実の国家と民族の誇りと自信を取り戻さねばなりません。 そして一国平和主義ではなく、アジアと世界のために貢献するという本来の使命を自覚して、雄雄しく立ち上がらなければならない秋(とき)を迎えているのです。 「この国に再び日を昇らせて、世界の太陽とせん」(『 天照の御教えを伝える 』 大川隆法著 幸福の科学出版) 日本が再び「太陽の昇る国」として、光輝く時代を創るために、必要なエネルギーや資源も、国際政治の舞台も、そして方法論もすでに与えられています。 あとは、「やるか、やらないか」――私たち日本人一人ひとりの意識と自覚、そして行動にかかっているのです! 「出ずるを制して入るを量る」国家財政の実行を! 2014.02.27 文/HS政経塾1期生 伊藤のぞみ ◆法人税率引き下げと税収増を両立した独・英・韓 先週20日、政府の経済財政諮問会議の民間議員は、法人税を減税しながら税収が増えた英国、ドイツ、韓国の事例について報告書を発表しました。 1995年から2012年にかけて実効税率を24.9%下げたドイツは5.6%、9%下げた英国は年平均4.8%、2000年から12年までに6.6%引き下げた韓国では9.4%法人税の税収が増加しています。 税率を下げ税収を増やすことに成功し、モデルとなっているのがアメリカのレーガン政権二期目の法人税改革です。 当時46%だった法人税率を34%まで引き下げながら、重厚長大産業に対する特別措置を廃止することで課税ベースを増やし、法人税収を増やしました。 今回の分析を受けて、報告書では「アベノミクスの成果による税収増の還元などによって、(法人税率をアジア主要国並の)25%の水準に引き下げていくべきだ」と提言をまとめています。 ◆減税による税収増のポイントはデフレ脱却と景気回復 ただし、単純に法人税率を下げれば税収が増えるわけではありません。減税による税収増を実現するためには、景気回復とデフレ脱却が必須です。 日本においては、1999年と2004年の2回にわたり、法人税の実効税率を49.98%から39.54%に10.4%減税しましたが、残念ながらデフレによる景気悪化の影響で、法人税収は1.7%減少しています。 昨年から続く金融緩和でデフレ脱却の期待がありますが、4月からの消費税増税で、景気回復、デフレ脱却ともに難しくなります。 消費税の増税が景気を悪化させるのは、説明するまでもありませんが、補足すると、2013年10月から12月期の経済成長率の速報値は年率換算で1.0%と前期から落ち込んでいます。 甘利経済産業大臣は「民間需要を中心に景気が着実に上向いている」(2月17日)と発言していますが、消費税増税前の駆け込み需要であり、増税後の消費の冷え込みを楽観することはできません。 消費税増税は景気を後退させるだけでなく、デフレも悪化させます。デフレは需要の不足、供給の過剰によって発生します。 消費税の増税は企業の投資と個人消費を減らし、経済全体の需要を引き下げるので、デフレは長期化します。法人税減税で税収増を実現したいのであれば、デフレ脱却、景気回復は必須であり、消費税は増税すべきではありません。 ◆減税のために必要な社会保障改革 もうひとつ、減税の議論が出るたびに、問題となるのが増えていく一方の社会保障給付費です。国民医療費(公的保険が適用される医療費の総額)は2011年度で38.5兆円と過去最高を更新し、13年度には40兆円を突破する見込みです。 また、介護保険に関しても、2012年の8兆円から2025年には20兆円に増加すると予測されています。2012年度末、53兆円を超えた年金の給付も、2025年には60兆円を突破し、社会保障給付の総額は149兆円に上ると言われています。(厚生労働省試算) 「増え続ける社会保障費にいかに対応するか」 政府の回答は以下のような形です。 ・年金からの収入が年280万円を超える高齢者と、所得から経費を引いた年収が160万円以上ある自営業の高齢者が介護を受けるさいの負担を1割から2割に ・40歳から64歳が負担する毎月の介護保険料が4972円から5273円に ・国民年金の保険料が7%引き上げ(新規加入者に関して) 「給付をいかに増やさないか」ではなく、「負担を増やす」変更が目白押しです。 こういった「改革」で介護保険給付費を年1430億円抑制できると厚生労働省は試算していますが、8兆円から20兆円に増加する介護保険給付費にとっては焼け石に水です。 経営の基本として、「出ずるを制して入るを量る」ということが言われています。まだ入ってきていない収入を期待して、支出を決めるのではなく、まず出ていくお金を最小限に抑え、収入を増やす工夫をすることです。 国家財政の経営を見ると、全く「出ずるを制して」いません。現在の国家財政にとって必要なことは、この「出ずるを制す」仕組みです。 ◆生涯現役―日本モデルの高齢社会を発信せよ 昨年、65歳以上の就業者数が41万人増加し636万人となり、就業者全体のうちの1割に達したという発表がありました。 ※『高齢者が働く人の1割に』日経新聞電子版 http://www.nikkei.com/article/DGXNZO66980330Y4A210C1MM8000/ そして、増えたうちの6万人が建設業に就職しています。高齢の就業者に似つかわしくないと思える業種ですが、2020年の東京五輪開催に向けて、技術に信頼のおける高齢者を即戦力として積極的に採用したいと考える企業もあるようです。 年齢に関係なく働けることは、健康の維持にもなり、働いている人が多い地域は、一人当たりの医療・介護費が低いともいわれています。 社会保障において「出ずるを制す」もっとも根本的な政策は、年齢に関係なく健康で働くことができる社会をつくっていくことです。そして年金に頼るのではなく、生涯現役で活躍できる日本モデルの老後を世界に発信するべきときです。 参考文献 大川隆法『未来創造のマネジメント』(第二章デフレ時代の経営戦略) 自由と未来を守るために、日本は台湾を守りぬけ! 2014.02.22 文/HS政経塾1期生 兵庫県本部副代表 湊 侑子 ◆急速的な中台の接近 1949年の分断以来初めて、2014年2月11日に中国と台湾による公式な会談が開かれました。 中国と台湾は、お互いに相手の主権を認めておらず、今までは民間の窓口を通じて、経済分野における交流を行っていました。しかし、今回の会談は、中台双方の主管官庁トップ(閣僚級)同士によるものであります。 今年秋に中国で開かれるAPEC首脳会議における習近平と馬英九による首脳会談、そしてその後の台湾の香港化、緩やかなる台湾併合を狙う中国にとって、大きな一歩を進めた形となります。 ◆中国包囲網を形成するためのTPP参加をうながすアメリカ 一方でアメリカは、台湾が中国に吸収されることを恐れ、中国牽制を狙い台湾のTPP加盟に向けて、台湾当局との調整を加速しています。 元来、馬政権はTPP参加を2020年までの目標としていましたが、最短であれば台湾のTPP合流が2015年中に実現する可能性も出てきています。(2014.2.17 読売『米、台湾加盟へ調整急ぐ』) 中国の反対によって、国際協定に参加するのが難しい台湾にとって、中国が参加しない国際協定であるTPPは、世界に台湾の存在をアピールする千載一遇のチャンスであります。 ただし、北京政府は台湾のTPP参加表明に対して、「台湾のTPP加入と、中台間で締結された両岸経済協力枠組協議(ECFA)は相互排他的なものである」(2012.2.15 Council on Foreign Relations)と警告しています。 台湾のTPP参加諸国への総輸出額は全体の25%を占める一方で、中国・香港へは全体の40%に上るため、台湾は今後難しい選択を迫られるだろうと考えられます。 ◆別れるに別れられないカップル? 中国と台湾 現在の台湾・中国の関係は、離れるに離れられないカップルのようです。 女(台湾)が男(中国)に「将来は結婚する(併合を受け入れる)しかないと思うけれど、家庭内暴力だけはやめてね」とお願いしている状態です。 男は「わかってるよ、当たり前じゃないか。香港をみたらいいよ、ちゃんと自由があるだろう?」と答えますが、男の過去の言動を考えると、女が結婚後に悲惨で壮絶な生活を送ることになることは明らかです。 現に、「一国二制度」を導入し、50年間の自治を与えられた香港の自由と民主主義は中国共産党の独裁の手に落ちかけています。 ある香港人は言います。「台湾に頑張ってほしい。中国が香港の自由を尊重するのは台湾問題があるからだ。台湾を併合した後は、香港は好きなようにされるだろう」と。 2011年の調査によれば、台湾の未来について、永遠に現状維持か現状維持後に決定するべきだと考えている人が全体の6割、独立を支持する人は2割にとどまります。(台湾政治大学選挙研究センター調べ) しかし、大陸に隣接する小さな国が、現状を維持できる可能性はどの時代においても極めて低いものです。命運を賭けた選択をすべき時期が、近づいてきているように感じます。 ◆日本が台湾とアジアの平和を守るためにできること 台湾の南側にあるバシー海峡は、日本にとってエネルギーや食糧を運んでくるための命の道であります。中国によってこの海峡を封鎖されることになれば、日本だけでなく、韓国や東南アジア諸国も息の根を止められ、中国の支配下に入らざるを得なくなります。 そのためには、台湾と自由主義国家とのつながりを強め、台湾併合を阻止しなければなりません。 日台間の漁業協定が締結された今、さらなる関係強化を図るために日本がとるべき政策としては、 ①日台間の自由貿易協定(FTA)、経済連携協定(EPA)の締結 ②TPPの早期締結と、台湾のTPP参加への後押し ③集団的自衛権の容認 ④いざというときに台湾を守るための、日本版「台湾関係法」の制定 ⑤台湾の国連復帰への後押し、台湾の国家承認 などが考えられます。 今の日本は、急速に軍事費を拡大し、周りの国を脅かしている中国という国が隣にあるにもかかわらずその現実には目をつぶり、妄信的に平和・反核・反軍事力信仰をしている状態にあります。 そろそろ現状を見なければ、第一次世界大戦による甚大な被害への反省と恐怖から、「あらゆる戦争に対して無条件に反対する」という平和主義を唱えた結果、ヒトラーを野放しにしてしまったヨーロッパのようにならないとも限りません。 中国や国内の平和主義者たちの反発は避けられませんが、地理的にも歴史的にも、縁が深い国台湾を守ることは、私たちの自由と未来を守ることに他なりません。 台湾自身に、「野蛮な中国よりも、頼りがいのある日本を」と選んでもらえるような国に、日本自身が変わっていかなければならないと感じています。 起業大国・日本の挑戦――シリコンバレーを超えるベンチャー創造国家へ 2014.02.17 文/HS政経塾二期生 鈴木純一郎 ◆日本復活の鍵は“ベンチャースピリット” 日本は90年代から「失われた20年」とも言われる長きにわたる経済低迷に襲われました。慢性的なデフレ状態の下、経済成長のない世界というものを経験したのです。 現在、アベノミクスという形でこの失われた20年にピリオドを打つ試みがなされていますが、今年来年と続く消費増税の悪影響が懸念されるなど、まだまだその行き先には不透明感が漂っています。 日本がこれから経済的に復活し、世界を牽引できる未来産業国家になるためには、大胆な金融緩和や財政政策などのマクロ政策が必要なことは言わずもがなですが、それ以上に大切なことは、日本人の内に眠るベンチャースピリット・起業家精神を呼び覚まし、新しい価値を創造する起業家を数多く輩出することではないでしょうか。 ◆シリコンバレー成功の秘密―スタンフォード大学 90年代、バブル崩壊に沈んでいた日本とは対照的に、当時のアメリカは80年代の経済的苦境を脱出して空前の繁栄を謳歌していました。 その大きな原動力となったのが、シリコンバレーに代表される地域から生まれた新進気鋭の起業家群、ベンチャー企業群の台頭です。 Google、Yahoo、マイクロソフト、インテルなど世界有数の企業の活躍が90年代以降のアメリカ経済の成長を牽引しました。90年代以降、日本における会社の廃業率は開業率を上回り続けていますが、その一方でアメリカからは次々と野心的な起業家が誕生したのです。 シリコンバレーはアメリカ・カリフォルニア州サンフランシスコ南部のサンタクララ郡を中心とした地域の俗称です。なぜこの地域が上で挙げたような世界企業を生み出し、今も“イノベーションの聖地”と言われているのでしょうか。 軍需の存在、頭脳移民の力、フリーウェイなどの発達した交通インフラの存在など数多くの理由がありますが、ここで取り上げたいのは、シリコンバレーの中心に存在するスタンフォード大学の役割です。 このスタンフォード大学から数多くの優秀な起業家が輩出され、この大学の周辺地域に産業が集積し、シリコンバレーが形成されてきたという歴史があるからです。ヒューレット・パッカード、YahooやGoogle、ナイキなどの創始者もスタンフォード大学出身者で、皆在学中に起業しています。 アメリカには、シリコンバレー以外にも様々な産業クラスター(産業集積地)が存在しますが、その中心には、必ずスタンフォード大学のような「知識と技術と人材の創造の主体としての大学」の存在があります。 「新たな知と技術シーズ、優秀な起業家の創造の供給拠点としての大学が中心となって、その周辺地域に企業・産業が育成されていく」というセオリーがありました。 その下に、大学への研究開発資金の大胆な投下、大学から民間への技術移転の促進、ベンチャー企業育成のためのリスクマネーの供給システム(ベンチャーキャピタルなど)の整備などを行い、産学連携の成功モデルを創りだしたことがアメリカ経済の成功の秘訣でした。 日本においても大学改革こそが産業発展の道であると考えられます。 ◆起業大国・日本への道 昨年、安倍首相が打ち出した成長戦略においては、スタートアップを支援する方針が出され、現在5%程度の日本の開業率を英米並みの10%に引き上げることや、ベンチャーキャピタル投資への税制優遇、大学発ベンチャー支援なども打ち出されています。 しかし、開業率に関して言えば、経済成長率(実質GDP成長率)と正の相関関係があることがわかっており、二段階にわたる消費増税によって経済成長率が低下すれば、開業率にも悪影響であると考えられます。 ベンチャーキャピタル投資についても同じで、株式市場が活況を呈していなければ、本当の意味でベンチャー投資にお金は回らないでしょう。 増税ではない正しい金融財政政策でマクロ経済環境を安定的に発展させつつ、日本の大学改革を含めたイノベーション政策、産学官連携を押し進めることが重要です。 そして何より大事なことは、ホリエモン事件に見られるような資本主義精神への攻撃を是とするような風潮を脱却することです。シリコンバレーの成功の最大の理由は、「起業は偉いことであるという信仰」が存在することとも言われています。 新しい雇用と価値を創造し、国家社会を豊かにする起業家を尊敬し応援する価値観を広く共有することこそが、起業大国・日本への道ではないでしょうか。 【参考文献】 『改革の経済学』 若田部昌澄 『産業クラスター政策の展開』 西山太一郎 日本経済の本格的な冬到来は4月から 2014.02.15 HS政経塾1期生 城取良太 ◆盛り上がる「安倍春闘」と経営現場の実態 各業界の労働組合から久方ぶりとなるベースアップ(ベア)要求が経営陣に対して提出され、春季労使交渉が本格的にスタートしました。 13日には電機各社の労働組合は足並みを揃え、2014年の春季労使交渉の要求書を経営側に提出し、トヨタ自動車と同水準の月額4000円のベアを5年ぶりに要求しました。 また、年間一時金(賞与など)についても、業績連動方式の企業を除いて、「最低4か月分」が統一基準となっております。 その背景にあるのは、昨年初頭から繰り返し述べてきた安倍首相のデフレ脱却を名目とした強い賃上げ要請、経団連のベア容認発言であり、今年は「安倍春闘」とも揶揄される位、賃上げ機運は高まっております。 これに対するサラリーマンたちの反応は上々なようで、新聞社の新橋駅前の街頭インタビューなどでも「今年の春闘にかなり期待している」「最近覚えた単語は『ベア』」「給料が増えたら貯金して家を買いたい」などと賃上げに期待する声が多いようです。 しかし一方で、日本生産性本部系の団体が1月下旬に公表した経営者アンケートによると、今回「ベアを行う」と答えた経営者は200人弱の3割にとどまっております。 全体的に好調にみえても、個別にみるとばらつきがあり、リストラなどを続けて経営環境が厳しい企業も少なくなく、特に中小企業の多くでは、自社の経営状態を立て直すのに精一杯だというのが実際の経営の現場だと考えられます。 ◆国の経済政策を成功させるための賃上げ干渉はアリか? そうした経営の現場感覚を軽んじ、アベノミクスを成功させるために、国家が民間企業の賃上げに介入しようという現政権の姿勢には疑義を挟まざるを得ません。 なぜなら、従業員のベースアップによって内部留保を取り崩さなくてはならず、企業によっては新規工場建設などの設備投資、将来の飯の種を創造するような研究開発費を削減する必要が発生するからです。 企業の手元資金をどのように活用するかは、企業の経営戦略の中核部分であり、民間企業においては企業経営の自由を与えられているはずです。 しかしながら、昨年10月に経済産業省が個別企業の賃上げ状況を監視し、賃金アップにつなげていく方針を示している通り、現政権は企業に与えられた自由を明らかに制限しようとしているのです。 ◆政府の賃上げ干渉の「ツケ」は従業員に返ってくる また、アベノミクスの成否とは別に、この現政権による賃上げへの干渉は、サラリーマンへのバラマキ政策のように見えてなりません。 日本における平成24年度の雇用者(役員を除く)は5,154万人に上り(内訳は正規雇用が3340万人、非正規雇用が1,813万人)、日本の半数近くに達します。 彼らの期待感を高めることで政権の支持基盤の安定度を高める意図があるかどうかは分かりませんが、反面でベースアップを行えない企業に対する従業員たちの不信感や不満を政府が間接的に募らせてしまうという事実があることをキチンと見据えるべきです。 しかしながら、賃上げのツケは従業員に戻ってくるとも言えるでしょう。 実際に、銀行側がコスト上昇となる賃上げを含む事業資金には貸し渋りをする事例がでており、賃上げ企業が事業資金調達を行いづらくなることで、経営環境が悪化してしまうことも予測できます。 更に、賃上げを享受する従業員が出る一方、企業のリストラが更に進行し、失業率が上昇してしまうという矛盾も発生する可能性があるのです。 ◆同時に待ち受ける4月からの「消費税増税」 企業にとって4月に待ち受けるのは「ベア」だけでなく、「消費税増税」もあります。 消費税増税によって家計が苦しくなるのは一目瞭然ですが、企業にとっても「売り上げを落としても今の利益率を守るためにサービス価格を引き上げるか」、または「売り上げ死守のため利益を圧縮してもサービス価格を据え置くか」といった苦しい判断を迫られることになります。 苦しくなる企業にとって唯一の朗報は「法人税減税」だと言えます。 現在の法人実効税率35%強を25%程度まで減税すると踏み込んでおりますが、現在行われている政府税調での議論の焦点は早くも「10%引き下げによる5兆円の税収減をどう補填するか」という内容に終始し、財務省主導の財政規律主義がまかり通っている現状で、先行きは暗いと言わざるを得ません。 ◆「企業の自由こそが富の源泉」という哲学が必要だ 安倍政権においては、「河野談話」を初めとする歴史認識についての踏み込みが足りないところがあるものの、外交・安全保障の領域においては安倍首相のリーダーシップによって大きな成果を挙げていると言えます。 しかし、反面で経済政策においては、過度な賃上げ干渉によって社会主義化への道を歩みながら、消費税増税によって更に企業と個人を苦しめようとしております。 皮肉なことに、春を迎える4月から日本の企業にとっては本格的な「冬」が到来するのです。 そして忘れてはならないのが、企業にとっての「冬」は、私たちにとってもいずれ「冬」になるという事実で、決して短期的利益のみを見て、賃上げを肯定するべきではありません。 幸福実現党は立党当初より、消費税増税に反対し、「安い税金」を党是として訴えて参りました。 また、国家のあるべき経済政策には、まず起業家精神の発揮を推奨し、企業の自由な行動こそが国を富ませ、強くするという哲学が必要です。 そして、企業経営にとって最適な環境を整え、企業の活力を引き出すことで、新しい価値の創造、雇用の増大、ひいては賃金の上昇につながっていくものだと確信します。 今の安倍政権は経済面において左翼政党と同じ穴のムジナだと言わざるを得ません。 是非とも、財務省の論理に負けず、企業の自由を死守して頂きたいと思います。 高速増殖炉“もんじゅ”視察を通して 2014.02.08 文/HS政経塾1期生 湊 侑子 ◆日本は“もんじゅ”の実用化を諦めてしまうのか? 日経新聞が2月7日の第一面で、高速増殖炉“もんじゅ”に関して、「実用化に向けた目標を白紙に戻す」と報じました。 これに関して 菅義偉官房長官は「新たなエネルギー基本計画は現在検討を進めているところ」「方向性を決めた事実はまったくない」と否定しましたが、“もんじゅ”実用化のめどがたっていないことから、高レベル放射性廃棄物の量を減らす「減容化」の研究に転用する案が浮上しているようです。 そのため、2月中に閣議決定を目指すエネルギー計画で“もんじゅ”の位置づけが見直される可能性は大いにあると考えられます。 ◆高速増殖炉“もんじゅ”とは? ウランは、燃えるウラン(ウラン235)と燃えないウラン(ウラン238)の二種類で構成されています。燃えない部分の方が圧倒的に多く、燃える部分を1とすると、燃えない部分がその142倍も存在しています。 現在、一般の原発は燃えるウランを濃縮して燃料としています。そのウランの可採年数はあと100年であり、限りある資源です。 そこで、この燃えないウランを効率的に利用するための研究開発をしているのが高速増殖炉なのです。 高速増殖炉では、燃えないウランをプルトニウムに変えることで、発電しながらも使った以上の燃料を産み出し続けることができます。実用化できれば、未来永劫数千年のエネルギーを確保できます。それが、奇跡の施設である“もんじゅ”なのです。 ◆“もんじゅ”はどうして動かないのか? “もんじゅ”は1991年に完成し、1995年8月から発電を始めました。しかしその4か月後にナトリウム漏れの火災事故を起こし、停止。 事故対応に対するマスコミ批判や左翼住民による訴訟が起こったため14年半かけて運転再開しましたが、再稼働から3か月後の2010年8月に炉内の中継装置落下事故を起こして再度停止。 原子力規制委員会から事実上の運転禁止命令が出され、福島第一原発事故の影響もあり、現在は停止しています。 ◆“もんじゅ”を取り巻く組織の問題点 2月5日、“もんじゅ”とその周辺の原発を視察しましたが、今回、行政の問題点を多く感じました。 まず、“もんじゅ”を運営する独立行政法人である日本原子力研究開発機構には、やはり詰めの甘さやお役所仕事の部分があったと感じました。 ただしマスコミは混同して本質を分からなくしがちですが、組織の内部の問題と“もんじゅ”の重要性は関係ありません。 組織改革を進めながらも、管轄する文部科学省は腰を入れて、高速増殖炉の必要性を国民とマスコミに訴える必要があると感じました。 ◆原子力規制委員会と政治家の問題点 更に、原子力規制委員会を構成する委員の偏向性や一方的な意見の押し付けにも疑問を感じました。 一日も早く原発を動かすためには、原子力規制委員会の安全基準を通過しなければなりません。 そのため例えば、福井県のある原発においては、耐震設計上考慮すべき活断層かどうかを調べる敷地内の破砕帯(断層)問題に、自社費で10億円以上をかけて用地を掘削させられています。 しかし原子力規制委員会は、一般的な理論を振りかざし、現場の意見には耳を貸さず、現場も一度しか見に来ていません。 具体的な判断基準も根拠も明確に示さない上で判断するとのことでしたが、それらは評価ではなくイチャモンのレベルであると考えます。 これが真に科学的、理論的な審査であるのか大いに疑問を持ちました。 この原因は、一つには原子力規制委員会が「三条委員会」と呼ばれる庁と同格の独立した行政組織で、独自に規則を制定したり告示を発出する権限を持つ組織であるところにあります。余りにも権限が大きすぎるのです。 また権限の大きさにも関わらず、取るべき責任が小さすぎるとも感じます。ただ、その根本には国の根幹であるエネルギー政策を、原子力規制委員会の判断に任せ、判断から逃げている政治家の弱さがあると感じました。 ◆夢の原子炉“もんじゅ”の実用化を諦めてはいけない! 世界は再び、高速増殖炉の研究に力を入れ始めています。フランスは2020年頃をめどに商業化一歩手前(実証炉クラス)の高速増殖炉を再び建造する動きがありますし、ロシアの研究も日本の先を行っているようです。 その他中国やインドでも開発が進んでいます。日本だけ遅れるわけにはいきません。 世界の人口は、2050年に約90億人に達すると考えられています。その中では、資源を巡っての争いが必ず起こってくるはずです。高速増殖炉が日本にあれば、将来のエネルギーを確保することが可能です。 ただし、“もんじゅ”の実用化を諦めれば、エネルギー自給率を上げて安定的なエネルギーの供給を行うことを諦めることになり、ひいては日本の発展を諦めることにつながります。その結果、他国に未来をゆだねることにもなりかねないのです。 日本は発展し、世界にその発展の基となる技術や思想を伝える使命があります。夢の原子炉“もんじゅ”の実用化は、絶対に諦めてはいけません。 すべてを表示する « Previous 1 … 57 58 59 60 61 … 78 Next »