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新型コロナを「5類」へ 反対論の是非を検討する

http://hrp-newsfile.jp/2021/4182/

幸福実現党政務調査会 藤森智博

◆新型コロナを「5類」とすれば、軽症患者も医療サービスにアクセスできる

今夏のデルタ株の感染拡大に伴い、入院病床がひっ迫しました。この状況に耐えかねて、一部の医療関係者は、新型コロナを季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げるべきと声を上げました。

「5類」とすることで何が変わるのでしょうか。現在、新型コロナは、ペストやエボラ出血熱と同じ1類相当の措置もできる区分です。

この区分だと「保健所」が全ての患者を管理する必要があるため、感染者数が激増するとパンクします。すると、日本は世界一の病床数があるにもかかわらず、いわゆる医療崩壊が発生します。

つまり、5類にすれば、保健所での「目詰まり」が解消され、医療サービスにアクセスしやすくなるわけです。

特に、軽症者に関しては、「自宅療養」と称して事実上放置されていた状況が改善されることが期待されます。

しかし、こうした5類への変更には、根強い慎重論が存在することも事実です。本稿では、そうした慎重論を検討します。

◆5類変更に反対する理由(1):医療費が自己負担になる → 現状維持は、かえって将来の負担増

第一に挙げられる反対理由が、医療費が自己負担となることです。

現在は、コロナの医療費は全額無償となっていますが、5類であれば無償の根拠が失われます。重症化すると莫大な医療費がかかるので、これを警戒するわけです。

しかし、自己負担と言っても、全額自己負担にはならず、負担は限定的です。健康保険制度があるため、最大でも3割負担にとどまります。

また、高額療養費制度という月の医療費の上限を定めた制度もあります。

例えば、100万円の医療費の場合、自己負担額は本来3割の30万ですが、同制度を利用すると、1割以下の9万円で済むケースもあります。

本制度の是非はここでは論じませんが、少なくとも5類への変更によって、莫大の負担が生じることは現状あり得ません。

さらに言えば、5類への変更で、軽症者が医療サービスにアクセスしやすくなれば、軽症者の「中症化」「重症化」を未然に防ぐことも期待できます。その結果、莫大な入院費用が抑えられ、日本全体の負担は減少することもありえるでしょう。

コロナ医療のための負担は、結局「将来の増税」によって賄われるものなので、長期的に見たら、今の状況を維持することには問題があります。

5類に変更することで、医療資源を無駄なく活用した方が、結果的には私たちの負担は少なく済むでしょう。

◆5類変更に反対する理由(2):感染者が増える → 現状維持でも、将来的な感染者増は防げない

次によく挙げられるのは、5類にすると感染者が激増するのではないかという疑惑です。5類になると、緊急事態宣言などを発出する根拠を失うので、人との接触が増え、感染が増えるのではないかということです。

しかし、人と人との接触を制限する現在の枠組みには明らかに弱点があります。それは、ロックダウンのような接触制限で感染の封じ込めにたとえ成功しても、一時的にすぎないということです。

新型コロナは感染爆発の中心をぐるぐると変えながら、世界中で流行し続けており、収束の兆しは見えません。こうした状況下では、行動制限は長期化せざるをえず、社会的弱者に大きな負担を強いることになってしまいます。

そればかりではなく、行動制限はある種の「滅菌状態」であるため、いざというときの抵抗力は弱くなります。従って、今後、新型コロナが劇的に強毒化した場合も、より被害が拡大する可能性もあります。

なお、「ワクチンがあるから大丈夫」という考えもありますが、ワクチンが有効であれば、そもそも行動制限を課す必要はありません。

◆5類変更に反対する理由(3):新しい変異株に対応できない →既存の株と強毒の変異株の対応を変える

最後に検討したい反対理由は、新しい変異株についてです。5類に変更した後に、より強毒な変異株が登場した際に対応できなくなるという懸念があります。

これについては、「新型コロナ」とまとめて考えるのをやめれば解決できます。つまり、既に流行した株と本当に危険な新しい変異株を別種に分類すればよいのです。

例えばインフルエンザでも、季節性か強毒の新型かによって既に別分類となっています。ですから、新型コロナでも毒性が段違いに異なれば、別分類にしても問題ないと言えます。

ですから、既存の変異株も含め、従来株は、5類に引き下げても問題ないでしょう。

既に治療薬が開発されつつあり、またワクチンも有効だと言われています。さらに言えば、致死率を見ても、新型コロナは現在の日本で1%程度です。SARS(約10%)やMERS(約34%)と比べると、けた違いに小さいです。

従って、いつまでも厳しい規制はするべきではありません。

他方、新しい変異株で、劇的に強毒になるものが登場する可能性はあります。新しい変異株を明確に分けることで、検疫等の水際対策を現在の水準に維持できるでしょう。

また、そうした変異株が国内に侵入し、感染拡大の兆候を見せたのなら、迅速に指定感染症とすればよいのです。

ただし、毒性の高まりを十分に考慮し、強毒でない変異株を指定感染症として、1類相当の対応をすべきではありません。

◆従来の対応に一区切りをつけ、次なる生物兵器対策を

既存の株と劇的に強毒化した変異株を明確に分けることで、必然的に後者に対する対応が検討されていくことになります。

資源は限られているため、漫然と新型コロナの対策をするのではなく、メリハリをつけて対策に当たるべきです。法的な分類からメリハリをつければ、実際の対策もその通りとなるでしょう。

そして、今検討すべきことは、第二次生物化学兵器攻撃対策を立てておくことです。新型コロナが中国発であることは間違いのない事実であり、状況証拠として生物兵器であったことも分かっています。

従来の新型コロナ対策が進む中、意表を突くために「次なる一手」を打つことも十分考えられます。

現在、政策担当者はコロナ対策で頭がいっぱいであり、次なる生物兵器への対応を考える余裕はないでしょう。しかし、こうした5類への変更措置が、新しい事態に目を向ける契機となっていくはずです。

藤森智博

執筆者:藤森智博

幸福実現党 政務調査会

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