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中国不動産最大手「恒大集団」破綻危機!中国不動産バブル崩壊寸前! 【前編】

https://youtu.be/7be7dSBggNs
(9月14日収録)

幸福実現党党首 釈量子

※9月14日収録された言論チャンネルの要点をまとめたものです。詳しくは、上記のURLから映像をご覧ください。

◆中国不動産最大手「中国恒大」が破綻危機

中国の不動産バブル崩壊については、これまで何度も話題に上ってきましたが、中国最大手の不動産デベロッパー「中国恒大」が倒産危機に陥り、現実味を帯びてきました。

不動産投資は中国のGDPの1割、建設資材や家電など関連産業を含めるとGDPの3割を占め、中国政府はこれまで力を入れてきました。まさに中国の借金経済の象徴です。

しかし、不動産価格が高騰し、庶民の手が届かない価格になっており、中国でも貧富の格差が大きな問題になっています。

習近平国家主席は「マンションは住むものであって、投機するものではない」と言って、不動産デベロッパーこそがマンション価格を吊り上げている張本人と見なし、昨年より規制を強化しているのです。

この規制強化は、「三条紅線」と言われるもので、負債に上限を設ける3つのレッドラインを設定しました。

総資産に占める負債の割合などで、中国最大手のデベロッパー「中国恒大」は、このレッドラインに引っかかり、新規でお金を借りることが難しくなったことで、手元の現金が急速に不足したわけです。

中国恒大は、不動産バブルの中、多額の借金をしながら各地でマンションを建設し急成長しました。

中国恒大の2020年の住宅販売面積は中国第2位で、最近では電気自動車開発に乗り出すなど、事業を拡大した結果、負債総額は3000億ドル(約33兆円)という前例のない規模になっています。

9月9日時点で、香港証券市場の「中国恒大」の株価は、今年75%も下落しています。今後、中国政府が「中国恒大」の破綻を認めるかどうかが、注目されています。

最悪のシナリオは、格差を広めた極悪人への懲罰として、見せしめ的に破綻させることです。

他に、債権者が投資額の一部を回収できるシナリオがあります。決めるのは中国政府ですが、いずれにせよ兆単位なので、債権者にとって莫大な損失が生じるでしょう。

影響が大きいのは、海外投資家です。「中国恒大」は海外投資家から大量にお金を借りています。

市場は、かなりの確率で倒産する可能性が高いと見ています。9月に入って、格付け会社も相次いで格下げし、「破産の可能性がある」と明言しています。

9月13日のブルームバーグの記事によると、「中国恒大」のドル建て社債は、投資額の「25%回収」が基本シナリオだと述べています。

このシナリオ通りに進むと、運用会社など海外投資家の投資額2兆円のうち、5000億円しか回収できないことになります。

1兆5000億円の損失を埋め合わせるために、株式などの売却に動けば、金融市場、世界経済にも甚大な影響が出ることは避けられません。

◆習近平の「共同富裕」は「共同貧困」に

さて、習近平国家主席は、格差是正のため住宅価格の高騰を抑える政策を打ち出したわけですが、これは、毛沢東が掲げた「共同富裕」というスローガンに通じるものがあります。

習氏は8月17日、経済問題に関する会議で「共同富裕は社会主義の本質的な要求だ」と宣言して、貧富の格差を解消して、社会全体を豊かにするために、高所得層や企業に対して、社会への還元を求めました。

具体的な政策として、「企業への規制強化」と「寄付の強要」があります。

アリババ創業者のジャック・マー氏が昨年秋、「時代錯誤の規制が中国の技術革新を窒息死に追い込む」と発言した後、10月後半には消息不明になっています。

昨年11月、習政権はアリババ傘下の金融会社アント・グループの新規株式公開を延期に追い込みました。

具体的には、アリババに対して独占禁止法違反で約182億元(約3100億円)の罰金を科したほか、米国に上場した中国配車アプリ最大手の滴滴出行(ディディ)などネット企業3社に対し、国家安全上の理由でネット規制当局が審査を行いました。

その後もユーザー数が100万人超の中国企業が海外上場する際に当局の審査を義務付けました。企業の呼び出しや指導も相次いでいます。

これらの規制によって、米国に上場している中国企業の時価総額1兆ドル以上を失いました。

また「共同富裕」の提唱を受け、IT大手「テンセント」CEOの馬化騰氏は77億ドル、出前サービス大手「美団」創業者の王興氏は23億ドルの寄付をそれぞれ申し出ました。

今後も、習近平にひれ伏す経営者が続出するだろうと思われます。

(後編に続く)

釈 量子

執筆者:釈 量子

幸福実現党党首

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