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副作用が大きすぎるロックダウン 医療体制を通常モードにして患者を救うべき【前編】

http://hrp-newsfile.jp/2021/4118/

幸福実現党政務調査会長代理  小川佳世子

新型コロナの感染者が増え続けています。

政府は8月17日、緊急事態宣言対象地域13都府県に広げ、蔓延防止等重点措置の適用地域を13道県に増やすことを決めました。

しかしながら、東京五輪前から緊急事態宣言を出した東京や沖縄の感染者数は減少の兆しが見えず、「要請ベースの緊急事態宣言では効果が低下しつつある」という指摘がされています。
そのため、強制力を伴う外出禁止や出勤停止を想定した「ロックダウン(都市封鎖)」に向けて、法整備を進めるべきだという声が出ています。

17日の記者会見において、政府分科会の尾身茂会長は、「個人に感染リスクの高い行動を避けてもらうことを可能にするような法的な新たな仕組みの構築や現行の法制度の活用について、まずは検討だけでも早急に行ってもらいたいという意見が分科会で上がった」と述べました。

◆緊急事態宣言でも「副作用」が甚大

どのような検討がされるか、現時点では不明ですが、海外で行われたロックダウンは、外出や営業を禁止し、違反者には罰則を科すというもの。憲法に定められた国民の自由や人権を大きく侵害することになります。

ただ、昨年以来、東京では既に4回の緊急事態宣言が出され、飲食店や小売店の営業の自由は奪われています。去年2月から今年8月初旬までの累計で、コロナの影響ですでに1860社が倒産しており、統計には現れない廃業も増えています。今後借金の返済が始まると、さらに倒産や失業が増加するでしょう。
人と人との接触も否定され、鬱に苦しむ人も多く報告されています。昨年は10年ぶりに自殺者も増え、特に子供や女性の自殺が増えました。

このように、人々の自由を奪うことの「副作用」は非常に大きいと言えます。

◆緊急事態宣言の効果の検証が不十分

ただ、人々の行動制限によって感染拡大を十分に抑えられるなら、一時的に自由を奪うことも「公共の福祉」の観点からやむをえないと言えます。

しかし、緊急事態宣言やロックダウンによって感染が抑止できるという保証はありません。

例えば今年1月、東京に2回目の緊急事態宣言が出された時は、その直後からPCR検査の陽性者数は減少しました。しかし、新型コロナの潜伏期間や検査結果が出るまでの期間を考慮すれば、陽性者数の減少と宣言の因果関係は明確とは言えません。

また、東京の繁華街の人出は、昨年夏ごろからほぼ変化していません。むしろ今年に入ってからはさらに減っています。一方、感染者数は人出とほぼ関係なく推移しており、外出する人の数と感染者数とは無関係と言えます。

「要請」を「強制」にしても、十分な効果が出るかの検証はされていないのです。
少なくとも、大きな「副作用」を許容してもいいと言えるほどのハッキリとした効果はないと言うべきでしょう。

厳しい外出制限を1回だけ行えばコロナがなくなるならよいですが、残念ながらそれは非現実的です。感染拡大の度に繰り返されるならば、政府や知事の権限は巨大化し、日本が中国のような「監視社会」に移行する可能性も否めません。

(後編に続く)

小川 佳世子

執筆者:小川 佳世子

幸福実現党政務調査会長代理

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