マイナンバーと口座紐付けは、コロナ自粛に伴う増税準備!【後編】
幸福実現党党首 釈量子
◆「財政出動から大増税」はいつか来た道
前編では、マイナンバーと口座の紐付けの危険性を述べました。後編では、話を増税に戻します。
「コロナ後の増税」をさらに予感させるのが、政府の専門家会議に入った「経済専門家」です。その顔触れは、「増税による財政均衡」を主張する人たちです。
このうち、小林慶一郎・東京財団政策研究所研究主幹と、大竹文雄大阪大学大学院教授は、東日本大震災のあと、「復興増税」を提案した人物でした。
小林慶一郎氏は、「災害を受けて国民の結束が高まり、復興支援への合意が得られやすい現在は、政治的には増税の好機である」と訴えています。
また、大竹文雄教授は、さらに「基礎年金を消費税で全額賄う」ことを提唱しています。基礎年金を全額消費税で賄うとすると、それだけで消費税は18%に跳ね上がるそうです。
「復興増税」は、今もなお私たちの収入から引かれ続けていますが、「コロナからの復興」にも増税ということになれば、ダブルで「復興税」が取られる可能性もあるわけです。
◆増税の「負のスパイラル」
他にも、「減税措置や優遇税制をやめ、事実上の税金である社会保険料を上げる」という形での増税も考えられます。
5月29日に成立した「年金改革法」も、従業員500人以下の中小企業への事実上の「増税」と言えるわけで、「コロナで免除してもらいたい」という声は多数あります。
さらに驚くのは、「コロナ防止」を名目とした増税案がもう出てきていることです。
それが「交通税」です。東京大学准教授の植田健一氏は日経新聞電子版で、「高速道路や鉄道、航空機といった交通手段に関し、例えば2020年度中だけでも、一定程度の税を課すのはどうだろう」と提言しています。
「首都圏などの地方自治体は期間限定で、飲食店などでの消費へ新税を導入する余地もあろう」と、塗炭の苦しみから必死に立ち上がろうとしている民間に対して、あまりの仕打ちです。
今回のコロナ感染者の多くは「医療施設」で確認され、市中感染とは関係がありません。
人々の恐怖心をあおり、人為的に、人々の行動を抑制しれば、経済的に苦しむ人が増え、給付金などの政府のサポートを求める人が増え、将来の増税につながる。こうした「負のスパイラル」に陥りつつあります。
◆減税で経済を活性化
政府は「取れるところから取る」と言う発想で血眼ですが、むしろ、今行うべきは減税です。
ドイツは、期間限定で日本の消費税にあたる「付加価値税」を3%減税しました。食品にかかる軽減税率も2%減税です。
アメリカのトランプ大統領も、コロナからの復興を目指して、給与税の年内免除と、7.6%の減税を主張しています。
日本も、消費税を5%に恒久的に減税すると共に、年内だけでも法人税、固定資産税を減免すれば、景気刺激策としても、雇用維持の意味でも、効果が高いと言えます。
◆コロナから復活する本道とは
すでに、三次補正を求める声も上がっています。事業を継続させ、雇用を守ろうと努力する人たちに対して、スピーディな支援は不可欠ですが、永遠にこれは続きません。
そもそも現金給付は、一生懸命額に汗して国民が働いた血税です。営業の自由を奪い、仕事を奪い、人為的に経済を停滞させ、「給付金を大盤振る舞いして増税する悪循環」をやめようではありませんか。
「給付がもらえるなら働かなくていいじゃないか」という声もありますが、言葉を換えれば、政府の「補助金」に頼ることは、政府の奴隷になるということです。
補助金行政の癒着の温床にもなっています。「補助金をもらう代わりに、業界ごとに票を取りまとめる」という政治が続いてきたわけです。
そういう「補助金」を出すよりも「減税」です。減税は年齢や業界に関わらず、隅々まで行き渡る公平で平等な経済政策です。
日本の方向性としては、「自由の大国として繁栄する国づくり」を目指すべきです。
コロナ危機で、どさくさまぎれに人間の生き甲斐でもある仕事を奪って、「国がお金を払えばいいじゃないか」とか、変な方向に政治が流れないように注意すべきだと思います。
危機の時代だからこそ、自由主義市場を維持して、政府の介入に目を光らせる必要があることを今強く感じています。