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アフターコロナの中国包囲網、米中両天秤外交からの決別と国内回帰【後編】

https://youtu.be/–Sop9A8fwU
(5月29日収録)

幸福実現党党首 釈量子

 

前編では、アメリカと台湾の政策を紹介しましたが、今回は、もっと具体的に中国から日本企業を国内回帰させるためにどうしたらいいのかを探って参ります。

◆日本経済を復活させる政策
(1)国内回帰を促す大胆な推進プランを!

まず、中国にある日本の工場が国内回帰したくなるような政策を総動員して、産業構造をイノベーションし、企業への「優遇税制」など大胆な推進プランで、日本に帰ってきやすい環境を整えるべきです。

前編で述べた「コロナ関連予算」では、日本回帰の補助金の額も小さく、公募期間はわずか2カ月と、小出しです。

例えばトランプ政権が行った設備投資全額控除の「即時償却」や、法人税や固定資産税の減免も取り入れてはどうでしょうか。

また、台湾の蔡英文政権が行ったように、移転に伴う融資への金利や手数料への補助を3年から7年くらい行うことも必要だと思います。

スピード感を求めるなら、中国からの輸入品への関税を上げることぐらいの気概があってもいいのではないでしょうか。

移転費用を政府が補てんすることも考えていいと思います。

単なる立地補助金で終わらないよう、減税、金利手数料の優遇、移転費用の負担も含めて、「国内回帰」を全面的に支援することです。

(2)「中国の不当な産業補助金を止めさせる」

次に「中国の不当な産業補助金を止めさせる」ことです。アメリカや欧州と協力し、国際社会から中国にプレッシャーを与える必要もあります。

産業補助金はどこの国でもやっているのですが、中国の場合はケタがまったく違い、市場の公正な競争を大きく歪めています。

中国の上場企業に対して、中国政府と地方自治体が出す産業補助金は10年で4倍です。

17年の中国の政府補助金は1350億元(2兆1000万円)。4割は「中国製造2025」関連補助金で、半導体メーカーは大躍進し、アメリカの軍事技術を脅かすまでになりました。

世界貿易機関(WTO)にいわゆる「補助金協定」がありますが、GDP世界第2位でありながら、未だに「開発途上国」として優遇措置の対象にもなっていることはおかしいという声をあげるべきです。

(3)「国内需要の創出のための消費減税と未来投資」

さらに、中国に進出した日本企業が国内回帰に二の足を踏む理由として、「日本は消費税が上がったし、電気代も高い」という声をよく聴きます。

日本国内の需要を喚起するために最も有効なことは、消費減税です。GDPの6割の国内消費を喚起し、ビジネスチャンスを増やすことです。

もう一つは、未来に富や雇用を生む産業へ大胆な投資をすることです。

コロナで目先の暮らしのための大盤ふるまいよりも賢いお金の使い方は、宇宙産業、次世代の交通手段、国防産業、食料やエネルギーの自給率を高めるための研究開発に投資することです。

アメリカのIT企業や航空宇宙産業など、新産業の多くは、政府機関や軍事研究分野から出てきています。

家電や自動車の生産拠点を中国と取り合うだけでなく、日本にある技術の種から高付加価値の産業を育てられるとなれば、日本への資本還流も起こります。

(4)「親日の外国人労働者の議論開始」

「親日国からの移民や外国人労働者の受け入れ」を議論すべきです。

台湾は国内回帰とともに移民政策を進めましたが、台湾のように中国と距離を置くことが大前提になると思います。

現在、技能実習生や留学生を受け入れていますが、必ずしも友好国のみから受け入れているわけではありません。

中国共産党は2010年、国防動員法を施行しており、有事となれば、中国人が日本国内で蜂起することもあり得ます。私たちは、中国からの受け入れ拡大は反対です。

日本と安全保障での協力関係を構築しているような親日友好国で日本を愛し、日本人になりたいという方には、日本語の習得や、国を守る意識などを条件にして、積極的に人財を受け入れてもいいと思います。

◆日本は、世界をけん引できるビジョンを描け

コロナを機に、全世界で、グローバリズムの見直しは避けられません。

アメリカも日本も、グローバリズムで国内産業が壊滅され、人件費の安い中国などに流れ、国内に税金を払わない企業が栄え、国内の雇用が失われていきました。

「コロナ」は、ポストグローバリズムの経済を推し進めるチャンスと捉えるべきです。「コロナ不況対策」、「地方創生」、そして「中国の覇権主義へのけん制」という「一石三鳥」です。

米中を両天秤にかけ、中国を忖度する政治をやめ、「自由民主信仰」に基づいた政治で国家の方向性を明確にし、米中でアフターコロナの世界をけん引できるようなビジョンを描くべきだと思います。

釈 量子

執筆者:釈 量子

幸福実現党党首

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