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【米・イラン対立(後編)】安倍外交の失敗と日本がやるべき三つのこと

http://hrp-newsfile.jp/2019/3604/

HS政経塾スタッフ 遠藤明成

◆イランは、米国がいうほど「悪い国」なのか?

昔、ブッシュ政権が「悪の枢軸」と呼んだように、米国は、長らくイランを敵国とみなしてきました。

確かに、米国と抗う中で、イランがミサイル開発などで北朝鮮や中国とのつながりを深めたのは事実です。

しかし、この両者には、決定的な違いがあります。

イランは、北朝鮮や中国とは違い、神を信じる人々が集う国です。

人権面では問題もありますが、選挙が行われ、一定の範囲で民意が政治に反映され、大統領は選挙で選ばれます。

このあたりは、北朝鮮や中国との大きな違いです。

イランの体制は、国民の大多数が信じるイスラム教シーア派に根差しています。

彼らが自分たちの宗教に根差した体制をつくることは、ごく自然な動きであり、それを「欧米と違うから」というだけで、悪だと決めつけることはできません。

◆「アメリカの正義」には何が足りないのか

イランでは「ホメイニ革命」の頃、多くの民衆が米国の傀儡政権を拒絶し、イスラムに基づいた独自の国を建てる道を選びました。

そのため、米国がイランの現政権を打倒し、武力で新政権を立てた場合、イランの民には、昔の傀儡政権の時代への逆戻りにしか見えません。

その場合は、イラク以上に激しい抵抗運動が起きることが予想されます。

イランの体制にも、多々問題はありますが、だからといって、それで米国がイランに傀儡政権を立てる正統性が生まれるわけではありません。

なぜかと言えば、国家は、単なるメカニズムではなく、歴史と伝統、宗教に根ざした共同体だからです。

人々が価値観を共にし、力を合わせ、それを実現しようとする中で国家が生まれ、それが世代を超えて継承されます。

だからこそ、米国が勝手に持ち込んだ価値観を受け入れる義理はないし、それを子供の代にまで受け継ぐいわれもないのです。

これが分からないアメリカは、「民主主義」という美しい言葉を並べて政権をつくり、イラク戦争やアフガン戦争の「統治」に甚大な犠牲を払いました。

結局、武力のみで自国に都合の良い政権を立てられるという発想には、根本的な欠陥があります。

それは、歴史の浅い国が陥りがちな間違いなのかもしれません。

◆成果のない安倍首相のイラン訪問

今回、安倍首相がイランを訪問し、米国とイランとの間を取り持とうと試みました。

しかし、その結果、二隻の日本のタンカーが攻撃を受けました。

このパターンは、2015年に安倍首相が中東を訪問した後に、日本人がイスラム国に人質に取られた事件と似ています。

安倍政権はイラン訪問で日本の存在感を高められると見たのですが、結局、2015年の時と同じく、イスラム勢からの「返答」は厳しいものでした。

そうなったのは、政治・経済的な利害関係よりも上位にある価値観がなかったからです。

米・イラン対立の奥には、イスラム教とキリスト教を中心とした二大文明の衝突がありますが、そこに「石油のバイヤー」でしかない日本の首相が「トランプのお友達」としてノコノコと出ていった結果、「アメリカの犬、帰れ」という厳しい反応が返ってきました。

日本に、二つの宗教の相克を超える高度な価値観がない限り、仲裁などできるはずがありません。

◆日本がやるべき三つのこと

最後に、今回のタンカー攻撃が日本に示唆することを整理してみます。

まず、第一に、幸福実現党が主張してきた原発再稼働の必要性が明らかになりました。

戦争などでホルムズ海峡から原油を送ることが無理になれば、日本のエネルギー供給も危険になるため、原発の必要性が高まります。

そうしたリスクがあるのに、原発を止めてきた政府の方針には間違いがあるわけです。

大川総裁は、2010年6月に日本のタンカーが攻撃される可能性に警告を発したことがあります(大川隆法著『アダム・スミス霊言による新・国富論』P20)。

幸福実現党は、立党時からシーレーン防衛の重要性を訴えてきたのですが、民主党政権が止めた原発は、いまだに再稼働がままならない有様です。

第二は、イラン攻撃には反対すべきだということです。

トランプ政権内に、それを望むかのような動きもありますが、日本政府ははっきりと反対すべきでしょう。

(※限定攻撃であっても、エスカレートすれば大規模化の可能性は残る)

前述のように、米国のイラン攻撃には十分な大義もなく、規模が拡大すれば米国に甚大な負担をもたらすからです。

幸福実現党・大川隆法総裁は、6月14日の講演会(「されど不惜身命!」)において(※)、イランへの「攻撃が結果的に非常に大きな被害を生むし、日本のエネルギー供給も危険になる」と警告しました。

また、アメリカとの同盟関係を大切にしつつも、日本が、独立国家として言うべきことは言う国家にならないといけないと提言しています。

この「独立国家」となるということが、三番目にやらなければいけないことです。

結局、日本はイランのことをあれこれ言う前に、マッカーサー憲法に基づいた体制を立て直さなければいけません。

幸福実現党は、立党時に、綱領において「大国日本の使命」を果たすことをうたいました。

「日本は宗教的寛容の精神の下、宗教が共存共栄し、人々が幸福を享受した歴史を有しています。こうした自由と寛容の精神に基づく平和を世界レベルで実現していくことこそ、『大国日本の使命』です」

この綱領の通り、戦後体制を脱却し、日本に新たな精神的主柱を立てるべく、力を尽くしてまいります。

※幸福実現党・大川隆法総裁の講演については「幸福実現NEWS 特別号 6月15日『香港の危機は他人ごとではない 「正義」を世界に発信できる日本へ』を参照

https://info.hr-party.jp/files/2019/06/17114027/fk3ylfc2.pdf

遠藤 明成

執筆者:遠藤 明成

HS政経塾

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