消費増税「今までより国民負担は軽い」は、なぜ詭弁なのか
http://hrp-newsfile.jp/2019/3478/
HS政経塾スタッフ 遠藤明成
◆19年増税で国民負担は6.3兆円増
政府の見積もりによれば、今年の増税で国民負担が6.3兆円ほど増えます。
そのうち、5.7兆円が消費税分なので、安倍政権は、軽減税率や教育無償化等を行い、「前よりも負担が軽くなるから」という論理で国民を説得しようとしています。
(残りの0.6兆円はたばこ税や所得税増税等)。
しかし、消費の冷え込みを恐れる声は大きく報じられず、軽減税率が適用される新聞社は、増税を既定路線として固めるかのような動きを見せています。
政府とマスコミに「福祉のために」といわれると、「そうなのか」と思い、納得してしまう方もいるわけですが、果たして、本当にそれでよいのでしょうか。
◆増税の国民負担 過去の増税分と今回分を足したら月何万円増える?
消費増税には「何回かに分けられるので、国民には一回ごとの負担増の金額しか伝わらない」という問題点があります。
今回で増税は3回目ですが、2回目と3回目の増税を足して数えると、税率は2倍(5%⇒10%)になります。
しかし、新聞等で報じられるのは「今回の増税で1世帯あたり3~4万円増」(※)といった記事ばかりなので、「二回の増税を足した時、負担がどれだけ増えるか」を知らない方もたくさんいます。
日経電子版の試算によれば、平均年収(432万円:2017年)に近い収入階層(400~500万円)では、消費税が5%⇒10%になった場合、負担額は10.6万円も増えるようです。
同紙には負担額を試算できるページもあるので、日経はこの金額を把握しているはずですが、こちらは報じられません。
※以下の記事を参照
・日経電子版「19年消費増税 家計負担、1世帯3万~4万円増も」2018.12.10
・日経電子版「年収でこんなに違う 所得・消費税、あなたの負担は」2016.2.23
◆減り続ける家計の消費 政府の「増税対策」は近視眼的
安倍政権は、軽減税率や住宅・自動車の反動減対策、教育無償化、キャッシュレスポイント等で増税の打撃を薄めようとしていますが、これもおかしな話です。
安倍首相は「いただいたものを全てお返しする」と言いましたが、そもそも、返すぐらいなら取る必要もありません。
これは「お金の取立てと配分」という、政府の無駄な仕事をつくっているだけです。
そして、首相と茂木敏充氏(経済財政担当相)は消費が「2016年以降、増加傾向で推移している」と述べています。
しかし、これはあまりにも近視眼的です。
2018年の家計の平均消費は月31.5万円(※二人以上の勤労者世帯)
これは2015年と同じぐらいの金額ですが、増税前の2013年は31.9万円ありました。
さらに過去に戻ると、第二次安倍政権の期間で最も消費が好調だった2013年でも、2008年の水準(32.5万円)を下回っています。
2000年から2007年までは32~34万円の範囲で推移していました。
結局、安倍政権は、消費がサブプライムショック以前の水準にまで回復していないのに増税を急いだわけです。
そして、増税が景気の腰折れを招いたことを反省せず、わずかな回復額を見て「もう一度増税すべきだ」と言っているのです。
※この数値は総務省統計局「家計調査(家計収支編) 時系列データ(二人以上の世帯のうち勤労者世帯)」を参照
◆日本経済のエンジンは消費 幸福実現党の5%減税こそが正論
結局、現政権の増税路線では、日本の消費の回復は望めません。
日本のGDPの6割は「消費」が占めています。
ここに増税で重石をかけながら、金融緩和を続け、企業に「もっと投資してほしい」「賃上げしてほしい」と言ってきたのが、消費増税以降のアベノミクスです。
また、2017年の総選挙では、共産党も社民党も消費税増税に反対しましたが、結局、「5%への減税」という、本来あるべき政策を打ち出せませんでした。
共産党や社民党は、消費税増税には反対ですが、大企業増税と累進課税と証券税制の強化を訴えているので、結局、減税政党ではないのです。
現在、本当に「小さな政府、安い税金」を訴え、国民と企業の味方として、減税を訴えているのは、幸福実現党だけです。
本当に日本経済を立て直すためには、単なる増税中止ではなく、消費税5%への減税という抜本的な改革が必要なのです。