待ったなし。高齢運転者の自動車事故を防げ!
幸福実現党・兵庫県本部代表 みなと 侑子
◆社会問題化する高齢運転者による事故
青信号で発進しようとしたら、うつろな目をした高齢者が運転する車が、赤信号を無視して道を横断してきたため、慌ててブレーキを踏んだ…筆者の経験です。
最近はご高齢の方から、「じつは事故を起こし、運転をやめた」と聞くことも珍しくありません。いま高齢運転者による交通事故が問題になっています。
よくあるのは、アクセルとブレーキを踏み間違えて、駐車場から店内に突っ込む事故です。
たいした被害がなければ店側が警察に届けないこともあり、事故は統計数よりも多く起こっていると思われます。
負傷者がいなければ不幸中の幸いとなりますが、中には登校中の児童の列に突っ込み、死傷者が出るような事故も起こっています。
免許を自主返納する高齢運転者も出てきていますが、公共交通機関が発達していない地域においては、車がなければ生活ができません。
そのため、免許返納に関し本人と家族が揉め、事件になる事例も出てきています。
行政側は免許返納者に対し、バスやタクシーの運賃の補助、市営・町営の無料バス、ポイントカードのポイント付与などの特典を提供し、返納を促していますが、本当にこれで解決するのでしょうか。
◆事故率の増加と改正道路交通法
ここ10年間で、車による死亡事故は6165件だったものが、3585件となり、4割以上減っています。
全体的に減少していますが、75歳以上の高齢運転者が起こした事故数は、10年前が457件、現在が458件であり変わりません。
結果、事故全体に占める高齢運転者の割合が、10年前7.4%→現在12.8%と大きくなっています。高齢化社会を迎え、今後も大きくなり続ける可能性があります。
そのため、認知症になる可能性がある75歳以上の対策が必須であるとし、本年3月には、認知症対策を強化した、改正道路交通法が施行されます。
今後、75歳以上のドライバーが交通違反をした場合、認知症の検査が義務付けられることとなりました。
認知症の恐れがあるとされた場合、医師の診断を受けることが義務つけられ、認知症であれば免許取り消しか停止になります。
しかし一度事故が起きてしまえば、被害者だけでなく、加害者も大きな心の傷を負って生きていくことになります。どうすれば事故を未然に防ぐことができるのでしょうか。
◆自動ブレーキの全車配備と義務化までにすべきこと
自動ブレーキの全車配備は、一日も早く進める必要があります。現在は、カメラや超音波で障害物を検知し、衝突を回避するシステムが人気です。
ダイハツは衝突回避支援システム「スマートアシスト」を軽自動車で初めて導入。5万円という低価格もあり、約8割のユーザーが搭載自動車を選択しています。その結果、「スマートアシスト」搭載車種は100万台を超えています。
中古車市場も大きい日本では、中古車のための自動ブレーキ後付け安全装置も求められていましたが、2016年12月にオートバックスセブンが急発進防止装置「ペダルの見張り番」を約4万円で売り出しました。
アクセルとブレーキの踏み間違いを防止するもので、時速10キロ以下で動いているときにアクセルを強く踏んでも、警報音が鳴り、急発進しない仕組みになっています。これにより、駐車場などでの踏み間違いによる事故が減らせます。
「スマートアシスト」や安全運転支援システム「アイサイト」搭載の車が中古車市場に出回るまでの間は、後付け安全装置を利用することが全運転者に求められます。
◆1~2名乗りの超小型車の普及促進
それでも大きな車を運転することには、不安がつきまといます。そこで超小型車の普及促進を同時に行います。
セブンイレブンが宅配サービス配達に利用しているのが、一人乗りの超小型の電気自動車「コムス」です。
コンパクトで気軽に乗れる上に、最高時速が50~60キロなので、生活圏内での移動に不便はありません。
超小型なため、万が一間違ってアクセルを踏み込んでしまっても、ガラスを突き破って店内に突っ込む恐れは少なくなります。
普通免許は必要ですが、自動車取得税・自動車重量税・車検・車庫証明は不要です。
また、6時間の充電で50キロ走行可能となっているため、年金暮らしの高齢者にもコストパフォーマンスがとてもよいです。
現在の本体価格は約80万円、クリーンエネルギー等導入促進対策費補助金の対象の補助が7万円あります。
まだまだ高価ではありますが、トヨタのほか、日産、ルノー、ホンダなども開発・販売し始めており、今後の市場は更に開けていくはずです。
普通車には乗せたくない家族と、シニアカ―には乗りたくない本人のニーズを満たす超小型車は、高齢運転者の安全と安心を確保する大切な足となります。
◆将来の自動運転化を目指して
幸福実現党では、自動運転車両の走行を視野に入れ、高速道路および幹線道路における自動運転インフラの整備を、段階的に進めます。
道路の中に誘導用の基盤を埋め込み、プログラミング操作をして運転するシステムで、ゴルフ場での自動式ゴルフカートのようなイメージとなります。
自動運転インフラシステムの技術革新は、道路はもちろんのこと、車が空を飛ぶ時代が来た時も、必要になります。
そうなると、すべての人がもれなく安全に目的地まで移動できるようになるでしょうが、今はまだ自己責任が大きな割合を占めます。
新しい製品や技術の力を借りながら、自分も他人も傷つけない移動方法を模索していきたいと思います。
参考:Wedge2月号「社会問題化する高齢運転者事故 免許証返納は解決策に非ず」