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第3次補正予算が成立—見え隠れするアベノミクスの限界

HS政経塾第4期卒塾生 西邑拓真

◆第3次補正予算が成立

2016年度第3次補正予算が先月31日の参院本会議で、賛成多数で可決、成立しました。

一会計年度の年間予算として成立した当初予算に対し、補正予算は、会計年度途中に予算の追加や変更が生じた際に、議決を経て組まれる予算のことを指します。

今回の補正予算の歳出総額は6225億円を計上しています。

また、今回、税収の見通しが当初の見込みよりも1兆7440億円引き下げられたことから、その不足分が赤字国債の発行で穴埋めされます。

年度途中に赤字国債を追加発行するのは、リーマン・ショックの影響を受けた2009年度以来、7年ぶりです。

◆見え隠れするアベノミクスの限界

税収が当初の見込みよりも落ち込んだ要因として、「円高」に端を発した「法人税収の伸び悩み」に求められています。

しかし、第二次安倍政権の発足以来掲げられたアベノミクスの限界が、国内景気の悪化を招いて税収減をもたらしているのが実態であり、それゆえにこそ今回、赤字国債の追加発行に踏み切らざるをえなかったとみるべきではないでしょうか。

アベノミクスにより、金融緩和策と消費増税をはじめとした一連の増税策が行われ、日本経済はまさに「アクセル」と「ブレーキ」を同時に踏み込んでいる状況です。

先月には、給与所得控除の引き下げによる増税策が始まりました(注1)。

また、今年4月には、タワーマンションの建物の固定資産税評価見直し、18年には預貯金口座へのマイナンバー付番開始が予定されるなど、安倍政権下で今後、「大増税パッケージ」実施が待ち構えています。

(注1)17年1月1日より、年収1000万円を超える会社員の所得控除額の上限が230万円から220万円に引き下げられた。財務省の試算によると、今回の税改正で、夫婦と子供二人の世帯で、年収が1200万円の場合3万円、1500万円の場合4万円の税負担がそれぞれ増加することになる。

◆ 「トランプノミクス」に邁進するアメリカ

翻って米国は、トランプ新大統領により、35%から15%への法人減税、所得税率の区分を7つから3つへの簡素化と最高税率の39.6%から33%への所得減税の実施を明示しています。

注目すべきは、大胆な減税策だけではありません。先月30日、トランプ大統領は、「一つの規制を作った場合、既存の二つの規制を廃止する」という旨の大統領令に署名しており、併せて、米国内の全ての規制の75%を廃止するとしています。

このように、「トランプ革命」へひた走る米国は今、大胆な減税と規制緩和策によって、経済の活力向上に大きく向かおうとしています。

◆「日本ファースト」戦略により、大胆な減税・規制緩和策を

今、「シムズ論(注2)」に注目が集まっています。

かねてより大胆な金融緩和策によりデフレ脱却を図るべきだと訴えてきた内閣官房参与・浜田宏一氏は、当理論に影響を受けたとしたうえで、アベノミクスの手詰まり感を解消するために今必要なのは「財政拡大だ」とする考えを主張しています。(朝日新聞17年2月3日付「アベノミクスに手詰まり感―「生みの親」浜田・内閣官房参与に聞く」参照)

ただし、今回の補正予算の成立で2016年度の歳出総額は100.2兆円にものぼることになりましたが、この理論によりやみくもな財政出動が合理化され、結果的に「大きな政府」へ向かうのは避けなければなりません。

民間活力の向上なくして、景気回復もなければ、経済成長もありません。

日本が本当に必要としている財政政策とは「減税政策」であり、これに大胆な「規制緩和策」を併せた「自由の領域」の拡大が今、この国に求められているのではないでしょうか。

トランプ大統領は「アメリカ・ファースト」を掲げ、前例なき施策を相次いで明らかにしている中、自国の発展と繁栄のために、日本も、とるべき政策を淡々と実行すべきでしょう。

(注2)クリストファー・シムズ米プリンストン大学教授が提唱する「物価水準の財政理論」では、金利がゼロ近辺まで低下すると量的金利が効果を持たなくなり、マイナス金利幅を拡大すると金融機関のバランスシートを損ねるとしたうえで、今後は減税も含めた財政の拡大が必要であるなどといった考えが述べられている。

参考文献
週刊エコノミスト「財政が物価水準を決めるシムズ論を読み解く」(2017年1月31日号)
週刊エコノミスト「徴税強化2017」(2017年1月31日号)

西邑拓真

執筆者:西邑拓真

HS政経塾4期生

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