世界の一流企業を日本へ誘致するために
HS政経塾第6期生 坂本麻貴
◆国外へ立地していく日本企業
最近、服を買っても、本棚や家具、百円均一で小物入れや雑貨を買っても、中国製などの商品が非常に多くなっています。
二次産業に限らず、大企業の製造工場の多くは、税率のやすい海外へと移転し、日本国内の空洞化が問題となっています。
◆生産の国内回帰促進でメイドインジャパンを世界に
なぜ、企業は工場や本社を海外に立地するのでしょうか。
その理由は、一つは労働力の確保の容易さや人件費の安さ、もう一つは、税率の低さがあります。現在、日本の法人税実効税率は29.97%ですが、これは世界で7番目に高い税率です。
それに対してシンガポールが15%、韓国は24.2%です。イギリスは20%、アメリカ38.92%ですが、今回の大統領選で勝利したトランプ氏は、15%まで引き下げようとしており、それを受けてイギリスでも17%まで引き下げようとしています。
アメリカが15%まで引き下げ、中国などに進出している工場などがアメリカ国内への立地が進めば、日本の国力はどんどん落ちていってしまいます。
国民の生命と安全、財産を護るためには国力をつけなくてはなりません。
国力とは、産業と軍事力が中心だということを考えれば、日本国内に新産業をそだてる環境を整えるのと同時に、海外に進出していった企業を呼び戻し、国際競争力をつける必要があります。
◆法人税パラドックス
法人税率を下げると税収が下がってしまうという理由で、財務省は減税に消極的です。
しかし、たとえば、イギリスでは税率を33%から23%に引き下げた時、税収は年平均4.8%伸びています。このうち4.5%分は経済成長によって企業の課税所得が拡大したためとされています。
また、ドイツでも、2008年に9%下げたことにより、ドイツ企業の国際競争力が上がり、オランダやアイルランド等の低税率国に移転されていた所得が、再びドイツに戻り、税収も上がっています。
つまり、高すぎる税率だった場合、ある程度まで下げることによって逆に税収増が見込めるのです。
◆国力を支える哲学の必要性
現在の税制には哲学がありません。哲学がないため、税制改正草案をいくら練って表面的な数字を変えても、どこかで必ず失敗するのが目に見えています。
それは、公正・公平であるということにとらわれ過ぎて、「結果平等」になっているからです。結果平等は、「結果さえよければ手段は何をしても構わない」という共産主義的な考え方からくるものです。
共産主義の思想のもとに税制を考えると、基本的に取れるところから取れるだけ取る、というような方向に進んでいきます。
しかしそれでは、努力を重ねて稼いだ人も、そうでない人も同じ税率を負担するということになります。
こういう考えの下では、個人の能力も企業の活力も育まれにくくなります。そういう「公平さ」よりも、努力した人が報われる、「機会の平等」をもとにした税制であるべきではないでしょうか。
長い目でみて産業を育てていく税制改革を進め、産業を復活させて雇用や消費を増やしていかなくてはなりません。