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いじめ防止法への「懲戒規定」の改正で、子供たちをいじめから守ろう!

幸福実現党・宮城県本部副代表 HS政経塾5期生 油井哲史(ゆい てつし)

◆いじめにおける学校と教育委員会の隠蔽体質

原発事故が起きた福島県から横浜市へ自主避難していた中学1年の男子生徒がいじめを受けて不登校になっている問題で、生徒が小学5年生の時、加害者に金銭を渡していたことを学校側が把握しながら、十分な対応を取っていなかったことが明らかとなりました。

学校と教育委員会との隠蔽体質、事なかれ主義はいまだに続いているようです。

2011年10月、いじめを苦に大津市の中学2年生の男子生徒が自殺したことを受けて、「いじめ防止法」が制定されましたが、この際、学校と教育委員会の隠蔽体質が明るみとなり大問題となりました。

近年では、2014年に山形県天童市の中学1年の女子生徒がいじめを受けて自殺した問題では、担任や部活顧問がいじめを知っていたが対処を怠り、責任者に報告や相談をしていませんでした。

今年8月に自殺した青森県東北町の中学1年生の男子生徒も担任に「椅子を蹴られる」と相談し、学校側は認知していました。

宮城県仙台市では中学1年の男子生徒がいじめを受けており、学校側の対応が甘かったため、2014年秋にいじめがエスカレートした後に自殺。生徒を担任が「転校した」とクラスの生徒へ説明していました。

いじめ防止法の施行から3年。残念ながら、被害を受けた子供が自らの命を絶つ悲劇は後を絶ちません。文部科学省のまとめでは、2013~15年度にいじめを原因に自殺した子供は23人に上ります。この悪の連鎖を止めなければなりません。

◆いじめ隠蔽への懲戒処分を法律に組み込め

法律があっても機能しなければ、意味がありません。いじめ防止法の課題は、被害者よりも教師や学校、教育委員会を守る制度となっており、いじめを取り締まる処罰が弱いからです。

現在、いじめを隠ぺいした教師や学校への処罰が明記されていないために、いじめの抑止力として機能していません。いじめを放置する教師を正していくためにも、いじめ隠蔽への懲戒処分を法律に組み込むべきです。

生徒がいじめで自殺しても大半のケースでは教師が懲戒されることはありません。青森や仙台のいじめ事件でも懲戒の公表はされていません。

山形の事件では、担任と部活顧問を減給10分の1(3か月)の懲戒処分になっており、ある程度、評価はできます。しかし、いじめを放置して死に追いやったことを考えると軽い処分であると言わざるを得ません。

◆いじめ防止法が順守されていない

いじめ防止法はいじめの防止、早期発見、いじめの対処などにおける様々な規定、そして「責務」はありますが、それを順守させる「罰則」がないために法律が完全に機能していません。

たとえば、今年3月、文部科学省の調査によって、いじめの「重大事態」があった際、都道府県や市町村の教育委員会の首長への報告が義務づけられていますが、それが守られていないと分かりました。

2014年度、子供がいじめによる自殺や大けがなど疑いがある92件中14件が首長への報告義務を怠っていました。このような文部科学省にも報告されず、首長にも報告されずに学校で握りつぶされた場合は、この数字には出てこないため、闇の中に隠されることになります。

また、いじめ防止法にはアンケートなどでいじめ調査を行うことが規定されていますが、いじめ問題に取り組むNPO「いじめから子供を守ろう!ネットワーク」によると、いじめの相談を受けていると学校でアンケートや面談などの調査が行われていないケースもあると言います。

子供たちの悲劇を予防するために「いじめ防止法」は制定されました。形だけの法律ではなく、いじめ予防への機能を果たすためにも改正を通して、「懲戒規定」を定めていかねばなりません。

◆教育界に正義を取り戻せ!

今なお、教育界の闇は深く、善悪の判断基準はありません。

教育基本法第一条に教育の目的を定めています。

「教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。」。

日本の教育に正義を取り戻し、いじめに真正面から取り組んで、いじめから子供たちを守らなければなりません。

油井哲史

執筆者:油井哲史

幸福実現党・宮城県本部副代表 HS政経塾5期生

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