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オリンピック景気に水を差す消費増税

文/幸福実現党・政務調査会 佐々木勝浩

◆安倍首相が「消費増税再延期」表明

安倍首相は、1日の記者会見で、2017年4月に予定していた消費税率10%への引き上げを、正式に19年10月まで2年半延期することを表明しました。

そして消費増税延期の是非について、「参院選を通じて国民の信を問いたい」と述べています。

しかし国民の信を問う前に、政治家として、今、減税が必要なのか、それとも増税が必要なのかをしっかりと学ぶ必要があるのではないでしょうか。

◆金融緩和と付加価値税減税で景気が戻ったイギリス

イギリスは2008年9月のリーマン・ショック後、中央銀行であるイングランド銀行がお札を大量に刷り続け、量的緩和政策によって、ポンド安に成功しました。これは、日本で言えば日銀の「異次元緩和」で円安に導いたことに相当します。

さらにイギリスは2008年12月から13ヶ月間、付加価値税(日本の消費税に相当)の標準税率を17.5%から15%に下げました。

結果、実質GDP成長率は、2008年度の-0.1%から2009年に-4.9%、2010年には、1.3%へと推移(JETROデータ)、減税が景気悪化を止める役割を果たしたのです。

こうしてイギリスは量的緩和政策と減税によって景気が回復基調に乗ったのです。

◆オリンピック景気に水を差したイギリスの失策

ところがイギリスは、2010年1月に一時は15%に下げた付加価値税の税率を17.5%に戻しました。これによって個人の消費意欲を示す「消費者信頼度指数」は、2010年後半から急速に悪化していきます。

増税をしなければ景気は回復していたのですが、さらに付加価値税の税率を2011年1月には20%へ引き上げてしまったのです。

皮肉にもロンドンオリンピック聖火リレーが始まるころから再び景気は下落していきました。

田村秀男氏は、2012年のロンドンオリンピックで経済効果が出なかった最大の原因は、当時のキャメロン政権が付加価値税率を17.5%から20%へ引き上げたからだと指摘しています。(【参考】2012/7/29 産経「景気無視の増税は必ず大失敗する 五輪効果不発の英国の教訓」)

その後、中央銀行が、リーマン・ショック時の3.7倍の量的緩和を行っても、イギリスの経済が浮上することはなかったのです。

結局イギリスは、2012年にオリンピックという景気回復の大チャンスがあったにも関わらず景気は回復しませんでした。

今回、安倍首相が発表したように、「消費増税を2年半延期する」ということは、2020年の東京オリンピックの1年前に8%から10%に消費税率をアップさせるということです。

これは2012年のロンドンオリンピックの1年前にイギリスが付加価値税を17.5%から20%へ引き上げたと同じタイミングです。

◆消費増税は延期ではなく、5%に減税を!

日本は、ロンドンオリンピックを迎えても景気が戻らず、その後、量的金融緩和を行っても景気が回復しなかったイギリスの教訓を学ぶ必要があります。

この教訓を学べば、国民に信を問わずとも政治家としてどのような判断をすべきか分かるでしょう。しかし自民党をはじめ野党も全く分かっていません。

日本の選択は、10%の消費増税を延期することではなく、消費税を5%に減税し、それによって日本の消費を促し経済を活性化させることです。

幸福実現党は、今後も一貫して参議院選挙で「減税」を訴えて参ります。

佐々木 勝浩

執筆者:佐々木 勝浩

幸福実現党 広報本部スタッフ

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