「消費税の減税」は、民間の力を引き出す公共投資
文/幸福実現党青年局部長 兼 HS政経塾部長
幸福実現党東京都第9選挙区支部長 吉井としみつ
◆「国際金融経済分析会合」開催の真意?
「消費税の増税を延期するために開催しているのでは?―。」
そうした憶測も飛び交っている「国際金融経済分析会合」が、16日から始まっています。
5月に開催される伊勢志摩サミット(主要7カ国首脳会議)で、議長国・日本から「世界経済の持続的な力強い成長」へのメッセージを出すための参考にするというのが、表向きの理由です。
◆これまで話されたこと
会合は16日、17日に既に開催され、最後に22日に行われる予定です。
16日には、ノーベル経済学賞受賞者のスティグリッツ教授(コロンビア大学)は、「消費税の増税は先送りをするべき」と提言しました。
17日には、ジョンゲンソン教授(ハーバード大学)は、「岩盤規制を撤廃し、効率性と生産性を高める働き方への改革の必要性」を訴え、消費税の増税は必要との認識を示しましたが、その時期について明言しませんでした。
また、岩田一政氏(日本経済研究センター理事長)は、「デフレ脱却のための成長戦略の推進と、人口減少への対策を打つべき」と述べました。
22日には、デフレ脱却前の消費税の増税には否定的な、ポール・クルーグマン教授(米ニューヨーク市立大学・ノーベル経済学賞受賞者)との会合が予定されており、消費税についての発言が注目されます。
◆賃上げが鈍化しているのは「不可思議」なのか?
「国際金融経済分析会合」には、日銀総裁の黒田東彦氏も参加しています。
16日の会合の際に、企業の賃上げが鈍化していることを指摘して、「実際の賃上げペースは遅い」「不可思議なことがある」と発言をしています。
ここ数年は、大幅な賃上げが見られましたが、今年は賃上げをすると回答したものの、その上げ幅は縮小しています。
不可思議かもしれませんが、これが企業の感じている「現実」なのだと思います。
つまり、景気の先行きについて、厳しいと実感している方が多いということです。
このマインドを転換させるためには、補正予算も組まれていますが、それ以上の大胆な取り組みが必要ではないでしょうか。
参照:「国際金融経済分析会合」の開催について
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokusaikinyu/dai1/sankou1.pdf
◆世界一の政府債務?それが、どうした
日本にとっては、5月の伊勢志摩サミットで、世界経済をどうするべきかを示すビジョンを提示できる大きなチャンスです。
世界経済が鈍化する中、大きな足かせとなっている「財政均衡」という考え方です。
財政の持続性を重視するあまり、経済を発展させていくために、どう有効にお金を使おうかという発想がなかなか出ない状況です。
ここで、世界一の政府債務を「誇る」日本から、この状況を打ち破っていこうじゃありませんか。「世界経済を成長させるために、投資としてのお金を使おう」ということを訴えることは大きなインパクトになるはずです。
日本国債の金利が、最近までマイナスということは、お金を払ってでも日本国債を保有したいニーズは大きいのです。政府債務の額だけではなくて、中身を議論するべきです。
◆民間の力を引き出す、公共投資としての「消費税の減税」
そして、日本政府が提示する投資メニューは、行政だけが行うものではありません。ぜひとも、民間の力を引き出すべきです。
その民間の力を引き出すための投資として、「消費税の減税」は有力な政策ではないでしょうか。安くて、即効性があります。
「国際金融経済分析会合」で、様々な憶測が流れていますが、消費税の増税の先送りはもちろん、「消費税の減税」にまで踏み込んだ議論を期待したいところです。