岐路に立つ日本経済――必要なのは減税、減税、そして減税!
文/HS政経塾2期卒塾生 川辺賢一
◆アベノミクス3年の評価
アベノミクスが始動して3年以上が経過しました。肯定も否定も、様々な議論がありますが、皆様はどのような感想をお持ちでしょうか。
「有効求人倍率、過去24年ぶり高水準」「企業収益、過去最高」「失業率3.3%、着実な雇用改善」・・・。
確かに一部には経済状況の改善を示すデータもあります。しかし、これらは私たち生活者の実感に添ったものだと言えるでしょうか。
実際、今月16日、総務省が発表した家計調査によれば、1世帯あたりの消費支出は前年比2.7%減(実質)で、2年連続の減少でした。
また家計の支出額は、データの残る2000年以降で、過去最低を記録。国民の根強い「節約志向」は払拭できておりません。
さらにサラリーマン世帯の実質収入は、前年比で0.8%の減少です。つまり国民と政権の一番の約束であった「デフレ脱却」は全く進んでいないのです。
アベノミクスが始まってから3年、「まずは株価から、大企業から、徐々に国民一般に経済効果は波及するから」という説明が続きました。
しかし、今年に入って株価は下がり、円高で大企業の収益にも危険信号が灯っています。果たして私たちはこのまま、自分たちの未来を現政権に委ねていて良いのでしょうか。
◆マイナス金利は景気に効くのか
こうした経済状況に危機を感じてか、先月末、日銀はマイナス金利の導入を発表。このマイナス金利は、経済にどのような影響を与えたのでしょうか。
民間銀行が日銀に預けている預金(日銀当座預金)の一部にマイナス金利が導入されたことで、日銀当座預金から、それと同じくらい安全で、かつ利子収入が見込める長期国債に民間銀行の資金が流れていきました。
その結果、市場で売買される長期国債の価格が、利子を乗せて返って来る償還時の価格よりも高騰し、マイナス金利が長期国債にまで波及。その影響を受け、住宅ローンや自動車ローン等、金利全般が低下していきました。
しかし、政府によるさらなる消費増税が控えているため、どれだけ金利が下がっても、国民の節約志向は深まるばかり、企業もお金を借りて新規事業を始めようとは致しません。
どれだけ日銀が孤軍奮闘、マネーを供給し続け、金利をマイナスに引き下げても、日銀自ら、事業を始めたり、企業に融資したり、お金を直接、使うことはできないのです。
「どこに、何を、どれだけ投資したら良いのか」「何にお金を使えば良いのか」これが日銀には判断できないため、金融政策の限界が来ているのです。
◆必要なのは減税、減税、そして減税!
一番正しいお金の使い方を知っているのは国民です。また一番、正しい投資先を知っているのも、現場で日夜格闘している企業戦士たちです。
だから減税なのです。国民や日本企業が自由に使えるお金を増やすこと、デフレ脱却の起爆剤として、一番必要なのは、減税、減税、そして減税なのです。
消費税率を8%に引上げて消費不況になったのだから、給付金やバラマキ予算を組むのではなく、もとの5%に税率を戻す。これが最も的確な景気対策になるはずです。
また、安倍政権の肝いりで、今年度中に法人実効税率が32.11%から29.97%へと下がることになりましたが、同じ先進国でもイギリスはすでに20%です。アジアでは中国が25%、韓国24.2%、シンガポール17%です。
29%でも他国と比較すれば、重税という重い鉄鎖に縛られて活動している日本企業の現状は変わらないのです。
「減税をして国債発行や財政赤字が増えたらどうするのか」という声もあるかもしれません。しかし今、むしろ問題になっているのは、日銀の量的緩和やマイナス金利で国債への需要が増大し、市場で流通する国債が少なくなってきていることです。
今の日本では国債は、貨幣と同程度に誰もが欲しがる安全資産になっており、マイナス金利の今だからこそ、政府は国債を発行して、内需を喚起すべきなのです。
幸福実現党は「減税、減税、そして減税!」。国民目線、生活者の立場から本物の景気対策に取り組みます。