マイナンバー利用拡大の危険性
文/幸福実現党・三重県本部副代表 野原 典子
◆マイナンバーとは?
10月からマイナンバーが簡易書留で通知されています。
この夏の国会では「安保法案」が審議されたとき、賛成、反対が分かれる中、国民の意識がそちらに引きつけられている間に、この「マイナンバー制」が、するするっと「通されてしまった」感があります。
そして、マイナンバーが交付された今でも、「よくわからない」という人がたくさんいらっしゃるようです。
マイナンバーは、一人一人に12桁の個人番号が記され、そのメリットは、政府広報によりますと、「行政の効率化」「国民の利便性の向上」「公平、公正な社会の実現」があげられています。
◆マイナンバーが生まれたいきさつ
マイナンバーの前には2002年に始まった「住基ネット(住民基本台帳ネットワーク)」があります。マイナンバーの番号の基になっているのがこの住基ネットです。
しかし住基ネットに対しては、「個人情報の漏洩」が懸念されて、全国で反対の声がわき起こりました。300を越える地方議会が、延期や中止、見直しを求めて衆院に意見書を提出しています。
しかし今回のマイナンバーに対しては、衆院に反対の意見書を出した地方議会は6つでした。
◆マイナンバーは安全か?
ではマイナンバーは、本当に安全なのでしょうか?
私の手元には、今年6月に日本年金機構から送られてきた「日本年金機構不正アクセス事案についてのお詫びとお願い」という書類があります。
「流出が確認されました情報は、最大でお客様の 『基礎年金番号』、『お名前』、『生年月日』、『住所』であることが現在判明しております」とあり、「抜本対策に全力かつ可及的速やかに取り組んでまいります」とのことでした。
この事件がきっかけで、サイバー攻撃に対して危機管理を徹底させる姿勢を打ち出しました。しかし今も政府系のホームページに対するサイバー攻撃は続けられ、明らかに、日本の守備能力は後手にまわっています。
マイナンバーは、住基ネット以上に個人情報が繋がっており、「芋づる式ではない」と言うものの、かなりの個人情報が危険にさらされることは推測できます。
◆マイナンバー利用拡大の危険性
これからマイナンバーが、銀行口座や、検診結果、治療歴、買い物、嗜好などに結びつけられ、資産や行動、趣味嗜好まで「政府に把握」されてしまうことを危惧しています。
銀行で現金を引き出したり、カードで食事をすれば、いつどこで、どんなことをしたのか、推定することも可能だからです。
世界一民主的なワイマール憲法ができたとき、それがヒトラーを君臨させるとは思いもよらなかったでしょう。
ドイツでは、ナチスの歴史を経験しているため、マイナンバーのような共通番号は人を集団管理する国家権力の危険性があるため、利用制限をかけています。
マイナンバーが安保法案にかくれるように、すっと通ったことが、将来どんなことを引き起こすのか、わかりません。
◆マイナンバー制に反対します
マイナンバーは「よくわからないけれど、キモチ悪い」という女性が、私のまわりにたくさんいます。よくわからないけれど、直感的に、生理的に、イヤ、なのだそうです。
私もマイナンバーと聞くと、岐阜の長良川で、毎夏行われる「鵜飼い」を思い浮かべます。
かがり火が夜の長良川の水面を赤く照らし、その静かななかを、鵜庄さんが操る鵜が、鮎をとるために水中に潜る水音が聞こえるのです。
松尾芭蕉も句を詠んでいます。
「おもしろうて、やがてかなしき鵜飼いかな」
風情のある、風流な伝統的な鵜飼いですが、鵜にはプライバシーはありません。私たちが、その「鵜」になるとしたら、「やがてかなしき」どころではありません。
今、先に起こるかも知れない危機を避けることができるのなら、私たちは勇気を持って、いいことは進め、よくないことは止めていかなくてはいけないと思います。
それは、私たち自身の未来のためでもありますし、もっと先の未来の、私たちの子孫に対する責任ではないでしょうか。
※なお、幸福実現党では、現在、「マイナンバー制度の廃止を含めた抜本的見直しを求める署名」活動を行っております。
■マイナンバー制度の廃止を含めた抜本的見直しを求める署名
執筆者:野原典子