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マイナンバーは資産課税のカウントダウン――この国にもっと自由を!

文責:兵庫県第12選挙区支部長 和田みな

◆不景気の中で努力してきた日本人

日本経済は90年代のバブル崩壊以来低迷してきました。厚生労働省の調査では、世帯当たりの所得の平均は1994年の664.2万円をピークに2013年には528.9万円にまで落ち込み、減少し続けています。

このような厳しい経済状況の中で、日本人が勤勉に努力してきたことを表す数字があります。「個人金融資産」です。この個人金融資産はこの約20年間の間で大幅に増えているのです。

1990年に1,017兆円であった個人金融資産は、現在は1,700兆円を超えました。70%の増加です。これを人口で割ると、全ての国民が金融資産を1,000万円以上持っているということにもなります。

これは個人に限ったことではありません。企業の内部留保(企業の儲けの蓄え)においても同じことが言えます。

財務省の調べでは2014年度の内部留保は過去最高の354.3兆円で、1997年度の142兆円と比較しても約2.5倍に増えています。

◆マイナンバーと資産課税

個人も企業もこの20年間で努力をして多くの蓄えを作ってきましたが、それは裏を返せば、政府による経済政策に期待が持てないための「自己防衛」とも言えます。

しかし、そこに忍び寄るのが来年1月から運用が開始されるマイナンバー制度とその先に待っている「資産課税」です。

資産課税は、これまでのように年々減少している所得や売り上げに税金をかけるのではなく、これからは増加している「資産」に課税をしていく方が税収増に繋がる、という考えの下で推進されようとしています。

マイナンバーは今後、銀行口座や証券などとの「紐付け」を行うことにより、国家が個人の金融資産を完全に把握するための仕組みとして使われる筋書きが描かれています。

国家が個人の金融資産を把握する理由は、どこに課税をすれば最も多くの税金が取れるかを図り、効率よく課税するためです。

つまり、マイナンバーと資産課税はセットなのです。その目指すところは「格差是正」という美名の下で行われる個人金融資産への大増税です。

◆資産課税へのカウントダウン

このようなシナリオは決して私の空想ではありません。

経済財政諮問会議で委員をしている東大大学院教授の伊藤元重氏は次のように発言しています。

「日本は所得に比べて金融資産が増えているので、将来の財政問題を考えると、所得ではなく資産に課税するという方法もある。」

子供の将来のために一生懸命貯めた「貯蓄」に課税される日が来るかもしれません。

今年の6月に政府が発表した「骨太の方針」。そこにある税制改革の基本方針の中にも大増税につながる考え方が隠れています。

そこには、格差是正という大義名分の下で「遺産の社会還元」という観点を踏まえた見直しを行うことが盛り込まれました。

聞こえのいい「遺産の社会還元」という言葉の正体は「死ぬ時には資産を全て国に還元しろ」という社会主義的な思想からくるものです。

企業においては、強制的な賃上げ要請のみならず、以前から共産党や自民党からも提案されてきた企業の「内部留保への課税」も現実味を帯びてきました。

11月25日に自民党の菅官房長官が記者会見で内部留保課税について議論する発言をしたのです。

その背景には、前年比8.1%で増加した内部留保を賃金に結び付け、何としても来夏の参議院議員選挙までにアベノミクスの成果を国民に見せたい政府の思惑があります。

努力の結晶である「資産」、将来のための原資である「資産」、本来いつ、何に使うか「自由」なはずの「資産」が今、脅かされています。資産課税は、これまでの努力と未来の努力を無にする愚策です。

◆格差是正は正義か?

政治は善悪の戦いです。日本社会には、格差是正を「正義」とする考え方があります。

元国勢調査官の大村大次郎氏はマイナンバーを書いた著書の中で「個人金融資産がこれほど膨れ上がっているのに遺産のたった2%しか税金を取れていないということは、かなり問題」と述べています。

それについて「一番、お金があるところから、ほとんど税金を取れていない」からだと言い切っています。

また、それは相続財産を明確に把握することの難しさが要因だと述べ、相続税の役割を「貧富の差を固定化」させないことだと言い切っています。

まさに「格差是正」という錦の御旗の下に正義を遂行しているわけです。

仮に「格差是正」というものを理想とするならば、遺産の社会還元を含めた資産課税は、資産の100%を税金として国に納めなければ実現できません。

しかし、人間は国家に税金を払うために働いている機械ではありません。「そこにお金があるから」という理由だけで、国民から税金を取る権利が国にあるはずもありません。

また、資産を把握されることへの嫌悪感を持つ国民も多いはずです。

このように考えると、「格差是正」が普遍の正義ではないことに気付くのではないでしょうか。

◆幸福実現党の立党精神は「自由の大国」

幸福実現党が立党した2009年は日本の政治の分岐点でした。

アメリカやEU諸国など世界が左傾化しようとする中で、日本でも民主党に政権交代が誕生しようとしており、「社会主義化」の方向へと日本の政治が舵を切ろうとしていたのです。

力及ばず民主党政権が誕生しバラマキ型の政治は定着し「国から何かをもらう」ことが当たり前になりつつあります。

「格差是正」という結果平等の逆にあるのが、幸福実現党の「自由」という政治思想です。チャンスの平等、努力の報われる社会の実現です。

私は、本来人間は「国から何かをもらう」ことでは真なる幸福を得ることはできないと考えます。

想像してみてください。誰かの、社会のお役に立っているとき、自分の幸福を誰かに分け与えているとき、自分の力で一歩でも前進しているとき、つまり各人が自分で掴み取っていく幸福こそが、人間の真の幸福だと思うのです。

幸福実現党の目指す「幸福」の「実現」とはそのような幸福です。だからこそ、国防、豊かな教育、安い税金、小さな政府で、国民の自由を守り、自らで魂を向上させる幸福を全ての国民に保障する政府が理想だと考えます。

ばらまけば国民が喜ぶと思っている政治家や官僚には「国民をバカにするな」と言わなければなりません。

それは人間の真なる幸福ではないからです。大切なことは、国民一人一人の想いであり、行動であり、投票です。
真の幸福の実現のために、今こそ「この国にもっと自由を」。

和田みな

執筆者:和田みな

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