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これで良いのか日本の民主主義!?――戦後70年談話が象徴するもの

文/HS政経塾2期卒塾生 幸福実現党埼玉県本部幹事長代理 川辺賢一

◆粉飾談話で支持率回復

「かつて自民党は歴代政府の政府答弁や法解釈などをずっと引きずってきたが、政権復帰したらそんなしがらみを捨てて再スタートできる。もう村山談話や河野談話に縛られることもない」※1

「村山さんの個人的な歴史観に日本がいつまでも縛られることはない。」※2

これは一体、誰の言葉でしょうか。

どちらも安倍首相が、一度目の総理大臣を辞めた後、在野の衆院議員時代に語った言葉です。

一方、首相に返り咲いて2年半が経った今年8月、同じく安倍首相は戦後70年談話のなかで以下のように述べました。

「我が国は、先の大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明してきました。(一文略)こうした歴代内閣の立場は、今後も、揺るぎないものであります。」

ここで言う「歴代内閣の立場」とは、文脈上、過去の植民地支配と侵略に対して痛切な反省と心からのお詫びを表明した「村山談話」等だと理解できます。

首相就任のたった半年前の発言と首相になってからの談話で、180度矛盾する見解を表明していて、しかもその後、政権の支持率が回復している。――これは一体、何を意味しているのでしょうか。

私たち国民は建前では「嘘つきは嫌いだ」と言いながら、本音では「正直さ」も「誠実さ」も政治に求めていないのかもしれません。

マスコミに真実を求める姿勢があるならば、この安倍首相の矛盾を徹底的に追及して、首相になる前の発言となった後の談話とどちらが真実なのか明らかにすべきです。

それをせずに都合の良い時だけ政治の汚職や嘘を追求するなら、日本の民主主義は茶番だと言わざるをえません。

◆政治に誠実さを求めるならば、まず憲法を変えるべき

そうは言っても国民の多くは「汚い政治は嫌い」「政治家には正直であって欲しい」と建前上、言うかもしれません。

しかし私たち国民が本心から政治に誠実さを求めるならば、まず憲法を変えるべきです。

談話発表で支持率が回復した安倍政権も、その前は安保法制の採決で支持率を落としておりました。

この問題では、憲法学者のほとんどが安保関連法案を違憲だと表明して話題になりましたが、そのうちの7割の憲法学者は自衛隊の存在自体、違憲あるいは違憲の可能性があると表明しております。

憲法を職業にする憲法学者でなくとも、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」とある憲法9条第2項を字面通り読めば、確かに憲法上、自衛隊が存在して良い理由がわかりません。

日本国憲法を字面通り、あるいは憲法学者の大半が示す通りに理解するならば、私たち日本国民は、自衛隊を廃止するか、憲法を変えるか、どちらかを選ばなければ、「憲法でも嘘をついている」ことになります。

立憲主義によれば、憲法とは国の最高法規であり、権力を制御して、民主主義を守るための大事な法です。

しかし、その大事な憲法で国民が嘘をついていて、どうして日本に正常な民主主義が機能するでしょうか。「民主主義や立憲主義が大事だ」と言うならば、まず憲法で嘘をつくのをやめるべきです。

◆日本は国際秩序への再挑戦を!

このような戦後日本の歪んだ民主主義は、日本がGHQに占領され、あらゆる言論がGHQの検閲を受け、GHQが作った日本国憲法に対しても、彼らの占領政策に対しても、批判が許されなかった「閉ざされた言論空間」から始まったものだと考えられます。

またそれは安倍談話の「新しい国際秩序への挑戦者」という言葉にも象徴されます。

本来、「国際秩序」というのは価値中立であり、良い秩序もあれば、悪い秩序もあります。にもかかわらず、日本では安倍談話を肯定する側も、批判する側も、「国際秩序に挑戦した」こと自体悪いことであるかのように論じられます。

当時の国際秩序は、安倍談話のなかにもあるように、欧米列強諸国が植民地を巻き込んで経済のブロック化を進める秩序です。

安倍談話にある「民族自決」は欧州に限られた動きで、アジア・アフリカの有色人種は独立国家を持てず、人種差別を受けていた、さらに自由貿易ではなく、保護貿易が進められた――そういう秩序に挑戦して何が悪いのか、正義や民主主義や人種平等や自由経済の観点から一体どう説明できるのでしょうか。

そして現代の国際連合においても、事務総長が中国の抗日戦勝式典に参加する等、全く理解できない行動をとっています。これが国際秩序であるならば、挑戦して当然です。

私たちは、このような戦後日本の歪んだ民主主義を真実の光で検証し直し、間違った国際秩序に挑戦した先人たちの気概を取り戻すべきです。

※1 2012年5月「産経新聞インタビュー」
※2 2009年2月号「正論」

川辺 賢一

執筆者:川辺 賢一

HS政経塾2期卒塾生

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