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日ロ協商という独自外交の道を拓け!

文/幸福実現党・山形県本部副代表 城取良太

◆日本に誘い技をかけるプーチン大統領

ロシアのプーチン大統領は20日、サンクトペテルブルグでの経済フォーラムに集まった世界各国の通信社と会見し、北方領土問題について「全ての問題は解決可能であり、そのために会談が必要」と安倍首相との首脳会談に意欲を示しました。

一方で、昨今の日ロ関係の冷え込みは、ウクライナ問題で制裁を科した「日本側の責任」とも指摘し、関係改善を図る動きを見せなければ、年内の訪日自体が困難となることも示唆しております。

プーチン大統領の発言を受けて、G7首脳会議に出席していた安倍首相は、ヨーロッパ各国の首脳と相次いで会談し、ロシアとの対話の必要性、プーチン大統領の来日実現について理解を求めました。

北方領土問題を「任期中に解決しなければならない」と強い意欲を表明している安倍首相ですが、ロシアへの国際的な圧力を重視するアメリカは、プーチン大統領の来日計画に警戒感を抱いており、安倍首相が4月に訪米した際にも、オバマ大統領から慎重な対応を求められた経緯もあります。

北方領土問題解決のための日ロ首脳会談に向けて、同盟国であるアメリカの説得が「最大のヤマ」となるのは、実に皮肉な結果であると言わざるを得ないでしょう。

◆日本でロシアは嫌われ者?

国内に目を向けても、歴史認識、憲法問題等をはじめ、日本に内政干渉を行おうとする中国、韓国には擁護的な言論も少なくない一方で、現代においてはさほど対立関係を持たないロシアに対して、同情的な論調というのは驚くほど限定的です。

確かに、第二次世界大戦直後、ソ連の北方領土占拠やシベリア抑留など、理不尽な行為に対する根深い嫌悪感、不信感があるのは致し方ありません。

日本の保守メディア・言論人においても、ロシアは経済・エネルギー協力をちらつかせながら、欧米内部の攪乱、日本と欧米の分断を図る「悪役レスラー」という位置づけが固定化しており、欧米との連携を強調する、いわば「親・欧米保守」的な論調が一般的と言えるでしょう。

しかし、冷戦後誕生したロシアは国際法上の権利を継承してはいるものの、マルクス・レーニン主義を掲げたソ連邦とは明らかに異なる価値観に根ざした「別の国」であるという点も事実であり、国家と民族の混同は好ましくありません。

日本政府、国民一般にも広がるロシアへの冷淡さは、ロシア国内でも「日本は反露的だ」との世論を高める要因となっており、この点が払拭できない限り、健全な日ロ関係構築は難しい状況が続くはずです。。

◆日ロ関係の進展でもたらされる3つの成果

しかし、日ロ関係の進展によって、日本が得られる成果は3つあるはずです。

第一として、経済・エネルギー分野での協力関係の構築が挙げられます。

プーチン大統領は、極東シベリア開発での日本との関係強化に具体的な構想を持っており、インフラ整備、エネルギー資源開発、宇宙開発、または農業分野などで「主要なパートナー」と位置づけています。

特に、エネルギー資源が乏しく、8割以上を中東に依存している日本にとって、ロシアとのパイプが更に広がることによって、供給元分散によってエネルギー安全保障は健全化し、ロシアとの共同開発によってもたらされる国益は大きいものとなるでしょう。

第二としては、ロシアとの関係緊密化によって、極東における当面の不安定材料である北朝鮮を、背後からの抑止力によって無力化させ、暴発を未然に防ぐ事が可能となる点です。

◆ロシアと中国の危ない接近を防ぐのは日本の使命

更に第三としては、ロシアと中国の危ない接近を防ぐ使命が、日本にはあるという点です。

2013年12月、アメリカのウォルター・ラッセル・ミード教授は「ロシア・中国・イラン」の3カ国を、穀類の中を空洞化させ、卵を産む害虫になぞらえて、「コクゾウムシの枢軸(Axis of weevils)」と名づけ、アメリカの一極支配に挑み、水面下でコソコソと侵蝕しようとする構図を紹介しました。

実際、ロシアと中国の接近はウクライナ危機以降、特に叫ばれており、その要因は欧米側のロシアに対する制裁、それに加担する日本の存在が大きく要因していると言えるでしょう。

ただ同時に、ミード教授はこれらの国々には「反米共闘」以外には共有できるものが少なく、しばしば利害対立が起こることもあると指摘しております。

すなわち、既にロシアからラブコールを受けている日本は、ロシアに対して「反米共闘」以上の魅力的なオファーを出す事が出来れば、ロシア・中国の危険な接近を平和裏に分断させる絶好の立ち位置にいることを知るべきなのです。

◆「複眼思考」の独自外交でイニシアティブを握れ!

このように、既存の欧米追従型外交という枠組みから脱却し、ロシアとも関係を深化させるという「複眼思考」を持つことが、中国、北朝鮮などの極東における安全保障上のリスクを低減させ、日本の新しい可能性を拓くはずです。

その際に最も重要なポイントになるのは、冒頭でも挙げましたがアメリカの説得となるでしょう。

日本政府は、是非とも欧米とロシアの橋渡し役を日本が担う位の大きなビジョンを持って、独自外交の道を切り拓く勇気を持って頂きたいと思います。

しろとり 良太

執筆者:しろとり 良太

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