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中小企業にとって相続税は致命傷!

文/HS政経塾4期生 幸福実現党・大阪本部副代表 数森圭吾(かずもり・けいご)

◆中小企業の永続経営を阻む壁

日本には中小企業が約390万社あり、これは全企業数の99.7%を占める数です。また、雇用の約7割を担い、日本企業の売上高の約半分を占めているのも中小企業です。

つまり、中小企業こそが日本経済の屋台骨であるといっても過言ではないでしょう。よって中小企業の成長を支えることは日本経済にとって非常に重要であると考えます。

一口に「中小企業」といっても様々な企業が存在し、多くの経営課題が存在しますが、多くの企業が共通して抱える課題の一つに「企業相続」があります。

「中小企業白書(2006)」によれば、中小企業は年間約27万社が廃業しており、この原因として企業相続問題が大きく影響していると言われています。

企業が永続的に発展するためには、経営者が交代する際などにスムーズに企業相続が行われる必要がありますが、ここで大きな壁となっているのが相続税なのです。

◆中小企業相続と相続税

中小企業の社長やオーナーが死亡した場合、 その会社の株は残された家族などに引き継がれることになります。この際、この株が相続税の対象となります。

中小企業といっても、 資産評価すると数十億円の価値がある会社もあり、その場合の株に対する相続税は非常に高額となってしまいます。

ところが中小企業の非上場株式は、簡単に売却してお金に変えることができないため、 相続税支払いに必要となる資金繰りが非常に難しいというのが現状なのです。

◆企業相続シミュレーション

会社の株価総額が20億円だとした場合、その会社の株式を息子に相続すると、息子には約10億円の相続税がかかるといいます。

ある税理士の試算では、会社を引き次ぐ以前に、この息子が30台半ばからその会社の役員となり、年間に役員報酬を毎年2000万円受取ったとした場合、生活費・所得税を支払って貯金できるのは年間700万円程度となります。

そして20年後、息子の年齢が50台半ばになって父親からの事業承継が必要となった場合、息子の預金は1.4億円程度で、株式にかかる相続税10億円には遠く及ばないことになります。

このように企業相続するにも相続税が払えず廃業するという企業が多数発生しているのです。企業相続において相続税は非常に大きな壁となってしまっているのです。

過去には銀座の一等地にある文具店の社長が、莫大な相続税負担を悲観して自殺するという痛ましい事件も起こっているほどです。

◆相続税に関する要件緩和

このような状況の中で、15年1月から相続税に関する、中小企業の非上場株式を承継する際の税負担を軽減する「納税猶予制度」の要件が一部緩和されました。

緩和内容としては大きく以下の内容が挙げられます。

・事前確認の廃止
・親族外承継の対象化
・雇用8割維持要件の緩和
・納税猶予打ち切りリスクの緩和
・役員退任要件の緩和
・債務控除方式の変更

※詳細・中小企業庁HP
http://www.chubu.meti.go.jp/c71jigyousyoukei/syoukei_tirashi0329.pdf

しかし、これらの制度がどれほど機能するかは極めて不透明です。

2008年にも企業相続にかかる相続税の納税猶予制度改善策が導入されましたが、この制度の対象として認定された件数はわずか258件でした。

企業相続の際に発生する相続税は、企業の永続経営に対する影響力の大きさから考えても、要件緩和という手段ではなく、税制の根本的な見直しが必要なのではないでしょうか。

◆世の中に必要とされる中小企業が残っていくために

そもそも企業とは世にサービスを提供し、社会を豊かにするものであり、個人の枠を越えた社会的な存在だといえるでしょう。

そして中小企業の経営者が保持する自社の株というものは、企業が社会に貢献するための経営資産でもあります。

社会から必要とされ、利益を上げている会社が税金によって廃業に追い込まれるという事態には違和感を感じざるを得ません。

相続税が肯定される根拠なかに「相続などで無償所得した財産には課税し、社会に還元すべき」という考え方がありますが、企業相続に関して課税対象となる財産は、「企業の社会性」の観点から考えても、個人財産と同様の扱いをすべきものではないと思われます。

これらの理由から、日本の中小企業がより発展していくためにも、企業相続において発生する相続税には今後「減税・撤廃」が必要であると考えます。

数森圭吾

執筆者:数森圭吾

HS政経塾4期生

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