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自民圧勝!――いや、国民は既にアベノミクスを信じていない

文/幸福実現党外務局長 及川幸久

◆まずは、消費増税8%の結果検証を

衆院選の結果、自民党の大勝、圧勝、アベノミクスは承認されましたと言われていますが、本当にそうなのでしょうか?

このことを検討するために、選挙前に十分に検証されないままだった、今年4月の「消費増税8%」の結果を振り返ります。

消費増税8%後、景気は急激に悪化し、昨年のアベノミクス開始以来増え続けきた実質GDPは7〜9月期で前年より5.7兆円も減りました。8%への増税がなければ16兆円以上増えていたはずです。

参考「財務省御用学者に安倍首相が激怒 増税延期と総選挙決断の舞台裏」
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20141128/ecn1411280830002-n2.htm

要は、昨年アベノミクスはGDPを大きく伸ばし、今年は消費増税8%がGDPを大幅に減らしたということです。

問題は、政府の事前の説明では、増税してもGDPは既に回復すると言っていたことです。マスコミも経済専門家の多くも同じことを言っていて、誰も予想しなかった結果だと言われました。

では、誰もこの結果を予言できなかったのでしょうか?

◆筑波大学・宍戸駿太郎名誉教授はGDPマイナス6%を予測していた

昨年9月、安倍総理が消費増税8%を決断される前、ネット報道番組「ザ・ファクト」が消費増税の特集番組で衝撃的な内容を伝えていました。

番組では、宍戸駿太郎筑波大学名誉教授が、「消費増税で名目GDPがマイナス6%になり、大不況が再び到来する」と予測していたのです。宍戸教授は、アベノミクス支持者であり、当時、政府の集中点検会合で増税賛成派が多数を占める中、数少ない反対派の一人でした。

増税反対の根拠は、消費税を上げると名目GDPは2020年にはマイナス56兆円、マイナス6%になるという予測です。これはリーマンショックの時のマイナス41兆円をはるかに上回ります。

宍戸教授はもともとアベノミクス賛成派の方ですが、教授の表現では、「第一楽章は素晴らしかったが、第二楽章で”葬送行進曲”に、第三楽章は”収拾不能”になり、世界の笑いものになる」と述べています。

※消費増税直前!増税後、日本経済はどうなる?その衝撃の予想結果とは?
【ザ・ファクト#002】https://www.youtube.com/watch?v=fW5LpSpDUo8&list=PLF01AwsVyw33_rfZJT62cIcLlsMTlH1r2&index=2

◆幸福実現党・大川隆法総裁によるアベノミクス失速後の「生き残り戦略」

もう一人、もともとアベノミクス成功を支援していた幸福実現党・大川隆法総裁も、消費増税8%が決まった時点で、アベノミクス失速に備えて企業の「生き残り戦略」を示していました。

実は、大川隆法総裁が懸念していたのは、消費増税だけではなく、安倍総理自らが企業に賃上げを要求していたことでした。安倍総理は、実質賃金が上がれば消費に回り、デフレ脱却できると見ていました。

今年年初、大川総裁は、一般非公開の講話『忍耐の時代の経営戦略』の中で、「通貨供給量を増やして株価を上げたのはよかったが、景気回復の実体が伴っていない」ことを問題視していました。

企業業績という実体を伴わない株価上昇はバブルに過ぎません。バブルの中で企業が安倍政権の圧力に従って給料を上げたとしても、人件費が増えた分、企業は設備投資を減らしたりするだけです。

国民も、仮に給料が増えたとしても、その分は貯金して、消費には回らない、ということが、大川総裁の見方でした。

実際に8%増税後に起きたことは、個人消費が予想以上に落ち込んだだけでなく、同時に民間企業の設備投資がストップ、GDPマイナス成長の主原因になりました。

政府の「増税しても景気回復はできる」という楽観的な見通しでしたが、国民も企業もアベノミクスの成功を確信していないどころか、円安で輸入物価が上がり、電気料金が上がり、一時的な減税があっても、消費増税で先行きが悪くなると不安視していました。これが政府と民間の景気感覚の違いです。

◆アベノミクスはどうなるのか?

確かに、「アベノミクス解散」の結果、自民党は圧勝しました。「景気回復、この道しかない」という総理の言葉が支持された形になりました。しかし、現実は、国民も企業も「アベノミクスの次」に備え始めているのではないでしょうか。

選挙直後に、大川隆法総裁は、「最新の予言」をしています。

「日本はここ数年の間に厳しい危機を迎えることになる。『この道しかない』と言っている方がその言葉を撤回しなければならない状況がくる」(大川隆法総裁最新法話「神は沈黙していない」より)

もしこのよう事態になるのならば、実体のない株価上昇のようなバブル型の発想を改める必要があります。大事なことは、アベノミクスの恩恵が回ってくるのを待つのではなく、小さくてもコツコツと付加価値を創造し続けることであります。

参考『忍耐の時代の経営戦略―企業の命運を握る3つの成長戦略』大川隆法著 幸福の科学出版
http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1142

及川幸久

執筆者:及川幸久

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