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どうなる日本経済!?アベノミクスの行方を問う

文/HS政経塾2期卒塾生 川辺賢一

◆揺れる世界経済――円安ドル高・株高トレンドは終わったか

10月初頭に1ドル=110円台を付けたドル円相場でしたが、第3週には一時105円台前半まで急落。また先月には1万6千円台を超えた日経平均株価も1万4千円台の前半まで続落しました。

その要因としては、世界経済の減速懸念や9月末に発表された米国の景気指標(米国の消費者信頼感指数等)が悪化し、米国の利上げ観測時期が遠のいたこと、世界的なリスク回避の動きから安全資産として円が買われたことが挙げられます。

しかし一方、足元の米経済指標が底堅い回復を示していることも無視できません。

今月16日に発表された米国の失業保険申請件数は大幅に減少、鉱工業生産指数は予想を上回る上昇、米住宅着工件数や大手金融機関の決算も大幅に改善しており、不安定な金融市場とは裏腹に米経済の回復基調には底堅いものがあります。

一部マスコミは世界同時株安を囃し立て、人々の不安を掻き立てますが、あまり踊らされるべきではありません。

米国の利上げ観測時期が遠のいたとはいえ、遅かれ早かれ利上げ局面に入ることに変りはなく、一方の日本では日銀による追加緩和が期待されています。

世界に放出されたドルが回収されるなか、円の放出はしばらく続く以上、中長期トレンドとしての円安ドル高、そして株高に変化はないと言えるでしょう。

◆インフレの主犯は円安や金融緩和ではない

さて日銀の「異次元緩和」が始まって日本のデフレ脱却が見えて参りましたが、一方で緩和政策による円安が原材料費等の輸入物価を押し上げ、国民の生活を苦しめているとし、金融緩和の副作用を批判する声もあります。

通貨安によるエネルギー価格の上昇や賃金の上昇によるインフレを、コスト・プッシュインフレといい、悪いインフレとされますが、果たして日本は日銀の緩和政策の結果、悪いインフレに向かっているのでしょうか。

現在のインフレ率(生鮮食料品除くコアCPI)は前年比3.1%(8月)で、このうちエネルギーの貢献は0.8%にすぎず、需要増加分はたったの0.2%であり、誤差の範囲です。

ではインフレ率3.1%のうちの残りの2.1%は何によるものなのでしょうか。

それが消費税の増税です。現在、徐々に始まり、国民生活を苦しめるとされているインフレは円安によるものでもなければ、エネルギー価格の上昇によるものもなく、金融緩和の副作用でさえありません。消費増税の効果です。

さらに消費増税は日銀がインフレ目標政策でターゲットにしているインフレ率、すなわち需要増に伴うインフレ率の上昇を抑えてしまうので、悪いことしかないのです。

◆円安は是正すべきなのか

また中小企業を中心に円安への懸念が表明されておりますが、円安は是正されるべきなのでしょうか。

まず、ほとんどの場合、デフレ脱却の過程で通貨安そのものは避けられません。ゆえに日本経済がデフレ脱却に向かっていくことを良しとするならば、円安を受け入れる方向で対策を考えていくべきです。

では円安は中小企業や海外から原材料を輸入する企業にとっては悪いことばかりなのでしょうか。

私自身、現在、ある中小ベンチャー企業のなかで、海外から部品を輸入して加工した最終製品を、主に国内向けに販売しておりますが、円安による原材料費上昇のマイナスよりも、円安に伴う大企業の株高や開発費増加によるプラス効果の方を強く感じます。

また円安になると、競合する海外メーカーの製品価格が上昇するため、国内で製品を販売する製造業であっても恩恵は受けるのです。国内市場においても海外製品と競合しているからです。

さらに言えば、中小企業であってもドル資産を持てば円安のリスクをヘッジできます。仮にドルが下落して、保有するドル資産の価値が目減りしても、ドル安によって原材料費が下がれば、その分の損失は相殺されます。

いずれにせよ、日本は自由な変動相場制を採用しているのですから、基本は自由な市場に任せるべきです。金融緩和によって起こる通貨安に備え、対策を打つことはできても、「是正する」ことはできませんし、すべきでもありません。

◆世界を明るくできるのは日本だ!

現在、エボラ出血熱やイスラム国の台頭等、雲行きの怪しい世界情勢が人々の心理を不安にし、世界経済の回復を遅らせております。またそれが日本の回復を遅らせる要因にもなっております。

しかし現在、デフレ脱却過程にある大国・日本の経済の力をもってすれば、世界経済の見通しを明るく変えてゆくことができます。

まず日銀が市場の期待に応えて追加緩和を打ち出すべきです。続いて政府が消費増税を撤回し、韓国やシンガポール並みの大幅な法人税減税に向けた工程表を示すべきです。

日本が世界の需要を牽引する意志を示すことで、世界経済の見通しを明るくし、それをもって日本経済回復の起爆剤としてまいります。

川辺 賢一

執筆者:川辺 賢一

HS政経塾2期卒塾生

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