このエントリーをはてなブックマークに追加

公教育改革を進めよう――恐れるものへの挑戦を

文/兵庫県本部 副代表  湊 侑子

◆学力の底上げが実現

文科省が今月25日に全国学力テストの結果を公表しました。

国公私立計35000校、約215万人が参加した今回の結果を見て驚いたことは、毎年最下位もしくはそれに近かった沖縄県の学力が小学校で大幅に改善されていたことです。

小6算数Aが昨年の最下位から今年は全国6位に。国語A・Bや算数Bも例年の40位以下から30台前半へと上昇しました。

成績上昇は沖縄だけではありません。

今回のテストでは全国平均と下位3県の平均との差が、中3国語Bを除く7科目において昨年度よりも0.3~1.2ポイント縮まりました。(2014.8.26 産経「学力底上げ進む」)

下位層が全国平均値に近づいてきたことにより、全体的に学力が上がったことが分かります。都道府県別の結果の公開をした結果、わずかながらも学力が底上げされました。

現に沖縄県内でも学力が最下位であった八重山地区、特に石垣市では低学力の犯人捜しを辞め、学校・家庭・地域が責任をもって子どもたちの教育にあたったところ、正答率が上昇し、沖縄県の学力底上げにつながったと言います。(同上 産経)

公開テストの結果開示は、子供たちの学力増進につながると言えます。

◆公教育にかかる教育費、実は高い!

さて、皆さまは公教育にどのくらいの費用がかかっているか、ご存知でしょうか。

少し古いデータですが、平成21年度教育費の総額は16,4兆円、そのうち公教育にかかるコストは、13,7兆円でした。これらには、すべて私たちの税金が使われています。

公教育に対して国民すべてが一人当たり、年間約10万円を負担していることになるのです。

生徒一人あたりの学校教育費は、小学校で91万円、中学校で106万円、高校で115万円、高等専門学校で211万円、定時制高等学校で164万円で、これらの多くは人件費(教員・事務員の給料)に使われています。学校の施設維持費などを加えると、これがおよそ1.5~2倍になると思われます。

公教育はただ、というのは単なる思い込みであり、間違った認識です。

国民の尊い血税を使っている以上、公教育は成果を出さなければなりません。その成果とは、国益にかなう日本人を育てることであり、世界に貢献する日本人を輩出することです。

そう考えるならば、現在問題とされている多く事柄、自殺までつながる陰湿ないじめ、学習内容の薄さと低学力、一部の教師の怠慢、日教組などによる過度な平等・平和教育、教育委員会の機能不全、などの解決に向けてもっと真剣に取り組むべきです。国民は、公教育に無関心であってはならないと思います。

◆公教育に競争と情報公開を

都道府県別の成績は公開されても、市区町村別・学校別の学力テストの公開は、まだまだ程遠いのが現実です。

この度、一定の条件付きではありますが、市区町村別・学校別テストの結果を公開できるようになりました。

しかし「過度の競争おそれ」を抱く教育委員会は、各学校の責任に任されている自校の成績公開に関して、「公開しないように」と要請する大阪・堺市教育委員会さえ存在しており、公教育の成果はなかなか明らかにされません。

公教育に本当の競争を導入し、各学校が切磋琢磨しながら努力と改善を行うための最も良い方法は、学区制を廃止もしくは広範囲に設定し、生徒が自分の行きたい学校を選ぶことができ、生徒数に合わせて各学校に予算を配分する「生徒・保護者の足による投票」、欧州型の教育バウチャー制度導入であると私は考えます。

そのためには、各学校の様々なる情報の公開が欠かせません。競争が質を向上させること、競争がないとことには腐敗が生まれる、ということは明らかです。

公教育は誰のためのものなのか?

それは、教育を受ける生徒たちのものです。彼らはこれからの日本を担う、主役であり主力なのです。文科省・各教育委員会・学校・教員たちは、生徒たちのための公教育改革をはじめなければなりません。

それは多分に痛みと反対を伴うものでしょうが、恐れるものへの挑戦こそが、未来を切り開く鍵なのです。

みなと 侑子

執筆者:みなと 侑子

HS政経塾1期卒塾生

page top