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「日米同盟」と「自主防衛力」に関する考察と戦略

文/茨城県本部副代表 中村幸樹

◆「防衛白書」(平成26年度版)で観る、我が国の安全保障政策

中国の脅威が高まる中、その対処として「国家安全保障戦略」「平成26年度以降に係る防衛計画の大綱」「中期防衛力整備計画(平成26年度~平成30年度)」(平成25年12月17日閣議決定)に沿って、 国際協調主義に基づく積極的平和主義、防衛力の「質」「量」の確保、「統合機動防衛力」の構築、日米同盟の強化等を推進する方針、また、「国の存続を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」(平成26年度7月1日閣議決定)で「集団的自衛権」を行使可能とし、前進したと言えます。

(1)日米同盟を基軸として、不敗の地に立て、(2)台湾を中心としたシーレーンを守れなければ、日本のエネルギー危機が来て未来は危ない、ということ(「日本外交の盲点」)を、一応押さえていると見られます。

しかし中国の覇権への執念と「日本支配」の可能性、「日米同盟」弱体化の危険見積もりという点では、判断に甘さが感じられます。

◆帝国主義的侵略を目指している、危険な中国

中国の公表国防費は、過去26年間で約40倍、過去10年間で約4倍となっています。2014年度は約13兆円ですが、人民解放軍の衣食住コスト、人民武装警察部隊コスト、ミサイル戦力コスト、医療費と年金コスト、経営する武器製造企業のコスト、輸入外国製兵器、宇宙戦争予算等が入っていないために、実際は20兆円~30兆円とも言われています。

「先軍政治」で、数千万人粛清してでも国体を維持し、資源争奪、他国支配で、「軍事力をお金に換える」体質を持っています。

「アクセス(接近)阻止/エリア(領域)拒否」(「A2/AD」)能力の強化で、第一列島線~第二列島線と支配圏を拡大し、日本降伏と支配の計画、さらには世界制覇の野望も持って、軍事力の近代化を推し進め、三戦(さんせん)(輿(よ)論戦(ろんせん)、心理戦、法律戦)を展開しています。

◆日米同盟の脆弱性(ぜいじゃくせい)。

アメリカは、時折、正義を見失い、判断を誤ることがあります。

日本に、人種差別をし、石油を止め、ABCD包囲網を敷き、ハルノートなどの外交で開戦に追い込んだ例、東京大空襲と原爆投下で民間人を大虐殺した例、戦後は、台湾を裏切り、中国共産党と手を組んだ例などです。

現在も、

(1)経済的理由で、世界の警察官としての使命を放棄し、『孤立主義』に入る可能性。
(2)中国との軍事的対決を避けるため、また中国との経済的関係を重視して、東アジアは中国に任せよう、との誘惑に駆られ、日米同盟を破棄し、『米中同盟』に入る可能性。
(3)将来、中国の軍事力が日米を上回って、日米同盟が『機能不全』に陥る可能性。

は完全には捨てきれず、戦略と対策が必要です。

◆日米同盟の強化、継続の力

日米同盟の強化と継続には、日本が、アメリカから見て、

(1)敬意を払いたくなる『徳力』。
(2)敵対したくない『防衛力』。
(3)中国より魅力的な『経済力』。

を持っていることが、有効な力となります。

◆敬意を払いたくなる『徳力』

「南京大虐殺」「従軍慰安婦」などの捏造歴史認識を、日本中・世界中から払拭させ、 「世界から人種差別と植民地支配をなくしてきた、正義のサムライ国家・日本」「世界最古の王朝が連綿と続く、奇蹟の国・日本」「今後も、世界の恒久平和のために尽くす、平和と正義の守護神・日本」といった内容のPR活動を大々的に行い、世界人類の幸福に責任を持って、発言力、外交力、リーダーシップを発揮していくべきです。

◆敵対したくない『防衛力』

アメリカとの友好関係は常に親密にし、相互に軍事協力は推し進めつつも、同時に、高度な技術を有する「自主防衛力」を構築することが大事です。

傭兵に頼って経済的繁栄だけを求めていたカルタゴが徹底的に殲滅された事例を考えれば、自主独立した、高度で、頼りがいのある防衛力を保持することが、国防の隙をなくし、誇りある健全な同盟関係を持続させていく鍵になります。

自衛隊の最新兵器は、レベルは高いのですが、アメリカがソフトのコードを変えれば機能しなくなるものも多いという弱点があります。同盟関係なら問題ないのですが、米中に組まれたら、日本は奴隷国家へと転落するか、消滅するかという結末になります。

アメリカが日本を敵に回したくない「最新(未来型)通常兵器」の自主開発、「核抑止力」の自主構築が必要と考えます。

具体的には、各種軍事作戦を遂行し得る宇宙衛星、宇宙兵器、ミサイル防衛システム、原子力潜水艦、原子力空母、巡航ミサイル、弾道ミサイル、次世代航空機、各種無人機、ロボット兵器、レーザー兵器、サイバー戦技術、島嶼戦の装備、核シェルター、核抑止力、核ミサイルを無力化する兵器等において、技術的に中国に対して圧倒するレベルを確保することが大事です。

自主開発の高性能兵器を、アセアン諸国、インド、オーストラリア、韓国、ロシア、その他の友好国に、戦略的に輸出することは、中国包囲網を形成し、中国の侵略を抑止するための有効な方策となります。

☆『経済力』に関しては、別の機会で論じたいと思います。

中村こうき

執筆者:中村こうき

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