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なぜ日本は負けたのか?――戦史に学ぶ、未来への舵取りと提言《第9回》

文/岐阜県本部副代表 河田成治

◆素晴らしき日本人の道徳観

日本人は世界を見渡しても、賞賛すべき道徳観を持っています。

東日本大震災は不幸な出来事でしたが、この中にあって、世界のマスコミは、日本人の驚嘆すべき道徳観を報じています。例えば、アメリカのマスコミは、次のようでした。

「東日本大震災で、多くの金庫が海岸に打ち上げられたが、日本人はこの金庫のほとんど(約5700個!)を警察に届け、その合計は約37億900万円に達した。また、その内の85パーセントにあたる約31億円が持ち主に帰った」(「The Huffington post」 2011.8.11)

このニュースを見たアメリカ人は「もしアメリカ人なら、絶対に金庫をこじ開ける。日本人は信じられないくらい誠実で、倫理観が高い」と言っていました。

また、「おもてなし」は流行語にもなりましたが、すでに英語の単語になっている「omotenashi」を、ニューヨーク・タイムズ(1997.4.20)は、次のように説明しています。

「日本人の「おもてなし」は、単純に英訳できない、心遣いや献身、きめ細やかな心配りである」このような、誠実で他人を思いやる美しい心が、日本文明ではないでしょうか。

私の前回の論考「零戦と日本人」でも論じましたが、誇り高き武士道を持っていたのが日本人でもありました。

私は、日本こそがリーダーシップを発揮して、世界の平和・繁栄に貢献すべきだと思っています。日本はそろそろ自虐的な歴史観から脱皮し、世界に責任を負うリーダー国へと、自己認識を変えるべき時なのではないでしょうか。

そのためにこそ、国家戦略は必要です。

◆大きな国家戦略を

大東亜戦争では、戦略がなかった事をお話ししましたが、現代にも拡大するならば、“国家の志”とも言うべき、世界のリーダーを目指す国家戦略を持ちたいものです。

ただ、国家戦略は、国家防衛を切り離して考える事はできません。

他国の侵略に備えて、我が国の「集団的自衛権」と憲法九条“適用除外”による国防の強化は、待ったなしです。日本を取り巻く状況はたいへん切迫しています。

しかし、国防の強化だけでは不十分で、周辺国の動向を考えねばなりません。

◆国防戦略と指針の策定

以下は一例ですが、さまざまな対策を策定しておくべきです。

第一には、我が国の島嶼部への侵攻と、それに続く「日本降伏計画」ですが、この最悪の事態は、検討を排除すべきではありません。このポイントは、日米同盟の未来だと思います。

かつて日英同盟が破棄され、換わって日米英仏の四ヵ国条約(1921年)になったことが、大東亜戦争の根本原因でした。

同盟が意味を持つのは、2ヵ国間の場合のみです。連帯責任は無責任と言われるように、多国間の同盟は無責任同盟になると国防論では教わります。

この同盟の原則に立つならば、最も恐るべきことは、日米中(韓)同盟の締結です。アメリカの経済的後退と、中国の資金力を背景とした米中の歩み寄りが、万が一にも日米中(韓)同盟となるならば、最悪のシナリオです。

なお、「日本降伏計画」シミュレーションは、膨大なレポートになるので、別の機会に譲ります。

次回はそれに関連する、我が国周辺の事態に触れるに留めます。(つづく)

河田 成治

執筆者:河田 成治

岐阜県本部副代表

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