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元気な経済あっての年金制度――消費増税は年金破たんへの道

◆受給開始年齢引き上げだけで、公的年金の問題は解決するのか?

政府の社会保障国民会議が、公的年金の受給開始年齢の引き上げを、中長期的なテーマとして8月上旬の報告書に盛り込む方向で調整に入ったことが報じられています(7/25 朝日朝刊7面)。

年金の受給開始年齢の引き上げだけが論じられていますが、これだけで果たして、年金制度の抱える問題が解決するのでしょうか?

年金制度については、年金制度として独立に考えられがちですが、年金と経済の関係もしっかりと考えるべきです。

◆景気好調で、運用益11兆円の公的年金積立金

日本の年金制度は、賦課(ふか)方式という、現役世代が高齢者世代の社会保障を支える仕組みとなっています。

ただし、現役世代が納めている保険料がそのまま全部使われているわけではなくて、一部は積み立てられており、その積立金の大部分を、GPIFという独立行政法人が運用しています。

積立金は、国内外の国債や株式で運用されていますので、景気が良くなると、株価が上がり、その結果、運用益も上がります。

昨年末、自民党政権となり、幸福実現党が2009年の立党以来、主張し続けていた金融緩和政策や財政政策を採用した結果、景気は好転しつつあり、株価も大幅に上昇しました。

そして、約120兆円もの公的年金の積立金を運用する、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、2012年度の運用実績が約11兆円の黒字であり、自主運用をはじめた2001年度以降で最高になりました(7/3 読売朝刊2面)。

◆「元気な経済」という土台があっての年金制度

経済に元気がなければ、年金積立金を運用しても、利益が出るどころか、損失まで出かねません。

GPIFが自主運用を開始して12年間のうち、5年度は損失を計上しています(平成24年度業務概況書:)。

安心の年金制度を維持するためにも、元気な経済は不可欠なのです。

土台がぐらぐらしているのに、柱だけを丈夫にしても、根本的な解決策とはなりません。健全な経済という土台に、社会保障という柱が立っているのです。

そして、経済が活発になるからこそ、意欲のある高齢者の方々が働ける雇用の創出もできるのです。

経済成長を抜きに、社会保障制度だけを充実することはできません。

だからこそ、幸福実現党は、経済成長政策を前提とした上で、生涯現役社会の推進を訴えているのです。

◆景気に水を差す消費税増税は、年金制度を更に不安定にする

そう考えると、今の消費増税の議論も違った切り口から見えてきます。

1997年4月1日から消費税を3%から5%に増税して以来、経済全体のパイは縮小しました。

1997年度は53.9兆円あった税収は、2012年度は43.9兆円です(財務省「一般会計税収の推移」)。

差額の10兆円はどこにいったのでしょうか?

それは景気後退によって、税収が減ってしまったのです。ちなみに、消費税1%分で約2兆円ですから、減少分の10兆円は消費税5%分に相当します。

景気回復を続け、法人税収・所得税収を上げていけば、税収を回復させることは可能です。

社会保障の財源を名目として、消費税を増税しようとしていますが、経済が元気でなくなれば、税収も減り、年金積立金も早く枯渇することになることは明らかです。

そろそろ、「年金詐欺」とも言える詭弁はやめて頂きたいものです。

◆守られるべき国民の財産権

政治は、国民の最大幸福のために、国民の生命・安全・財産を守るのです。

日本国憲法29条1項に「財産権は、これを侵してはならない」と記されています。年金詐欺は「国民の財産権」の侵害です。

安倍首相は、麻生副総理の増税容認論に負けずに、国民の財産を守るためにも、消費増税の中止を決断するべきです!

(HS政経塾部長 兼 政務本部部長 幸福実現党東京都第9選挙区支部長 吉井としみつ)

吉井 利光

執筆者:吉井 利光

HS政経塾部長(兼)党事務局部長

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