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大胆な改革で、農業をより魅力ある産業に!

◆「攻めの農林水産業」とは?

アベノミクス「第3の矢」である成長戦略第2弾の中心に「攻めの農林水産業」があります。

「攻めの農林水産業」とは、TPPを好機ととらえ、長年、日本経済の弱点とされてきた第一次産業を「競争力のある産業」へと転換していく戦略です。

戦略の主な柱は、一つ目が「輸出の拡大戦略」、二つ目が「第六次産業化」、三つ目が「農地集積」です。

◆「攻めの農林水産業」は「攻め」ているか?

さて、「攻めの農林水産業」の主な戦略である3つの柱は本当に「攻め」ているのでしょうか?

(1)の「輸出の拡大」については、「攻め」ていこうとしていることは確かですが、輸出を拡大するためには、そもそも国内の農林水産業が輸出に耐えられるような産業にならなければ、いくら戦略を立てても「机上の空論」に終わります。

TPPの交渉参加が決定した今、国内の農林水産業の大胆な改革なくして、「攻める」どころか、逆に、輸入農作物に「攻められる」可能性も十分にあり得えます。

政府・自民党は「第六次産業化」と「農地の集積」を農業改革の柱にしていますが、従来の発想を超えるものではありません。

◆必要なところにメスを入れない農政

現在の農政の最大の課題は、日本の総農家の約65%を占める約140万戸のコメ農家の未来をどうするのかということです。

「攻めの農林水産業」では、2020年までに農業輸出額を現在の4497億円(平成24年)から、1兆円に拡大させる方針ですが、その内、コメの輸出は約30億円しかありません。

「コメ」については全く「攻める」気がない、改革する気がないことが分かります。

そもそも、TPPにおける日本の「聖域」5品目中、自民党が最も守ろうとしているのがコメです。

実際、コメ農家を見ると、約8割が兼業農家であり、その内、約8割が農業収入年間100万円以下の小規模農家となっています。つまり、農業で生計を立てていないということです

◆コメの競争力をいかに高めるか?

日本の総農家の約65%を占めるコメの農業総産出額は22.5%であり、総販売農家の11%でしかない野菜生産が全農業生産の24.9%に上ることを考えれば、コメの生産性が十分でないことは明らかです。

このような状況の中、コメは778%という高関税で保護されています。これまでコメ農家は、高関税以外にも生産調整(減反政策)や戸別所得補償制度による補助など多額の補助金によって保護されて来ました。

また、生産調整でコメの価格を維持しながら、戸別に所得を補償するという二重の補償を行って来ました。

欧米では価格は市場に任せて安くし、農家に競争力をつけさせ、足りない分を政府が保証するという「直接支払い制度」が基本となっています。

しかし、今回の自民党案には「日本型直接支払い制度」を検討することが盛り込まれていますが、林農林水産大臣や自民党からは「減反」の見直しに対しては否定的な言葉しか聞かれないのが現状です。

このような中途半端な政策では、コメ農家の競争力強化は期待できないと考えます。

◆農業を魅力のある産業に!

今、必要なことは農業をしっかりと自立した魅力ある「産業」にすることです。

そのためには、「農業で生計を立てていきたい」と考えているチャレンジ精神を持った方々には、農業の貴重な資源を使ってもらわなくてはなりません。農業を保護するにしても、そのような方々をしっかり支援すべきです。

今、必要なことは、喜んで離農する兼業農家を増やすと共に、「農業のプロ」をしっかりと育て、そうした農家をサポートするような農政に転換していくことです。

そして、減反政策の悪影響によって、ここ何十年も生産性が上がってこなかったコメの生産性を高め、集約性を高め、コメを「産業」として確立させるべきです。

また、集約的に使えないような山間部の農村では、野菜やキノコ、果物、植物工場といった競争力の高い産物を中心とした土地利用、その土地にあった高付加価値農産物生産への転換も必要です。

現在の改革案の農地集積の方法では、あくまでも土地は現在の農家が所有し、リースによる規制緩和が進められています。

株式会社による参入障壁が下がるという点では評価できますが、リース方式では、これから先も兼業農家や零細農家が農家として残り続け、それが農政改革の遅れや、阻害要因になり、補助金の垂れ流しになるという弊害は残り続けます。

◆「票田のための農業」ではなく、真の「攻めの農業」を!

既存の政治家は、零細な農家を「票田」として残し、これからも選挙の当選のために「補助金」という税金を無駄にし続けるように見えます。

自民党の政策の根本に、農家の大部分を占めている「兼業農家」の維持と安定が置かれている限り、農政問題を根本から解決することは難しいのが現状です。

現在の農政そのものが、大規模農家や意欲ある農家の参入を阻害し、農業を産業化を阻んでいるのです。

今、本当に必要なのは、TPP参加や農業の将来を見据えた「本物の改革」「聖域なき改革」であり、それをリードする「大胆な農業の改革ビジョン」です。

TPPに向けて、農業を魅力ある産業へと大転換させるべく、幸福実現党による真の「攻めの農業」を実現すべきです。(HS政経塾3期生 和田みな)

和田みな

執筆者:和田みな

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