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経済成長戦略の「画龍点睛」を欠くな!―今、必要な消費税増税の中止

アベノミクス「3本目の矢」は的に当たるのか?

5月29日、産業競争力会議において、6月に取りまとめる「成長戦略」の骨子が提示されました。

「産業再興」「戦略市場創造」「国際展開」の3本柱からなっており、今後3年間で国内投資を加速させる「集中投資促進期間」の設定や、企業の地域投資を促す「国家戦略特区(仮称)」の設置などが盛り込まれています(5/29 読売夕刊)。

期待感もある一方、設備投資や産業の再編などを促す税制改革(法人税の減税など)、解雇ルールなどの雇用制度の見直し、農業への企業参入の規制緩和といった制度面の見直しへの抜本的な改革には踏み込めておらず、成長戦略の実効性への課題も指摘されています(5/30 朝日朝刊)。

行き過ぎた財政健全化への警戒

産業競争力会議で、日本の財政健全化を求める民間議員の声も紹介されていますが、行き過ぎた財政健全化への傾倒は経済を減速しかねません。

そもそも、日本が財政破綻に陥ることはありえません。 先日、財務省でも発表されたように、日本の対外純資産は、前年末比11.6%増で296兆円となりました(5/28日経夕刊)。

これは22年連続世界一です。 「対外純資産」とは、海外に保有する債権から、海外に対する債務を差し引いたもので、大きいほど、海外から入ってくる資金が大きいことを意味します。

長期金利が上がっていますが、まだまだ日本は世界最低の金利水準であり、対外純資産という裏づけもあるため、日本の財政が破綻することはありえません。

金利が上がると、国債の利払い費を問題にする向きもありますが、政府債務は国の経済成長率との兼ね合いで考えるべきものです。

国の経済成長率が金利の上昇率よりも大きければ、結局、負債は減っていくのです。単純に金額の大小だけで、財政の不安を煽る報道には注意が必要だといえます。

EUも緊縮増税政策を転換している

EUでは、フランスやスペインなどに対して、財政再建の達成期限の延長を認め、この期間に労働市場などの構造改革を通じた競争力の強化するように促しています(5/31 日経朝刊)。

例えば、フランスでは、財政赤字を国内GDP比3%以内に削減期限を2015年に延長し、追加の歳出削減策や増税案を求めないこととなりました。

財政再建を求めるあまり、増税をしたことによって、景気が減速し、経済のパイが小さくなった結果、税収が減ってしまいました。 「成長」というキーワードなくして、財政再建もなしえないのです。

骨太方針に「消費税増税の中止」を明記するべき

5月28日から、経済財政諮問会議において、経済財政運営の指針として「骨太方針」の取りまとめ議論がはじまっています。

骨太方針の骨子案は、次のようになっています(経済財政諮問会議:「骨太方針」)

第1章「デフレ脱却と日本経済再生」

第2章「強い日本、強い経済、豊かな生活の実現」

第3章「経済再生と財政健全化の両立」

第4章「平成26年度予算編成に向けて」

 

ここで一つ提案があります。

景気を腰折れさせずに、景気と財政を回復させるために、新たに「第5章」を追加して、消費税の増税中止を掲げるのです。

消費税の増税には、まだ回避の余地があります。

税制抜本改革法の第18条の景気条項では、次のように定められています。

 

「平成23年度から平成32年度までの平均において名目の経済成長率で3パーセント程度かつ実質の経済成長率で2パーセント程度を目指した望ましい経済成長の在り方に早期に近づけるための総合的な施策の実施その他の必要な措置を講ずる」

 

1997年に消費税の増税を行う前年の1996年の実質GDP成長率が2.6%でしたが、増税後に景気が停滞し、金融危機を引き起こし、長期不況が続きました。

現在、景気が上向いているとはいえ、2013年の経済協力開発機構(OECD)が発表した日本の実質成長率は1.6%であり、景気条項の定めた水準に達していません。 増税による不況と財政悪化という、同じ過ちを繰り返すべきではありません。

日本を豊かにする確固たる「国家観」

なぜ、消費税増税を中止すべきなのか?

なぜ、幸福実現党は立党以来、ブレずに主張し続けられるのか?

それは、日本人の幸福を増進するための確固たる「国家観」があるからです。

2009年6月15日から憲法試案として示しており、税金については次のように考えています。

 

「国家は常に、小さな政府、安い税金を目指し、国民の政治参加の自由を保障しなくてはならない。」(大川隆法「新・日本国憲法試案」第11条)

 

安倍首相は、憲法改正の発議要件を緩和する96条改正について、TBSのインタビューで「論点が十分に国民に浸透していない。

何が何でも突破ということではなく、国民とともに進みたい」と述べており、慎重に判断する意向を示しています(5/30 産経)。

しかし、96条改正をした後に、日本をどのような国にしていきたいのかを、もう一段踏み込んで首相の考えを表明していないところに、説得力不足と受け止められてしまう面があります。

幸福実現党は、日本人の幸福を増進する明確な国家ビジョンの下、とことん日本を豊かにします。

「消費税増税の中止」の決断は、今、日本に必要な経済成長戦略の「画龍点睛」なのです。

(HS政経塾部長 兼 政務本部部長 幸福実現党東京都第9選挙区支部長 吉井としみつ)

吉井 利光

執筆者:吉井 利光

HS政経塾部長(兼)党事務局部長

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