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わが国の生き筋 ~TPP参加と減反廃止~ 

◆「減反廃止」という誤報?が紙面を飾る

今秋、新聞主要紙が50年近く続けられてきた「減反廃止」、コメ政策の大転換と相次いで報道しました。生産調整(減反)は5年後の平成30年度(2018)をめどに廃止すると驚くべき内容でした。

しかし詳細に検証しますと「減反廃止」報道は間違いであり、「減反維持」が実情と思われます。

政府は11/26、農林水産業・地域の活力創造本部会合を開き、コメ政策見直しの全体像を決めました。

主なものとして、

(1)平成29年度までは、現行通り国が生産数量目標を配分する(生産調整=減反)。

平成30年度をめどに、行政による生産数量目標に頼らなくても、国の需給見通しなどを踏まえ、生産者や集荷業者・団体中心に需要に応じて生産する体制に移行する。

(2)現在10アールあたり1万5千円というコメ農家に対する戸別所得補償を5年後に廃止する。

(3)飼料用米への助成で補助金を拡充する。水田での主食用米以外の生産を誘導する。

これに対する補助金を、現行10アール一律8万円を収穫により変動させ最大10万5千円とする。

このように政府が生産目標数量の配分を行わないことと戸別所得補償を5年後に廃止することに目がいき、主要紙は減反廃止と報じたと思われます。

しかし、実際には減反面積への減反補助金は依然として交付され、これは維持であって減反廃止ではありません。

当会合を受けて翌日(11/27)の産経新聞は「減反廃止を政府決定~コメ政策、大転換」と一面で「減反廃止」と報道していますが、日本農業新聞は「米政策見直し~主食用以外に誘導」と減反廃止という表現は見られません。

◆実態は、民主党の減反政策から自民党の減反政策への転換

実情は、民主党の減反政策を廃止し、自民党の減反政策を実行するということであります。

キャノングローバル戦略研究所の山下一仁氏は、Webronza11/4,11/5の中で、次のように指摘しています。

「自民党は、主食用のコメの作付けが増えないようにするために、非主食用の作付けを増やす補助金を増額し、「水田フル活用政策※」をさらに拡充しようとしていることに他ならない、減反廃止どころか強化ではないか」

農水省は非主食用(飼料用)に450万トンの需要が見込めるとしています。

現在、米価の維持のための減反政策に投入している税金は5000億円を超えると言われていますが、飼料用450万トンを生産するために補助金が7000億円に増えるという試算もあります。

同時に高い米を買っていることで消費者が負担している金額も5000億円と言われています。

本来、減反廃止の効能とは、米価が下がるということにあるはずです。非主食用への「転作」により主食用コメの生産はさらに減少するかもしれません。

事実上の減反強化で、米価は下がらないことになります。コメ政策の見直しにより、さらに財政負担と消費者負担が増えるのです。

◆TPP交渉で守るべき聖域とは、衰退の一途をたどるコメ市場?

農業従業者はピーク時の1/6に減少しました。( 昭和35年、1340万人の従事者が平成24年、240万人)しかも平均年齢は66歳です。50歳以下の従業者は一割未満です。

米の生産量もピーク時1500万トンから1994年1200万トン、現在800万トンに減少。

農地の面積は、1960年代初頭714万ヘクタール、現在459万ヘクタールまで減少。250万ヘクタール減少しました。半分が転用、半分が耕作放棄となっています。

多額の税金を投入して一番保護してきたコメ市場が、一番衰退しているのです。TPP交渉で聖域を守れという聖域とは、衰退の一途をたどる国内市場に他なりません。安楽死を迎えさせてくれということなのでしょうか。

◆日本のコメの品質は世界最高峰

しかし、日本のコメの品質、味は世界最高峰です。世界の食市場は、平成21年340兆円から平成32年には680兆円まで拡大すると予想されています。

中国では、富裕層になればなるほどインディカ米からジャポニカ米に嗜好が変わるといいます。

日本の米価はここ10年で3~4割安くなっています。中国米、カリフォルニア米等と3割程度まで価格差が縮小しています。

日本のコメを世界に輸出することこそ、生き筋であります。米価を下げることは、内外価格差を解消し、国際競争力を増すことに他なりません。

TPP参加、減反政策の廃止等、規制撤廃こそ日本の農業が強くなる生き筋であると考えます。
(文責:幸福実現党岐阜県本部政調会長 加納有輝彦)

加納 有輝彦

執筆者:加納 有輝彦

岐阜県本部政調会長

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