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過去の増税と今回の増税の違い

与党の民主党と野党の自民党・公明党の3党の幹事長が会談し、第三次補正予算に関連する復興債の償還期限を10年から25年に延長したことを正式合意しました。

これにあわせて、たばこ税導入を見送る案も出ていますが、財源確保法案の早期成立に向けた動きが加速することは間違いありません。

補正予算に絡めた増税法案である以上、国民の声が届かず、このままいけば、今月中には復興増税が正式に決定してしまいます。

さて、今回の増税と過去20年間に実施された増税と比較検討してみたいと思います。例として、1989年の消費税導入と97年の消費税増税を取り上げます。

まずは、竹下登内閣時の1989年の消費税導入は難航を極め、ようやく誕生しました。

そして、翌年の1990年には、日銀による金融引き締めや大蔵省(現財務省)による不動産などの総量規制を設けて、いわゆる「バブルつぶし」が行われました。

当時は、東京23区の不動産価格でアメリカ全土が購入できるとも言われ、株式市場では、1989年12月29日に最高値の38,915円を記録したほどです。

ただ、「バブルつぶし」によって、わずか9カ月後には2万円割れとなるまで経済は落ち込み、税収も1990年の60兆円をピークに下がり続けました。

急激な経済の引き締めが行われたことで、以後は日本経済が回復の足並みは遅く、「失われた20年」という低空飛行が続くことになります。

アメリカのFRBのバーナンキ議長や中国人民銀行は日本の「バブルつぶし」から「加熱した経済を急激に引き締めてはならない」という教訓を得たとも言われています。

次は1997年のケースです。当時は、1995年の阪神・淡路大震災から日本経済は復興をなし、名目経済成長率は2%台まで回復していた時期です。

橋本龍太郎首相(当時)は、六大改革(「行政改革」「財政構造改革」「経済構造改革」「金融システム改革」「社会保障構造改革」「教育改革」を指す)という壮大なプランを掲げ、97年には財政再建の一環として財政構造改革法を成立させました。

具体的には、消費税の増税と特別減税の廃止、医療費の値上げなどです。その結果、国民負担は9兆円にのぼりました。

しかしながら、政策当局の予想に反して、アジア通貨危機や山一証券などの金融危機なども加わり、翌98年には日本経済はマイナス1.9%へ転落。失業率も高くなり、自殺者は同年から3万人台に突入したことは周知の事実です。

上記2つの増税は、経済がまだまだ上向きの時に実施されています。

2つとも不況を招いたという点では同罪ですが、デフレ不況時に実施しようとする今回の復興増税と消費税増税とは意味合いが大きく異なるという点は見逃すことはできません。

現在の日本経済は、デフレと円高、震災被害の深刻化、原発事故による放射能汚染問題や電力不足問題と、経済にマイナス要素がいくつもあります。すでに、内閣府をはじめ、IMFなどの国際機関も日本のマイナス成長を予測しています。

明らかに経済が落ち込んでいる時に、増税を強行することは自殺行為です。もし、復興増税と消費税の増税がダブルパンチで実施されたならば、日本経済は97年以上の被害が出ることは必至です。

私が懸念するのは、増税によってさらなる景気の悪化を招き、失業や倒産が増加するだけではなく、自殺者も増える可能性すらあることです。これは決して大げさでもなく、実際に97年以降に起きていることなのです。

過去20年間の歴史を見ると、わが国は人為的に不況を作り出したことが明らかです。

そして、今回が三回目となるかどうかの瀬戸際です。過去二回と異なって、デフレ不況+震災被害+原発事故+行き過ぎた円高が加わっています。普通の神経の持ち主ならば、増税を行うことはあり得ません。

「痛みを分かち合う」という美しい言葉で国民を欺き、日本財政の真実を伝えようとしないマスコミにも大きな罪があります。

増税が税収増ではないことは明らかなのですから、いい加減に増税礼賛一本の論調は慎むべきでしょう。

政府は、財源確保法案の成立を急ぐ必要性はありません。政府保有株の売却や国債整理基金の定率繰り入れから12兆円など、11.2兆円規模の財源はすぐにでも用意できます。また、復興債の日銀直接引受という手段も残されています。

増税によらない震災復興は可能なのです。
(文責・中野雄太)

中野 雄太

執筆者:中野 雄太

幸福実現党 静岡県本部幹事長

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