北朝鮮ミサイル発射を助ける中露。次に来る核の脅威と日本の打つべき手とは。【後編】
https://youtu.be/hJVj6B-UXAI
(9月7日収録)
幸福実現党党首 釈量子
◆北朝鮮ミサイル発射のロシアの利点
ロシアは9月30日、ウクライナ東・南部の4州の併合を宣言し、これに対してアメリカのバイデン政権は、ロシアへの経済制裁を拡大したところです。
この時期に、北朝鮮がアメリカへの強い牽制を含んだミサイル発射を繰り返したことについて、アメリカのシンクタンク、CSIS(戦略国際問題研究所)は、次のように指摘しています。
「ロシアのプーチン、中国の習近平の問題で手いっぱいのバイデン政権にさらなる負荷をかけることに利点を見出している」
実際、ロシアにとって北朝鮮のミサイル発射は、アメリカの関心を北朝鮮に向けさせるメリットがあるわけです。
アメリカは、韓国の装備品を買い上げて、ウクライナに送る計画を進めています。北朝鮮にミサイルを発射してもらうことで、ロシアは、この動きを封じようとしているのかもしれません。
特に北朝鮮ミサイルが急速に技術を向上させている背景にロシアの力があるとされます。
9月25日に発射されたミサイルは、「北朝鮮版イスカンデル」と呼ばれ、尾翼を動かして上下に軌道を変化させられるロシアのミサイル「イスカンデル」を改良したと指摘されています。
変則軌道は迎撃が難しいわけです。
◆北朝鮮の核実験の兆候
今後、さらに懸念されるのは7度目となる核実験です。
今年の3月ごろから、衛星画像による分析などで、北朝鮮が「18年に完全に廃棄した」としていた豊渓里(プンゲリ)の核実験場で、坑道を掘削するなど、核実験再開の準備がなされ、指導者の決断があればいつでもできる状態だとされてきました。
既に北朝鮮は今までの核実験で、大きなロケットに核弾頭を積める程度に小型化することに成功しています。
もう一段の小型化を目指し、核ミサイルの精度を高めるために7回目の核実験を行うことは十分に考えられます。
CSISは、実験が行われるタイミングとして、10月16日に開幕する中国の共産党大会から、アメリカの中間選挙が行われる11月8日の間だろうと予想していますが、中国やアメリカが国内問題で手いっぱいのタイミングで行うかもしれません。
◆日本としてどんな手を打つか
度重なるミサイル発射について、日本政府は「北朝鮮に抗議し、最も強い言葉で非難した」とお決まりのセリフを繰り返すばかりです。
ミサイル発射が繰り返されているのは、中国、ロシアとの連携があってのことであり、西側諸国がロシアを追い込み続けた場合、3つの核保有国が今後、想定外の事態を起こしかねず、もはや一刻の猶予も残されていません。
具体的な施策としては、核装備への着手です。
中露北の3つの核保有国に対峙するには、日本も「いざとなったら核を使える」という状況をつくらなくては、核の使用を思いとどまらせることはできないのです。
同盟国であるアメリカも北朝鮮のみならず中国やロシアから報復を受けるリスクを負いながら日本に核の傘を提供してくれる保障はありません。
もう一つは、外交の鉄則である「敵を減らす外交」を展開すること。具体的には中国や北朝鮮の背後に位置するロシアとの友好の道を残しておくことです。
日本はアメリカに追随してロシアを非難し、ロシアを中国側に追い込んでいます。
しかし、アメリカは中国とロシアを同時に敵に回す余裕などありません。中国、ロシア、北朝鮮を同時に敵に回してしまう恐ろしさに気付くべきです。
トランプ政権時代のアメリカは北朝鮮と直接交渉し、中国と北朝鮮の関係を引き離すと共に、ロシアのプーチン大統領と友好関係を結び、中国を孤立させようとしました。
バイデン政権はこの真逆の政策を取り、北朝鮮との交渉を断ち、ロシアを挑発して西側と対立させ、中国、ロシア、北朝鮮を結び付けることになりました。
こうして、世界大戦の構図ができてしまい、最悪のシナリオで進んでいます。
アメリカは今後も、ロシア制裁をさらに強めていくでしょうが、日本は大局的視点に立ち、最大の脅威である唯物論国家の中国を包囲しつつ、中国、ロシア、北朝鮮の仲を分断する外交を展開していかないといけないはずです。
繰り返しますが、日本を守るため、もはや猶予はあまり残されていません。生き延びようとする意欲のない国は、滅びていきます。
政府は、言葉による非難だけではなく、現状の危機を正しく認識し、国民を守るための具体的な一手を打つべきだと思います。