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北朝鮮ミサイル発射を助ける中露。次に来る核の脅威と日本の打つべき手とは。【前編】

https://youtu.be/hJVj6B-UXAI

(9月7日収録)

幸福実現党党首 釈量子

◆北朝鮮のミサイル発射

9月下旬から10月上旬にかけて北朝鮮が次々にミサイルを発射しています。

特に10月4日に発射された弾道ミサイルは、青森県の上空を飛び超えて太平洋に落下しました。

日本の上空を通過したのは2017年9月以来、5年ぶりで、飛行距離は4600キロに達し、過去最長です。

これは北鮮から約3400キロの距離にあるグアムが射程圏内に入ったということであり、「いつでもグアムに撃てる」というアメリカに対する強烈なメッセージと言えます。

さらに、この2日後の10月6日にも、午前6時過ぎに弾道ミサイル2発が発射され、北朝鮮東岸付近と日本海に落下しました。(その後、北朝鮮は、9日未明に2発、14日未明に1発のミサイルを発射)

いずれも日本のEEZ(排他的経済水域)の外側に落下したとのことですが、日本にとって脅威が高まっていることは間違いありません。

◆北朝鮮ミサイル発射の背景

ここで強調しておきたいのは、日本の安全保障にとっての脅威は、北朝鮮のミサイル発射という単体の問題だけではないということです。

もはや北朝鮮のミサイルに対する対処だけを考えているのでは、問題の本質は見えません。

つまり、繰り返しミサイルを発射する北朝鮮の背後に、中国とロシアがいて、3つの核保有国が連携するかのような動きを取っています。

これにより、日本は中露北の、
」@―えいわゆる「三正面」を強いられる形になりつつあります。

日本は、台湾・沖縄の危機が目前だということで、中国の脅威には備えようとしてきました。

しかし、今年2月にウクライナで戦争がはじまり、日本はロシアと北朝鮮も同時に相手にしなければならなくなりました。

ところが、日本の政府もマスコミも「見たくない現実」をみない雰囲気になっています。

9月26日~30日まで、アメリカの原子力空母「ロナルド・レーガン」が参加する米韓合同軍事演習が行われ、30日には日本も加わりました。

これは北朝鮮の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の対応などを想定した演習で、アメリカの空母が参加する演習は2017年以来、5年ぶりでした。

そして北朝鮮は、この軍事演習のタイミングに合わせて、25日、28日、29日にミサイルを発射しました。

◆北朝鮮が強気になれる理由

これまでも軍事演習に対するけん制とみられるミサイル発射はありましたが、演習の前後に少し日にちを外して行われてきました。

ところが今回、米韓軍事演習の真っただ中の29日、アメリカのハリス副大統領が韓国を訪れ、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領との会談で北朝鮮を非難し、さらに南北の軍事境界線を挟む非武装地帯も視察もするタイミングにぶつけてミサイルを発射しました。

以前には考えられないことで、アメリカがどれほど舐められているかが分かります。

そして、10月4日はグアムを射程圏内に入れていることをアピールするかのように、弾道ミサイルを通常軌道で発射しています。

北朝鮮がアメリカに対して、かつてないほど挑発的な態度に出ています。これは中国とロシアと示し合わせて行っている恐れがあります。

象徴的だったのは、5日の日本上空を飛び越えた中距離弾の発射に対して、国連安全保障理事会(15カ国)が緊急会合を開き、北朝鮮に対する「報道声明」を出そうとした動きに対して、中国とロシアが強く反対しています。

ちなみに、中国の外務省は北朝鮮のミサイルについて、米韓合同軍事演習などを行ったアメリカを非難するコメントを出しています。

(後編につづく)

釈 量子

執筆者:釈 量子

幸福実現党党首

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