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台湾海峡で米中もし戦わば。米軍勝利も、米空母2隻撃沈・戦闘機900機以上が撃墜【後編】

https://youtu.be/4XwWly_E9Jk

幸福実現党党首 釈量子

◆台湾を巡る米中戦争のシミュレーション

前編で紹介した「台湾を巡る米中戦争のシミュレーション」は、米軍の元大将や防衛専門家が、米国と中国を示す青と赤の2つのチームに分かれ、9月までに22回のシミュレーションを行うそうです。

両陣営とも戦略を練りながら、空母や戦闘機、潜水艦などの軍事上の配置を示すピースを、チェスの盤面ように、テーブル上に広げられた太平洋の台湾周辺の地図に、交代で打ちます。

実際、台湾の陸上戦を想定し、陸上地図の上で、18回までこのウォーゲームをやってどうなったかが報道されています。

まず中国は、台湾侵攻の際に、先制攻撃を仕掛けます。

それによって、米軍は数十億ドルの空母2隻を沈められます。日本とグアムにある米軍基地も攻撃され、数百機の最先端戦闘機が破壊されるだろうとしています。

次に、人民解放軍は22,000人の兵士を台湾に上陸させ、台湾南部を制圧します。そして解放軍はゆっくりと北進し、滑走路や港湾の確保を目指します。

しかし、中国は徐々に勢いを失っていきます。

米軍と日本の自衛隊によるミサイル攻撃や、潜水艦の攻撃が、台湾攻撃の根元を断つかのように、中国本土の港湾を破壊して、中国の哨戒線(警戒ライン)を突破してくるからです。

人民解放軍の揚陸艦も破壊され、中国は台湾に軍隊を送ることができなくなりました。

米軍の強力な空軍力や海軍力に対抗するには、中国の長距離弾道ミサイルが、決定的に不足していました。

こうしたシミュレーションが繰り返され、9月まで続けて12月に発表することになっています。

今の段階ではほとんどのケースで、米国と台湾は最終的には勝利を収めています。

しかし莫大なコストが発生することがわかり、損失の規模として、米国は900機以上の戦闘機を失い、これはアメリカの海軍と空軍が保有する戦闘機の半分に相当します。

8月4日に中国が軍事演習でミサイルを撃ちましたが、シミュレーションで想定された中国の能力を裏付けるものだったようで、いよいよ現実味を帯びてきているわけです。

日本人が「台湾有事は日本有事である」という現実を受け止め、日本の外交や国防のあり方を考えるための参考になると思います。

◆米国議会の台湾防衛への決意

米国議会は超党派で台湾防衛を強化するために、従来の「台湾関係法」に基づく台湾政策を見直すために、新たに「台湾政策法2022:Taiwan Policy Act of 2022」の制定に向けて取り組んでいます。

狙いは、米台関係を一層強化し、台湾防衛の意思を明確に示すことにあります。

この法案の最も注目すべきポイントは、台湾を「主要な非NATO同盟国」と認め、日本と同じように、同盟国として扱おうとしていることです。

実質上、日米同盟と同じような米台同盟を目指したものです。

この法案が成立すれば、現行の「台湾関係法」では表立って行うことができない、米台共同軍事演習に道を拓くことができます。

他にも、この法案には、今後4年間に渡って台湾へ45億ドルの軍事支援を行うことや、台湾が国際機関に加盟できるよう推進すること、中国が台湾に制裁した場合に米国が代わりに中国に金融制裁を行使すること、などが含まれています。

中国の反発は必至だと思いますが、米国議会の台湾防衛への決意のほどがうかがえます。

◆日本は台湾有事への備えを急ぐべき

では日本はどうするか。日本も、日台関係強化のために出来ることがもっとあります。

例えば、台湾と中国が昨年秋に表明を行ったTPP加盟について、日本は自由貿易を守る立場から、台湾のTPP加盟支持を表明してはどうでしょうか。

また、日本と台湾の間には正式な国交がありませんので、「日本版台湾関係法」制定に向けて着手すべきだと考えます。

蔡英文総統は、日本に「日台の安全保障対話」を望んでいます。安全保障分野の交流を今こそ実現すべきです。

台湾に近い南西諸島のミサイル配備増強も必要です。他にも、台湾の邦人救出や、中国本土に出ている企業を日本に帰すことなども、同時に必要になってくると思います。

課題は山積ですが、台湾は「自由・民主・信仰」の価値観を共有する日本の運命共同体です。

日本は「自分の国は自分で守る」体制を構築すると同時に、台湾有事への備えを急いで、日本を守らなくてはなりません。

釈 量子

執筆者:釈 量子

幸福実現党党首

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