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大インフレか大恐慌か。究極の2択になる前に、減量を。

http://hrp-newsfile.jp/2022/4323/

HS政経塾スタッフ 赤塚一範

◆日本もいつかは利上げを迫られる

アメリカ合衆国の中央銀行である、FRB、連邦準備制度理事会は、高いインフレ(5月前年比8.6%)に対処するため、利上げを強行しています。

FRBは、今年3月に0.25%、5月に0.5%、6月に0.75%の金利を引き上げ、今後も更なる利上げを予定しています。他方で、利上げは、景気に悪影響を与えます。

FRBのパウエル議長も、6月22日に上院銀行委員会の公聴会で、景気後退の可能性に言及しており、実際、アメリカでは、株価や仮想通貨の下落、住宅販売の低迷等々、その影響が表れています。

つまり、FRBは、不況になってでもインフレと戦うことを決意したのです。

日本でも、5月の消費者物価指数が2.1%とデフレからインフレに向かいつつあり、インフレが今以上に深刻化してきた場合、日銀は金利を引き上げざるを得ない時期が来るでしょう。

◆利子操作の反動

本来、利子とは市場で決定されるものであり、政府や中央銀行が操作できるものではありません。

これは、自然利子とか中立利子と呼ばれるもので、貯蓄と投資が一致するように市場で決定されます。

他方で、20世紀の大経済学者ケインズは、貨幣量を増加させることで、短期的に政府や中央銀行は、貨幣利子率を操作できるという理論がつくりあげました。これが「流動性選好論」です。

ケインズの理論とは、本来、市場で決まるはずの利子率なのに、多量に貨幣を供給することで、無理やり低利子にし、企業や個人がお金を借りやすくすることで、経済を良くするという理論なのです。

市場で決まる利子率よりも、無理やり低くするのが低金利政策ですから、長く続ければ、当然その反動がやってきます。その反動が、バブル景気と、その後のインフレや不況なのです。

これは、酒飲みに例えられます。酒を飲めば、気持ちが良くなりますが、翌日二日酔いで頭痛になります。酒が貨幣であり、酔いがバブル景気です。そして、二日酔いの頭痛がインフレや不況なのです。

◆バラマキがバブルを生み出した

2020年初頭から世界でコロナが流行、経済に混乱が生じ、世界各国の政府と中央銀行は、政府支出を増やし、それを支えるために貨幣の量も増やしました。その結果、バブルが生じました。

たとえば、2020年、日本では、国民一人当たり10万円が配られ、要件を満たせば、中小企業には最大200万円、個人事業主には最大100万円の持続化給付金が配られました。

また、コロナで苦しむ企業に対しコロナ融資(いわゆる無担保・無利子で貸し出すゼロゼロ融資)がなされ、その実行額は40兆円を超えると言われています。

このバラマキの結果が、日本ではコロナ禍にもかかわらず、一時、日経平均株価が3万円を超え、ビットコインは700万円を超えるという現象なのです。

貨幣量を増やしばら撒いた結果、その貨幣が、株やビットコインに流れて、バブルを生み出したのです。

◆バブルはバラマキ続けないと維持できない

このような、バラマキの問題点は、バラマキがなければ成り立たないような経済構造を生み出してしまい、それが更なるバラマキを生み出すということです。

例えば、バラマキによって上昇した、株価やビットコインの価格は金融緩和をやり続けなければ維持できません。

実際、アメリカの株価やビットコインは、FRBが金融緩和を止めた途端、値段が下がっています。

日本株も、何とか株価を維持していますが、それはまだ日銀が金融緩和を継続しているからで、緩和は永遠に続くものではありません。

岸田首相も国民に「貯蓄から投資」と盛んに言っておりますが、これは株価を維持したいからでしょう。

また、最近問題となっているのが2022年夏ごろから徐々に本格化するコロナ融資の返済です。

これによって多くの企業が倒産の危機に瀕しておりますが、今後、場合によっては返済の猶予、減免措置等も検討されるかもしれません。

これはさらなるバラマキであり、結局のところ、バラマキによって生み出された仕事は、バラマキがなければ維持できないのです。

◆最後は、ハイパーインフレか大恐慌かの2択となる

インフレにバラマキで対処するというのは、二日酔いに対して、更に酒を飲むことで対処するようなものなのです。

バラマキは、一部でバブルを生み出し、別の場所ではそれがなければ維持できない雇用を生み出します。

当然、バラマキを止めれば、この問題は解消しますが、それには一時的な不況や失業が生じてしまうため、政治家はさらなるバラマキで対処しようとするのです。

この結果がインフレーションです。

つまり、インフレーションとは、「経済が病気である。これ以上バラマキはいけない」というシグナルであり、不況とは、「歪んだ経済構造が元に戻る市場の自浄作用」なのです。

政府はバラマキ続けることで、不況という自浄作用を阻止しようとしますが、それはインフレの加速を招きます。

政府は、インフレにバラマキで対応しますが、経済構造はさらに歪み、インフレはもっと加速します。

結局のところ行き着く先はハイパーインフレです。インフレが加速してから、バラマキを止めたなら、歪みに歪んだ経済構造はそれに耐えきれず倒壊してしまうでしょう。

これが、大恐慌です。インフレが加速してから止めたのでは遅いのです。

◆日本は今すぐ減量を

現在の日本のインフレ率は、まだ致命的ではないので、現時点で止めなければなりません。

その為には、現在のインフレにバラマキ(歳出カットのない消費減税、給付金、補助金)で対応するのではなく、政府支出の減量で臨むしかないのです。もちろん、減量には痛みが伴います。

従って、急激な減量ではなく、まずは増量を止めるところから始めるべきでしょう。

また、原発の再稼働により電力価格を抑えたり、脱炭素規制を撤廃したり等、企業負担を軽くする必要もあるでしょう。

しかし、繰り返しになりますが、現在のインフレに、バラマキで対応してはいけません。それは、ハイパーインフレか、大恐慌かの究極の2択へと進む、地獄への道なのです。

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執筆者:webstaff

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