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ウクライナ国境にロシア軍大集結――ロシアからみたウクライナ問題の真相【後編】

https://youtu.be/PFybL3xRFnk

幸福実現党外務局長 及川幸久

◆ウクライナとアメリカの接近

前編では、ウクライナの複雑な背景を説明しました。

さらに複雑にしていることは、この地域で紛争が起きることを喜ぶ人たちがいることです。それはこの地域に武器を売っている人たちです。

アメリカがウクライナに「EU に入ったらアメリカが守ってあげます」と誘ったわけです。

ウクライナを誘っている側には、共和党の上院議員だった故ジョン・マケインやオバマ政権の時の副大統領ジョー・バイデンやその息子もいます。

こういう人たちがウクライナをEUやNATOの方に向け、この地域の紛争に対してアメリカの兵器を売ってきました。

プーチンにとっては、ロシアとウクライナの関係において、もしウクライナがNATOに入ってしまったら、アメリカ製のミサイルがウクライナの領土に配備されることを意味します。

モスクワのすぐ近くにアメリカのミサイルがずらずらと並ぶ。これはロシアから見たら最悪のシナリオです。だからプーチンにとっては、これがレッドラインなのです。

それを許してしまうようなロシアの大統領はロシアの大統領ではないということになります。だから今抵抗している。それでロシア軍をウクライナの国境近くに集結させている。これが今起きていることです。

さらにプーチンは、12月初めに最悪ウクライナがNATOに加盟しても、NATOがロシアの国境に軍を配備しないという法的保障を要求しました。

今の報道では、ほとんどがアメリカ側や西側の報道ばかりで、ロシアやプーチン側の報道は少ないのです。

ロシアは信用できないというのが国際世論ですが、日本もそうでしょう。プーチンは悪者でありプーチンは現代のヒトラーであるという国際世論がつくられています。

◆キューバ危機にも似たウクライナ危機

今起きていることと同じようなことがありました。それは1962年のキューバ危機です。

当時のソ連が秘密裏にキューバにソ連製の核ミサイルを配備しようとしていました。キューバは、アメリカのワシントンのすぐ近くです。そこに核ミサイルが配備されてしまったらアメリカにとっては大変なことになります。

ケネディはどうしたかというと、キューバ周辺を海上封鎖しアメリカの艦隊によってソ連製の核ミサイルがキューバに入ってくることを阻止しました。

この時、世界の緊張がピークになった時ですが、しかしケネディの判断は正しかったのです。

この時のケネディの立場と今のプーチンの立場は同じかもしれません。プーチンとしてはモスクワのすぐ手前にアメリカ製のミサイルが並ぶことを絶対に阻止しなければなりません。

今のアメリカは、前述のようにオバマ政権の時からプーチンを追い込んでいます。

2014年のウクライナ騒乱をきっかけに、プーチンがクリミアを奪ったことは国際法違反であると、当時のアメリカの大統領オバマは、ロシアに対して経済制裁を行いました。この経済制裁は今でも続いています。

そうなるとロシアは、完全に国際社会から孤立し中国やイスラム諸国や北朝鮮の国々と連携するしかなくなってきます。

それが世界大戦の危機です。ここはアメリカも日本も、もっと冷静に考えなければいけません。ロシアを追い込むことが本当にいいことなのかを。

オバマ政権に日本も要求されてロシアに対して経済制裁をしましたが、その結果せっかく安倍政権が進めていた日本とロシアの平和条約、そして北方領土返還交渉が全て止まってしまったわけです。

あらためて、日本はこの国際情勢から教訓を学び冷静に判断すべき時であると考えます。

及川幸久

執筆者:及川幸久

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