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過剰なコロナ対策は、自由を圧迫する「緊急事態」

http://hrp-newsfile.jp/2021/4075/

幸福実現党政務調査会長代理  小川佳世子

◆都市部に3度目の緊急事態宣言が発出

4月25日に、4都府県に3度目となる緊急事態宣言が発出されました。

これを受け、酒類を提供しない飲食店は時短営業を、酒類を出す飲食店には基本的に休業が要請されます。

さらに、一日の売上が億単位に上る百貨店にも雀の涙ほどの補償金で休業要請が出ました。百貨店は中小企業のことも考慮して、「休業自粛の対象にしないでほしい」と声を上げましたが、悲痛な声は行政には届きませんでした。

「休業要請などに協力して感染者が減れば、またお客が戻ってくる」と信じていた経営者たちも、度重なる宣言発出に、経済的にも精神的にも限界が来ています。

◆私権を制限することの抵抗感が薄れている

都府県によって事情は違いますが、東京都が緊急事態宣言の発出を要請した段階では、感染者数、重症者数共に、2回目の緊急事態宣言の際の3分の1以下です。

従来より感染力が強いとされる変異株が懸念されるとのことですが、国の基準に照らすと病床使用率は「ステージ3」に当たります。

「医療の提供に支障が生じている」ことが要件である、緊急事態宣言発出の基準に合致しないのではないかという指摘もされています。

そもそも、世界一の病床数を誇り、欧米諸国よりも人口当たり感染者数が少ない日本において、医療体制を整えるための対策を十分に行わず、国民の自由を奪う緊急事態宣言を何度も出すこと自体が問題だといえます。

さらに東京都の小池知事は、夜のネオンや街頭の消灯を要請し、「戦時中の灯火管制のようだ」とネット上で騒がれました。

他にも、大阪の吉村知事が「個人の自由を大きく制限するような法令が必要だ」と発言したり、秋田県の佐竹知事が、飲食店が早く閉まってしまうために、若者たちが路上で集まってお酒を飲む「路上飲み」について、「力ずくで排除するくらいやらないとダメ」と発言したりして物議をかもしています。

こうした発言に象徴されるのは、「コロナ対策という名目ならば、国民の自由を奪うことは許される」という発想です。政府や自治体のリーダーが、国民の自由を奪うことについて、抵抗感が薄くなっていること自体「緊急事態」と言えます。

◆緊急事態宣言で感染者が減る確たる証拠はあるのか

もちろん、緊急事態宣言によって一時的に自由を奪うことが、感染を抑制し、多くの人の命を救うことになるならばやむを得ない面もあるでしょう。

しかし、緊急事態宣言が感染抑止につながるという確たる根拠は示せていません。

例えば、昨年4月に出された1回目の緊急事態宣言について、政府の専門家会議は「感染の抑止に貢献したが、感染のピークは宣言前だった」と述べています。

つまり、緊急事態宣言が感染抑止に直結したとは言い切れないわけです。

しかも、飲食店や商業施設に対し、時短営業や休業を要請することが感染抑止につながるということも、科学的根拠が薄いと言えます。

東京都では、判明している感染経路としては「家庭内」が最も多く、続いて「職場内」介護施設などの「施設内」と続きます。

多くの「感染経路不明」には、マスクを外して食事をする飲食店や、多くの人が行きかう商業施設やイベント会場が含まれるのではないか、という仮説に基づいて、飲食店などを狙い撃ちしているにすぎません。

しかし、一人で静かに食事をすることで感染リスクが高まるとは思えませんし、感染抑止と夜8時以降の営業自粛との因果関係も明確とは言えません。

ワタミを経営する渡辺美樹氏は、日経新聞のインタビューに対し、アメリカ人から「なぜ日本は時短なんだ」と驚かれたというエピソードを語っています。アメリカは店内の人口密度が問題視され、時間帯は関係ないというのです。

実際、飲食店や商業施設は、顧客に安心して利用してもらうため、感染対策に投資してきました。席と席の間を開けたり、売り場を広くしたりして、密にならない工夫を重ねてきたのです。

一律の時短、休業要請は、こうした民間の努力と知恵を無にする行為といえます。

さらに、開いている飲食店が少ないと、限られた時間に人が殺到してしまいます。百貨店も休業前日の土曜日には、「閉店前に必要なものを買っておこう」ということで、大混雑するという事態を引き起こしました。

行政が「計画的」に人を動かそうとすると、かえって人が密集するという皮肉な結果になります。それよりは、民間企業や国民の知恵を信じた方がいいでしょう。

◆過剰なコロナ対策で犠牲にされる命と自由

今、テレビや新聞では毎日のようにコロナ感染者や死者が報じられています。これはあまりにも過剰反応ではないでしょうか。

これだけ毎日報じられていては、人々は冷静さを失い、恐怖に支配されます。毎年、インフルエンザで1万人、肺炎で10万人亡くなっていますが、これは大問題になっていません。

昨年は肺炎やインフルエンザによる死者が減りましたが、トータルの死者数も減っています。徹底した感染対策に加え、例年なら「肺炎」と判定された方が、「コロナ死」と判定されているケースも考えられます。

さらに、昨年11月~今年1月下旬にかけ、深刻な医療危機に直面した札幌市に派遣された、厚生労働省災害派遣医療チーム事務局次長の近藤久禎氏によれば、病院・施設にいた人は、コロナの「患者数」でみると札幌市内全体の1割程度だが、「死者数」だと市内全体の76%を占めていたというのです。

さらに、クラスター発生病院で感染した死亡者のうち72%は「寝た切り状態」だったとのことです。これは期間中の札幌市内の全死亡者の45%に当たるとのこと。(東洋経済オンライン記事より引用)

全国的に見ても、高齢者の致死率が高いことは指摘されていますが、かなり免疫力が落ちている寝たきりの患者の死者が多かったというデータは注目すべきものがあります。

もちろん、お一人おひとりの命は尊いものです。ただ、ゼロリスクを求める過剰なコロナ対策は、別の命を犠牲にしてしまう可能性があることも知っておかなくてはいけません。

経済活動を抑制すれば、倒産、失業が増えます。失業は生活の糧を奪うだけでなく、人々の生きがいも奪います。

昨年の第二波の際(7月~ 10月)には自殺者数が過去3年間と比べて約16%増加しました。特に女性の自殺率は37%、20歳未満の自殺は49%上昇しています。そして、昨年の自殺者は11年ぶりに増えたのです。

地方在住の党員からは、「経営者や従業員にコロナ感染が出たと噂されたお店が、次々とつぶれている」「家族にコロナ感染が出た近所のお宅が、いつの間にか引っ越ししていた」などという話を聞きました。

自殺の原因はさまざまでしょうが、コロナを「特別扱い」することで、人々が必要以上に恐怖心を持ち、感染以外の原因で精神を病み、命を落としていることがうかがえます。

何よりも、自由は人間の尊厳にとって極めて大事なことです。私たちは、この世でただ命を長らえるためではなく、自由のなかで何かを為すためにこの世に生まれてきているからです。

行政のリーダーたちは、その厳粛な真実に思いを馳せ、行動の自由を制限することの重みを知っていただきたいと思います。
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小川 佳世子

執筆者:小川 佳世子

幸福実現党政務調査会長代理

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