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コロナ禍で深刻化か?虐待防止法改正でも高まる虐待リスク【前編】

https://youtu.be/Vlnw304lx1E

幸福実現党党首 釈量子
◆「休校」「外出自粛」で高まる虐待リスク

中国発のコロナの感染拡大を防ぐ対策として、学校が休校となり、外出を自粛したりと、家族が自宅で過ごす時間が増えています。

狭い家に閉じこもり、経済活動も止まり、先が見えない恐怖や不安などでストレスも高まっています。

それに伴い、家庭の中で虐待リスクが高まっていることが問題となっています。

虐待やDV防止の活動をしているNPO法人などが警鐘を鳴らしていますが、世界的に懸念が広がっています。

今回は、コロナ対策で深刻化する可能性が心配されている「児童虐待」対策を考えてみます。

◆児童虐待の4つの形態 ~(1)身体的虐待~

まず、「虐待とは何か」といわれると、あまり知られていないのが実態です。 

「児童虐待防止法」の第二条に、「児童虐待の定義」として、「身体的虐待」「性的虐待」「ネグレクト(育児放棄)」「心理的虐待」の4種類が挙げられます。

例えば、身体的虐待について、条文には「児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること」とありますが、具体的には、殴る、蹴るといった外傷だけではありません。

赤ちゃんを激しく揺さぶることで起きるとされる「硬膜下血腫(こうまっかけっしゅ)」などの頭部外傷もあります。

乳幼児の頭を暴力的に揺さぶる事で現れる一連の症状を「乳幼児揺さぶられ症候群」と言いますが、これが生じると致死率15%、障害を残す可能性50%以上と非常に重篤なことになります。

同時に、たばこの火を押し付けるなども虐待です。

◆児童虐待の4つの形態 ~(2)性的虐待~

つぎに「性的虐待」ですが、被害にあう年齢は、平均9歳ごろからと言われています。

性的虐待の加害者の35%は実父で、続いて養(継)父、再婚した母親のパートナーによるものが25%を占め、妊娠させられた事例もあります。

これは女児のケースで、男児の報告もあり、県によっては半数が男児だというデータもあります。

性的虐待をした親が、子供に対して「秘密を守れ」「言ったら殺す」というような支配的発言をしたというケースは約3分の1にのぼります。

児童相談所においても、この性的虐待には大変厳しく対処しているようです。

◆児童虐待の4つの形態 ~(3)ネグレクト(育児放棄)~

次に「ネグレクト」については、英語で「無視」という意味ですが、この分野においては主に「育児放棄」という意味合いで使われています。

具体的には、子どもを遺棄、置き去りにしたり、また子どもにとって必要な情緒的欲求に応えていない「愛情遮断」などが含まれます。

病気になっても必要な医療を受けさせなかったり、学校に行かせなかったり、 食事、衣服、住居などが極端に不適切でごみ屋敷のようになっていて、健康状態を損なうような環境だったりといった事例です。

この場合、親の側が、精神疾患を抱えていることも多くて、お母さんがうつ病でご飯を作ってもらえない、というような事例もあります。

また、祖父母や保護者の恋人などの同居人や自宅に出入りする第三者が、虐待などの行為を行っているにもかかわらず、それを放置するのもネグレクトに当たります。

◆児童虐待の4つの形態 ~(4)心理的虐待~

そして、最後に「心理的虐待」については、「ことばによる脅かし」などが主な事例としてありますが、「心理的虐待」は、「身体的虐待」よりもダメージが大きいと言われます。

意外なところでは、「夫婦喧嘩を子供に見せる」「面前DV」は、心理的虐待にあたります。

夫婦喧嘩になって、警察を呼ぶようなケースも多いのですが、警察が駆けつけてそこに子供がいると、警察から親に「これは心理的虐待にあたりますので、児童相談所から注意がいきますよ」と言われます。

そして今は、警察がかかわった案件すべてを、児童相談所に通告するようになり、これによって虐待件数は増えています。

また、「子どもの心を傷つけることを繰り返し言う」とか、「他のきょうだいとは著しく差別的な扱い」をしたりすることも、心理的虐待にあたります。

◆法制化される「しつけによる体罰禁止」

平成30年度の全国児童相談所における児童虐待相談対応件数は、総数として15万9850件で増加の一方ですが、内容別では、「心理的虐待」が8万8,389件と最も多く、次いで、身体的虐待が4万256件、ネグレクトが2万9,474件、性的虐待が1,731件となっています。

ちょうど2020年4月1日から「改正児童虐待防止法」が施行されており、家庭におけるしつけで体罰を行うことも禁止となりました。

体罰禁止が法制化された背景には、度重なる虐待死事件で逮捕された親が「しつけのため」と供述するケースが後を絶たないからです。

例えば、今年公判が開かれた栗原未亜(みあちゃんの虐待死事件がありましたが、父親の雄一郎被告が「しつけのために水をかけた」「しつけのために立たせた」と供述しています。

今後、しつけによる体罰が禁止されることで、行政が介入しやすくなるのは確かです。

(つづく)

釈 量子

執筆者:釈 量子

幸福実現党党首

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