もう詰んだかと思った日露平和条約 逆転の芽【後編】
https://www.youtube.com/watch?v=rdLPWggTqME
幸福実現党党首 釈量子
※下記は要約したものです。詳しくは上記の映像をご覧下さい。
◆それでも日露平和条約はなぜ必要なのか?
それでも日露平和条約は必要です。その理由は、急速に軍事拡張する中国があるからです。
中国の軍事力は、公表されている国防費も30年間で約48倍に膨れ上がり周辺諸国を圧倒しています。
アメリカ政府機関である合衆国平和研究所の2018年のレポートでは、「アメリカが、中国かロシアのどちらかと戦争をすれば、ギリギリ勝てるかどうかであり、両方を同時に相手にしたら、圧倒されてしまう」というような報告も出ています。
つまり、日本にとってもロシアを敵にしてしまったら、日本を守り切れない危険性が大きいわけです。逆にロシアを味方にできれば、中国の軍事的な暴走を抑えることができます。
日本にとって、ロシアは中国の後ろにあるため、中国を挟み撃ちにできる関係にあるわけです。
また、中国が進める巨大経済圏の「一帯一路」構想は、旧ソ連圏の中央アジアなどにも広がっており、ロシアからすれば、痛しかゆしです。
中国に対して「経済的な投資はいいけれども、軍事を入ってこられるのは困る」というのがロシアの率直な考えです。
ロシアと中国は、合同軍事演習をするので一見仲良く見えるのですが、お互いに信用していない「便宜的結婚」とも言われています。
ですから、日本にとっても、ロシアにとっても日露平和条約を結ぶ意味があるわけです。
◆ロシアと中国の違い
それでもロシアは信用できないと考えている方も多いと思います。
ソ連時代、戦後のどさくさに紛れて、北方領土を占領し、60万人以上の日本人をシベリアに抑留した記憶は今も残っています。
しかし今のロシアは、かつてのソ連とも今の中国とも違います。
ソ連のスターリンは1000万人以上を虐殺したと言われ、習近平氏もウイグル人300万人をいわゆる強制収容所で人権弾圧しています。
スターリンも習近平氏もそんなことができるのは、自分の上に神がいないからです。
自分より偉い存在がいると信じている権力者は、一定の歯止めがかかります。
ロシア人は、もともと信仰厚き民族です。
ソ連崩壊以降、ロシア正教の信者数は2倍以上になったとされ、帝政時代に続いて、2度目の繁栄を迎えつつあると言われています。プーチン大統領自身も熱心な信徒です。
2014年のノルマンディー上陸作戦七十周年の式典があったときに、パフォーマンスのなかで、広島で原爆が炸裂した際のきのこ雲の映像に、プーチン大統領が思わず十字を切る姿が報道されました。
今回の憲法改正でも、実は、「神への信仰」という部分が憲法に加えられる予定です。プーチン大統領自身の、権力者を超えた存在である神を大切にする姿が感じられます。
また、意外と知られていませんが、ロシアにはたくさんのイスラム教徒がいます。2012年の調査では、ロシア人の6%がイスラム教徒です。
ロシア第3の都市であるカザンは、イスラム教とロシア正教が共存する街です。街には、教会(ブラゴヴェシェンスキー大聖堂)とイスラム教のモスク(クル=シャーリフモスク)が並んで建っています。
このようなロシアの姿には、ときとして自分の正しさを押し付けてしまいがちのアメリカ的価値観を超える、人類共通の普遍的な価値観があるのではないでしょうか。
アメリカは地球を見守っている神のような視点から「違い」を見るのに対して、ロシアには「共通しているところ」に目を向け、互いに調和していく宗教融和の姿が実現していると言えます。
◆日露平和条約の締結を
こうしたロシアだからこそ、唯物論国家中国の暴走を止めるための、日本にとってのパートナーになります。
日本とロシアなら、「世界に普遍的な価値観を広げるに、どういうふうにもっていけばいいのか」そうした理想を語り合える関係になれると思います。
そして、対立するロシアとアメリカをつなげ、中国に対する包囲網をつくりあげられるのは、日本しかないのではないでしょうか。
そうした未来を実現するためにもロシアの今回の憲法改正を一つのチャンスとして、一刻も早い日露平和条約の締結を望みます。