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成長戦略インサイト(1)「令和日本の行く末は」

政調会成長戦略部会は、「成長戦略インサイト」を発行しました。今回は、1月14日号「令和日本の行く末は」をお送りします。

成長戦略インサイト「令和日本の行く末は」(2020年1月14日号)

http://hrp-newsfile.jp/2020/3787/

幸福実現党成長戦略部会長 西邑拓真
◎先月18日に閣議了解された政府経済見通しについて

政府は、2020年度の実質国内総生産(GDP)成長率の見通しを1.4%としています。民間消費、民間設備投資の成長率はそれぞれ、1.0%、2.7%成長としており、10月の消費増税前よりも改善するとの見通しになっています。

消費増税の影響をもろに受け、自動車や家電など小売が軒並み低調となっているほか、製造業で10月の有効求人倍率が前年同月比15.6%減と、前年同月比で9か月連続のマイナスを記録しています。

日本経済の足腰が弱い中、政府による経済見通しは、国民の実感からはあまりにも乖離していると言わざるをえないでしょう。

◎先月20日に閣議決定された、令和2年度税制改正大綱について

今回の税制改正は、次世代通信規格「5G」の整備を加速、ベンチャー企業への出資を促進するなど、企業向けの政策減税が目玉となっています。

その背景には、昨年度時点で実に450兆円以上も積み上がった企業の内部留保を、少しでも成長投資に向けさせるとの狙いがあります。
 
こうした政府の狙いもわからないわけではありませんが、企業の立場から言えば、先行き見通しに不安がある以上、企業が自らの防衛策として内部留保を溜め込むこと自体、筋が通ったことと言えます。

税制面での優遇措置だけでは効果は限定的なものにならざるをえないというのが実際のところであり、経済見通しを良くしなければ、設備投資や研究開発、賃金などへと向かう流れが形成されることはないでしょう。 

日本を成長軌道に乗せるためには、増税などもってのほかであり、減税するにしても小手先ではなく、本来は思い切った税制改正が必要です。

1980年代の米国では、レーガン元米大統領の下、レーガノミクスと呼ばれる経済政策が実行され、規制緩和などとともに、3年間、毎年所得税を一律10%引き下げるといった大胆な減税が実施されました。それが、その後の米国の長期的な経済成長に大きく寄与することになったのです。

現在の米国でも、トランプ大統領の就任以来、米国の実質GDPは毎四半期(前期比年率)でほぼ2%を上回るペースで伸びており、好調を維持し続け、再度成長軌道に乗り出しています。

その背景にあるのがやはり、大型減税や規制緩和などからなる経済政策「トランポノミクス」です。

法人税率を当初の35%から21%へと大幅に引き下げたり、環境規制を見直すといった、米国企業が活性化し新たな雇用を生み出す政策が実行されてきています。

それとともに、10年で総額2兆ドルのインフラ投資を行うとしています。政府がすべきことは政府で行いつつも、原則として「小さな政府」「減税」「規制緩和」とするトランプ大統領の哲学は、実に明快です。

翻って日本はどうでしょうか。日本は戦後、高度成長期等を経て米国はじめ他の先進国に「キャッチアップ」したのち、バブル崩壊とともに低迷が続きました。度重なる増税と歴代政権によるバラマキが繰り返され、ゼロ成長が30年もの間続くとともに、国の債務1,100兆円が積み上がっている状態です。

今の日本にはまさに成長戦略が求められていますが、いまだ明確なビジョンが提示されておらず、第二次安倍政権発足後のアベノミクスにおいても、大胆な金融緩和、機動的な財政に続く、「成長戦略」が不在となっていることが叫ばれ続けています。

バラマキが常態化し、政府にぶら下がってお上に頼り、怠け者で溢れかえるような国は、必ず衰退に向かうと言っても過言ではないでしょう。

自助努力の精神や勤勉の精神など、健全な経済倫理を取り戻す必要があると同時に、偉大な企業家が数多く輩出されるよう、どのような道からでも成功できるような環境を整えることこそ、本来の政治の使命であり、成長戦略を整える上での大原則であると思えてなりません。

日本は今こそ、トランポノミクスを一つのモデルとして「小さな政府」に回帰していくべきです。

以上

西邑拓真

執筆者:西邑拓真

政調会成長戦略部会

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