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展望2020:米中覇権争いと日本の対中戦略【前編】

本日は、対談「展望2020:米中覇権争いと日本の対中戦略【前編】」(昨年12月25日に収録)をお送りいたします。

(広報本部)

展望2020:米中覇権争いと日本の対中戦略

https://www.youtube.com/watch?v=_gYuT4IowOA
(12月25日収録)

対談:外交評論家 加瀬英明氏 × 幸福実現党 釈量子

※下記は要約したものです。詳しくは上記の映像をご覧下さい。

【加瀬英明氏プロフィール】
昭和11年、東京生まれ。慶應大学経済学部、エール大学、コロンビア大学に学ぶ。「ブリタニカ国際大百科事典」初代編集長((株)TBSブリタニカ、昭和42~45年)を経て、現在、評論を執筆。シカゴ大学、ペンシルバニア大学などより安全保障問題の講師として招かれるなど、海外での講演活動も多い。著書に「徳の国富論 資源小国 日本の力」「日本外交の二つの選択」等、共著に「グローバリズムを越えて自立する日本」等多数。

◆2019年はトランプ政権が中国を追い詰めた年


今回は、外交評論家の加瀬英明先生を迎えして2019年から2020年に向けた外交の動きなどをお伺い致します。

2019年は、どんな1年だったのか外交の面で振り返ってみていかがでしょうか。

加瀬
一つ言ったら、「トランプ政権が中国を追い詰めた」ということです。

習近平国家主席は1949年に毛沢東が中華人民共和国を建国して以来、最も愚かな最高権力者であることがはっきりしました。

それまでの中国の最高指導者は、アメリカに対して正面から挑むことはなかったのです。

アメリカはトランプ大統領だけでなく共和党も民主党も全国民が中国を抑えなければいけないということで一つに結束したのです。


実際にアメリカの議会は上院も下院もあるいは民主党も共和党も一枚岩になって、中国の覇権に対して立ち向かう決意がはっきりいたしました。

香港では昨年6月の逃亡犯条例改正案をきっかけに非常に大きな反発の動きがあって、年末にアメリカが香港人権・民主主義法案を可決するところまで来ました。

加瀬
香港は、一般市民も加わって勇敢に自由と人権を求めて戦いました。今でも闘っているわけです。

◆台湾は中国の一部ではない

加瀬
習主席は、台湾に対しても「一国二制度で祖国に復帰しなさい」と言ってきたのです。

しかし、台湾の人たちは「第二の香港」になりたくないと言って、蔡英文総統の支持率が上がりました。

そもそも台湾は1912年に中華民国が成立し、1949年に台湾になりましたけれども中国共産党に一度も支配されたことはないわけです。

ということは、「台湾は中国の一部ではない」のです。

インドネシアあたりからフィリピン、台湾を通って日本までの長い列島線があるわけですが、そのなかの1つで台湾は中国に属していたとかというとそうではありません。

台湾はオランダが支配していたこともあるし、日本が支配していたこともあるし。だから中国の一部とはいえないのです。

◆台湾を切り捨てた日本外交の最大の失敗


1972年、日中国交正常化の時に日本は台湾との国交断絶がありました。あのときの日本の状況はどうだったのでしょうか。

加瀬
これは田中角栄内閣の時ですが、「朝日新聞」をはじめとする日本のマスコミが「日中友好、日中親善」と大合唱を行いました。しかし私は大反対したのです。

当時、中国はソ連が中国に攻めてきて中ソ戦争が起こる可能性が極めて高いとおびえていたのです。

それで日本に助けてもらいたいというので、「朝日新聞」や日本の経済人を操ってそうさせました。


ある意味、外堀を埋められ、内堀を埋められという形だったということですね。

加瀬
私は、当時の大平正芳外務大臣に会って、「日本政府が国交正常化に向けて相手にしている中国は本当の中国ではなくて、マスコミがつくった幻想の中国を相手にしているんでしょう」と言ったのです。

そしたら大平外相は、「その通りです」と言っていました。


知っていながらそういう流れになってしまったのですね。

加瀬
その時に台湾を切り捨てたのが日本外交の戦後の最大の失敗です。

◆日本は台湾を見捨ててはいけない


台湾には、戦中に日本人として戦った方々もいっぱいいらっしゃいました。台湾をある意味サムライの国として見捨てた形になってしまった。

それを考えますと今、台湾が中国共産党に飲み込まれていくのを見て見ぬふりはできないと思うんです。

今、アメリカはずいぶん国内法整備して台湾を助けようとしています。

加瀬
1979年にアメリカは中国と国交を結びましたが、台湾が侵略をこうむるようなことがあったら、アメリカの政権に台湾を防衛することを義務づけた「台湾関係法」を立法して米台関係を公のものとしました。

日本は台湾を切り捨てたから公の関係ではありません。


日本に国家間の基本法がないので全く交流ができないのですが、私たち幸福実現党としても日台間の基本法を早く制定すべきだと考えております。

◆世界で孤立する習近平主席を日本は国賓待遇


今、日本が習近平国主席を国賓待遇で招待する動きになっています。

加瀬
宮沢内閣の時に今の上皇陛下にあらせられる当時の陛下がご訪中されたんですね。

その時に天皇陛下のご訪中について宮沢内閣が10人の有識者を招いて30分ずつ直々に意見を聞くということを行ったのです。これは始めからの出来レースで中国に工作された有識者がほとんどです。

それで私は「陛下が外国に行幸(ぎょうこう)されるのは、その国を日本を代表して祝福されることになる」と反対しました。

「中華人民共和国は犯罪的な国家であって、中国にはそういう資格がない」と言ったんです。


その通りですね。またしても今回、陛下が中国に招かれてという流れが見えてきてしまうのですけども。

加瀬
今や習主席は、世界で孤立しているのです。

この間、ロンドンで北大西洋条約機構29か国のサミットがあったときに初めて中国の膨張主義に反対するとの合意がなされています。


世界中が中国の覇権の脅威を認識する中、日本だけが鎖の弱いところになってしまっています。

加瀬
今はインド太平洋圏でどこが覇権を握るのかということで中国とアメリカを中心とした海洋諸国の同盟が争っていますが、その中で一番弱い鎖が日本と韓国です。

(つづく)

webstaff

執筆者:webstaff

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