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全国学力テスト 結果公開で、教育の「社会主義」を終わらせよう【後編】

http://hrp-newsfile.jp/2019/3515/

HS政経塾スタッフ 遠藤明成

※前編に続き、後編をお送りいたします。

◆2008年に秋田県は、学力テストの結果を市町村別に公開していた

秋田県の学力の高さはマスコミにも注目されています。

しかし、半世紀前の1960年代には、全国学力テストで秋田県は40番前後だったのです。

元秋田県知事の寺田典城氏は、その結果に奮起した結果、「平成19年に再開された全国学力テストでは、小学6年生は国語、算数の『知識』『活用』の4科目とも全国1位、中学3年生は国語の『活用』が1位、残りも2位と3位と学力日本一となっていた」と述べています。

寺田氏は知事であった頃、2008年に全市町村の教育委員会と衝突しながらも、学力テストの結果の全面公開を実現しました。

当時、県教育委員会は市町村名を伏せて10月に結果を開示したのですが、寺田知事(当時)は、(これでは)「公開したのかしてないのかよくわからない」と批判し、市町村別の結果を12月に公表します。

「公教育はプライバシーを除いて公開が基本」と述べ、県教委・市教委が反対しても信念を貫きました。

その後、紆余曲折をへて、今の秋田県では、学力テストの結果を学校運営に反映させる試みが続けられています。

9割以上の小中学校が結果を保護者に公表。7割以上が近隣校と結果を共有し、自校の改善策を模索しているのです。

こうした過程は、学力テストの結果公表が、公教育の「見える化」を促し、教育改革を進める力となったことを示しているのではないでしょうか。

※秋田県での「学力テスト』の結果の活用状況(秋田県教育委員会調べ。2018/7/31公表)

・学力テストの自校の結果について、保護者や地域の人たちに公表や説明を行ったか⇒小学校が97%、中学校が90.5%実施。

・学力テストの分析結果について、近隣等の小・中学校と成果や課題を共有したか⇒小学校 が73.1%、中学校が75%実施。

◆学力テストの結果を公表し、「結果平等」の教育を終わらせよう

秋田県の事例を見ると、学力テストの結果公開の重要性がよくわかります。

当時、教育委員会会長の一人は「(結果公表で)たとえ一人の子どもでも、意欲をなくしたり、優越感をもったり、劣等感をもたせるなどということは教育の場で絶対あってはならないことだ」と言っていましたが、これは、社会主義の「結果平等」の考え方です。

これがもし正しいのなら、インターハイも高校野球も廃止しなければいけなくなります。

人生には成功と失敗がつきものなので、公教育は「失敗をさせない」ように配慮するのではなく、成功で自惚れず、失敗で意気消沈しない意志力を養うことを目指さなければなりません。

子供は大人になったら自由主義の世界に巣立つのですから、学力テストや受験での学力試験なども、そのための準備と捉えるべきです。

日本の教育は、あまりにも結果平等の思想が強すぎます。

幸福実現党は、これを打破すべく、学力テストの結果公表を目指しています。

日本の教育を「社会主義」から「自由主義」に転換すべきだと考えているからです。

【参考】

・日経電子版「学力テスト、中3で初の英語 小中で212万人が参加」(2019/4/18)
・新潟日報「新潟県内19教委が結果公表へ 全国学力テスト」(2018/4/18)
・河北新報「<学力テスト>宮城県内結果公表10市町のみ 競争過熱を懸念」(2018/8/20)
・国立教育政策研究所「平成30年度 全国学力・学習状況調査 調査結果資料 【都道府県別】」
・内閣府『県民経済計算(平成18年度 – 平成27年度)』(2008SNA、平成23年基準計数)
・寺田典城HP「文科省の「天下り」問題を他山の石として「食糧費不正事件」の再発なきを願う~『秋田よ変われ』より・その5~」(2017.2.28)
・秋田県教育委員会「平成30年度全国学力・学習状況調査の結果について」(2018/7/31)
・しんぶん赤旗「学テ 秋田知事の公表強行 市町村教委 一斉に反旗 一時期の結果を子どもに突き付け 自信失わせていいのか」(2009/1/13)

遠藤 明成

執筆者:遠藤 明成

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