自民、公明、立民がめざす「福祉の充実」の甘いワナ【後編】
http://hrp-newsfile.jp/2019/3508/
HS政経塾スタッフ 遠藤明成
◆自民党は「ゆりかごから墓場まで」を目指していた
前編で述べた自民党の「福祉国家の建設」という方針には、イギリスを斜陽国家にした「ベヴァレッジ報告」の影響が濃厚です。
「ベヴァレッジ報告」は、完全雇用を目指すとともに、全国民が同じ社会保険に加入し、老後や病気、失業などに備えることを訴えた政策文書です。
当時のイギリスでは、これに基づき、「ゆりかごから墓場まで」福祉を提供するために、国をつくりかえていました。
そして、高い税金のもとで福祉予算を増やした結果、勤勉の美徳が失われ、かつての大英帝国は見るも無残に凋落していったのです。
こうした「英国病」をもたらした「福祉国家」の思想を、自民党は党の基本文書に盛り込みました。
それは、当時の政治でも、福祉が争点になっていたからです。
当時を知る、元厚生事務次官は、自民党ができた昭和三〇年の頃には「保守合同で自由民主党が生れ」、「左右社会党の統一があって」、「何か国民の福祉で役に立つということが政党の合言葉になった」とも回想しています。
厚生省内では「『ゆりかごから墓場まで』ということはもう当然のごとく語られていた」とも述べているのです。
しかし、高度成長期の日本には勢いがあったので、その病原菌はしばし隠れていました。
それは、少子高齢化が実現した後に正体をあらわし、日本をどんどん高税率の国につくりかえているのです。
◆地獄への道は善意で舗装されている
福祉予算を増やす場合、その財源は「増税」か保険料の値上げで賄われます。
その結末は、結局、未来の増税と消費不況の実現にすぎないのです。
甘い言葉の代価は高くつきます。
「地獄への道は善意で舗装されている」という格言のとおりです。
幸福実現党は、この「福祉の充実⇒財源不足⇒増税⇒消費減退」という負のサイクルを終わらせるために「小さな政府、安い税金」の実現を訴えてきました。
そのために、消費税増税に反対し、5%に戻すことを訴えてきました。
増税をしてお金を誰かに配るよりも、一律に減税したほうが、公平な「福祉」になるからです。
減税こそが最大の福祉です。
しかし、自民党や公明党、立憲民主党の議員が増えれば、福祉が増えたあとに、増税や保険料の値上げが行われます。
そして、消費不況が繰り返されるのです。
こうした「未来を犠牲にした福祉」は、「その場しのぎ」にすぎないので、日本経済のパイを大きくすることができません。
幸福実現党は、GDPの6割を占める消費を活性化させてこそ、日本経済そのものが大きくなり、税収も増え、そこから福祉に回るお金も出てくると考えています。
日本経済の未来は、消費税5%への減税から生れてくるからです。
【参考】
・枝野幸男×荻原博子「そろそろ昭和の成功体験から抜け出そう」(『女性自身』HP、2019/1/21)
・総務省統計局「家計調査(家計収支編) 時系列データ(二人以上の世帯のうち勤労者世帯)」
・自民党HP「高校授業料無償化の問題点!」〔2010年3月16日〕
・自民党HP「党の性格」(昭和三十年十一月十五日)
・菅沼隆ほか『戦後社会保障の証言』(有斐閣)※引用部分は幸田正孝元厚生事務次官の発言)