このエントリーをはてなブックマークに追加

学校運営に自由の風を

http://hrp-newsfile.jp/2019/3460/

HS政経塾8期生 柄澤 悠(からさわ ゆう)

◆学校を「未来の希望」に

現代日本が抱える大きな問題の一つには、「少子化」があります。

1月初旬の産経新聞(2面)には、「人口減少」の問題が取り上げられ、解決のために「何よりも重要なのは、未来への希望だ」と書かれていました。

人口減少の流れを急に食い止めることは出来ませんが、子どもが減る中であっても、より優秀な人材を育成できる社会づくりは教育が持つ使命でしょう。

また、「こんなに素晴らしい学校があるなら子どもを持ちたい」と考える国民を増やすことは、「未来への希望」で国家を包むことに他なりません。

教育改革は、人口増政策とも言えるのではないでしょうか。

◆「学校選択制」がぶつかる壁

では、「未来の希望」となる学校を創るにはどうしたら良いのでしょうか。

幸福実現党は、競争を促すことで教育の質を高めるため、行きたい学校を自由に選べる「学校選択制(教育バウチャー)」を勧めています。

実際、現在は日本各地で「教育特区」として試験的に導入されていますが、その代表的なものとして注目されるのが、2000年より同制度がスタートした「品川区」です。

平成29年度の保護者アンケート調査によれば、区民の約30%が学校選択に参加しているとの結果が出ています。

しかし、この制度も、まだまだ多くの課題を抱えています。

同調査によると、その学校選択の基準は、「地元で通学上便利だから」54.2%、「兄弟関係・友人関係」19.5%となっており、本来基準にしたい「教育活動の内容」や「進学実績」等は全て10%未満となっているのです。

また、人気の学校は増える児童生徒の数に対応できず、逆に教育の質が低下してしまうという事態も発生しています。

このように、教育の質を高めるはずの学校選択制が、本来の力を発揮できていないというのが現状なのです。

◆今必要なのは、公立学校の「自主運営化」

では、学校選択制を本当の意味で生かすにはどうすれば良いのでしょうか。

その答えの一つは、公立学校の「自主運営化」にあります。

自主運営化。簡単に言うとそれは、現在教育委員会が持っている権限の一部を、学校現場へと移していくことです。

例えば教員の採用権や、給料の決定権、教育内容・カリキュラムの編制権、予算用途の決定権などがそれに当たります。

学校選択制の導入によって、いくら教育界に競争の原理が入ったとしても、それぞれの学校に「選ばれる学校」になるだけの創意工夫の余地がなくては、意味がありません。

今必要なのは、現場の権限の幅を広げることで、特色ある学校、ニーズに対応できる学校を創っていくことです。

例えば、昨年、入国管理法が可決されましたが、これから需要が増えてくる外国人労働者向けの教育においても、日本語教育と専門技能教育の両立や、少子化によって増えた廃校舎の再利用、及び定年を迎えた教員の活用など、よりフレキシブルに対応できる体制が必要なのです。

◆学校現場の権限拡大によるリスク

ただ、自主運営化によるリスクも存在します。

最も大きなリスクは、「自主運営に学校側の能力が追い付かない」という点です。

自主運営化するとなれば、教員にこれまで以上の負担がかかることになるでしょう。

イギリスで2010年5月に誕生したキャメロン政権は、「全ての学校をアカデミー(国費で運営される独立学校)にする」と政策に掲げましたが、余裕がない学校を効果的に独立させることができず、結局大きな成果にはつながりませんでした。

全ての学校を一気に自主運営するのではなく、許可の基準を設けることで、徐々に変革していく必要があるのです。

◆真に活躍できる人材づくりを

このように、「学校現場の工夫の余地」と「学校選択制(教育バウチャー)による競争の原理」が両立する状態をつくることで、より質の高い学校が生まれ、保護者の学校選びの関心も高まり、「学校版ぐるなび」のようなサイトも創られるようになるでしょう。

良き学校が評価され、他の学校も見習うことで発展していく世の中がくるのです。

教育に自由と競争の風を吹かせ、真に活躍できる人材を創造する学校を増やしていく。

それこそが、今の日本を復活させるための「鍵」になるのではないでしょうか。

<参照>
・『学校の先生が国を滅ぼす』(一止羊大著、産経新聞出版)
・『偏差値は子どもを救う』(森口朗著、草思社)
・『英国の教育』(日英教育学会編、東信堂)
・1/4(金)産経新聞
・品川区 平成29年度保護者アンケート集計結果
http://www.city.shinagawa.tokyo.jp/contentshozon/29hogosya.pdf

柄澤悠

執筆者:柄澤悠

HS政経塾8期生

page top