不登校児童――心に寄り添う解決を
http://hrp-newsfile.jp/2018/3459/
HS政経塾 8期生 矢内美花
◆不登校の闇
皆様はご存知でしょうか。2018年の小中学生の不登校児童は約13万3683人存在し、ここ約4年間増加し続けていることを。
現在、フリースクールに通学している生徒は約4000人程度。残りの不登校児童は、家に引きこもっている状態であり、深刻な状況です。
不登校の原因は様々で、文科省によりますと、「不安の傾向がある」、「人間関係の不調和」「家庭の問題」「いじめ」などの回答が大きく割合を占めています。
学校の担任も多忙で、不登校児童の対応にまで手が回っていないのが現状です。政府も学校もお手上げ状態といえるでしょう。
◆学校、政府がすべきことは
ここで問題なのが、義務教育期間の子供たちが、まともな教育を受けられずに放置されているという現状です。
義務教育を受ける期間に学校に行けなければ、学習が疎かになってしまいます。これは、生徒を預かっている学校が、責任を持って対処すべき喫緊の課題です。
政府は、不登校児童に対する救済法として『教育機会確保法』という法律を2017年に施行しました。しかし、事実上、中身は詰まっておらず、機能もままなりません。
当初法案には、「不登校の子どもたちの居場所となるフリースクールや自宅での学習などの、学校以外の学習も義務教育として認める」などといった内容が盛り込まれていましたが、最終的には、審議の中で削られました。
今でも「学校に通うことが正しい」といった風潮が国会の中でも根強く残っているのです。もちろん、学校に復帰できるようになれば、それに越したことはありません。
しかし、問題なのは、法律ができても、不登校児童が事実上、放置されたままであることには変わりがないことです。
◆アメリカの多様な教育
一方、アメリカでは、在宅学習や、インターネットラーニングなどといった多様な学習が、全州で認められています。
さらに、アメリカの学校では、教師が保護者や生徒から仕事ぶりを評価されるパフォーマンスレビューというものが存在します。
不登校児童への対応を疎かにするような教師には、給料やボーナスが減給されるなど罰則規定が適応されます。
教師・保護者間で、不登校を解決できない場合は、行政、学校が動き、保護者と不登校児童本人と不登校解決に向けた会議が行なわれ、それに準じた生徒のケアがなされます。
生徒の適性を鑑みて、一番いいスタイルの学習環境が与えられるのです。
アメリカと比べると、あまりにも日本は不登校児童への取り組みが希薄であるといえるでしょう。
◆日本も柔軟な教育を
アメリカで多様な教育が認められているように、日本も、学校以外の多様な教育を認め、子どもたちの学習の機会を保障していくことが大切です。
もちろん学校にいけるようになることが一番良いことだと思いますが、「いじめられている」、「何らかの事情があって、どうしても学校に行けない子供たち」には、無理に学校に行かせる必要はありません。
ただ、学校に行かなくなった子供たちの、義務教育は非常に重要です。その上で、国としても「多様な教育」を斡旋していくことが大切なのです。
特に、不登校児童にとって高校受験は大きな壁となっています。長期欠席によって内申点は悪くなり、内申点を重視する公立への進学は厳しいものとなります。
経済的に困窮している家庭では私立に通学させることも困難です。
そこで、いじめなどが原因で不登校になってしまった生徒には、内申点をカバーするために全国的な学力テストを設け、その結果で、公立高校への進学を優遇する措置も必要です。
長期不登校であっても、公立高校進学のチャンスを与え、新しい進路が開けるよう手助けするのです。
◆不登校児童に向き合う
13万人以上の不登校児童の存在は、「教育の転換期」を暗に意味しています。私たち大人が、声なき声を聴き、不登校児童に向き合うことが大切です。
幸福実現党としても、ICT学習、家庭学習などの多様な教育を認め、義務教育段階における不登校児童の「教育を受ける権利」を保障してゆきます。
さらに、不登校解決の実績を持つ民間の専門家と、学校、家庭を連携させ、不登校解決のための仕組み作りをしてまいります。
今こそ、不登校児童の心に寄り添った、“真なる教育改革”が必要なのです。